💡 はじめに:猛暑のグラウンドで目撃した「すごい情熱」と「危険」
先日(2024年7月21日、午後4時頃)、私は大阪府内の小学校のグラウンドで少年野球の練習を目にしました。
その日の大阪府は、環境省から熱中症アラートの中でも最も危険度が高いとされる「紫」(運動は原則中止)が発表されているほどの猛暑でした。
地面からの強烈な照り返しの中、子どもたちはもちろん、指導者の方たちも大きな声を出して激しい練習を続けていました。

「近々試合が控えているのだろうか」— その情熱には頭が下がる思いでした。
しかし同時に、熱中症を経験したことのある私自身の体感として、「これは危険すぎる」という強い懸念が湧きました。
勝利を目指す「情熱」と、子どもの「安全」をどう両立させるのか。
この光景から、現代のスポーツ指導が直面する重要な論点について考えます。
📌 論点1:40年前の「根性論」は通用しない
「昔はもっと暑い中で練習したものだ」という指導者の方もいるかもしれません。
私も40年ほど前の自分の子ども時代を思い出すと、確かに炎天下で体育の授業や部活動をしていた記憶があります。
しかし、知っておくべき重要な事実があります。
それは、現代の夏の暑さは、私たちが子どもの頃に体験したそれとは根本的に異なるという点です。
近年、日本の平均気温は上昇し続けており、熱中症の危険度が格段に増しています。
「根性」や「気合」で乗り越えられるレベルではなく、命に関わる「災害級の暑さ」として認識を改める必要があります。
アラートの基準が示されたら、科学的なデータに基づき、勇気を持って練習を中止・延期する決断が求められます。
📌 論点2:指導者と保護者が確認すべき3つのチェックポイント
「練習を中止する」という判断が難しい場合でも、最低限、指導者と保護者が連携して子どもの状態を確認する仕組みが必要です。
複数の大人がいても、疲労から子どもの異変を見逃すことはあり得ません。
① アラートの基準確認と練習の調整
環境省とスポーツ庁が発表している「熱中症警戒アラート」の基準をチーム内で共有しましょう。
特に「紫」(熱中症の危険性が極めて高い)の日は、原則として屋外での運動は中止すべきです。
② 練習の「質」へのシフト
猛暑の中で「量」をこなす練習は、疲労による怪我のリスクを高め、集中力の低下で技術も身につきません。
暑い日こそ、短時間で集中力を高めるドリルや、日陰でのミーティングや座学など、「量」から「質」へと練習内容を大胆にシフトすることが賢明です。
③ 熱中症の初期サインを見逃さない
子どもは自分の体調不良をうまく伝えられないことがあります。
特に以下のサインが出ていないか、指導者や保護者が意識的にチェックしましょう。
-
いつもより機嫌が悪い、ぐずりやすい
-
集中力が著しく低下している
-
顔色が青白い、あるいは極端に赤く火照っている
-
汗をかきすぎている、または汗をかいていない
【重要】日本語の熱中症対策ガイドライン参考情報
症状の確認や具体的な予防法については、以下の公的機関が日本語で詳細な情報を公開しています。
環境省:「熱中症予防情報サイト」で、当日の警戒アラート情報や詳細な予防行動を確認できます。
日本スポーツ協会 (JSPO):スポーツ指導者向けに、活動の強度や休憩の取り方などを定めた「スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック」を提供しています。
💡 結びに:勝利の先に、子どもの笑顔を守るために
あの猛暑の中で練習をしていた指導者の方々の情熱は、決して間違いではありません。しかし、スポーツの真の目的は、子どもたちが安全な環境で成長し、楽しむことです。
大人が「勝利」にこだわりすぎるあまり、子どもの命と健康という最も大切なものを危険にさらしてはいけません。
私たち大人が、気候変動という現実を受け入れ、昔の慣習にとらわれない柔軟な判断基準を持つことが、未来のスポーツ指導において最も重要ではないでしょうか。
スポンサーリンク

コメント