「完璧に仕上げたはずなのに、翌日担当者からクレームの電話が来た…」
多くのハウスクリーニング業者が直面するこの問題。
実は、目につきにくいベランダの外回り、特にマンションの避難ハッチと網戸がクレームの最大の盲点です。
「水を流した時、一瞬『綺麗になった』と錯覚していませんか?」
短縮のために洗剤をつけずに水洗いするだけでは、乾燥後に油分やホコリが残り、指で触るとすぐバレてしまいます。
本記事では、30年の経験を持つプロの作業者が、実際に発生したクレーム事例(「避難ハッチのホコリ残り」「網戸の汚れ残し」)を元に、その失敗の原因と、二度とクレームを出さないための完全清掃テクニックを公開します。
避難ハッチの研磨と拭き上げの3ステップ、網戸の流水前の絶対ルールを学び、あなたの清掃レベルを格段に上げてください。
💡 ハウスクリーニングのクレーム事例から学ぶ教訓
私たちは日々、退去後の物件を最高の状態に仕上げるべく作業していますが、先日、現場で大きな教訓を得るクレームが発生しました。
それは、タワーマンションのベランダ清掃に関するものです。
物件担当者からの指摘は以下の2点でした。
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ベランダの避難ハッチが汚い。(指で触るとホコリが付着する)
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網戸の汚れが取れていない。
私たちはもちろん両方とも清掃しましたが、最近の「時短」意識が招いた結果でした。
洗剤を使わず、水を流しながら軽く擦る程度で終わらせていたことが原因です。
この事例から学んだことは、「外にあるから雨で流れるだろう」という油断は、プロの仕上がりを追求する上では致命的であるということです。
特に、次の入居者や物件担当者のチェックが入る箇所では、乾燥後に残る微細な汚れまで徹底的に除去しなければなりません。
1. 【盲点その1】避難ハッチの清掃は「水流しっぱなし」が絶対NGな理由
マンションのベランダに必ず設置されている銀色の避難ハッチ(救助袋の格納箱)。

この清掃において、ほとんどの作業者が陥る罠があります。
🚨 「綺麗になった」という錯覚がクレームを招く
避難ハッチの表面は、長年の排気ガス、砂埃、そして雨に含まれる油分や煤が付着し、薄黒く汚れています。
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ホースで水を流すと、一時的に汚れが洗い流され、ハッチの表面は濡れている間だけ綺麗に見えます。
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この状態を見て「これで十分」と判断し、そのまま放置して乾燥させてしまうと、残留していた油分や細かい汚れの粒子が表面に浮き出てきます。
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乾燥後、指で触るとホコリやベタつきが手に付き、仕上がりが非常に汚く、手抜き感が丸出しになってしまうのです。
避難ハッチがピカピカに輝いていると、ベランダの床全体も美しく見えます。逆に、ここが汚いと、床が綺麗でも台無しになってしまいます。
🌟 プロが教える!避難ハッチをピカピカに仕上げる3ステップ
クレームを回避し、物件担当者も納得する仕上がりを実現するには、表面を研磨し、完全に汚れをリセットするひと手間が必要です。
合格ラインは、完全に乾燥した後、指で表面を触ってもホコリやベタつきが一切付かない状態です。
2. 【盲点その2】網戸の汚れ残りを防ぐ!流水前の「ひと手間」の重要性
網戸の清掃不足もまた、クレームの定番です。
原因は避難ハッチと同様に「水で流せば綺麗になるだろう」という思い込みにあります。
🧹 網戸洗浄は「乾いた汚れ」を先に取ることが鉄則
網戸の汚れの主な成分は、乾燥したホコリ、花粉、砂塵です。
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この乾燥した汚れが大量に乗っている状態で、いきなりホースで水をかけると、汚れは流れ落ちるのではなく、水と一緒に網戸の細かな目に押し込まれてしまいます。
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流水後は綺麗になったように錯覚しますが、乾燥すると網目に詰まった汚れが再度浮き上がり、白っぽく残ってしまうのです。
✨ プロ推奨!網戸洗浄の絶対ルール
基本中の基本ですが、この一手間を怠ってはいけません。
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流水前の下準備:網戸が乾いているうちに、網戸用ブラシ、乾いたスポンジ、または軍手を使って、表面に乗っているホコリや砂塵を丁寧に払い落とします。
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清掃:下準備で汚れを大方除去した後、水を流しながら洗剤を使い、スポンジやブラシで優しく擦り洗いします。
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仕上げ:洗剤成分が残らないようしっかりと水で洗い流し、可能であればスクイージーやタオルで水気を切って乾燥を早めます。
キッチンやタバコのヤニ汚れ(油分)がない限り、この手順を守れば網戸清掃は非常に簡単で、確実に綺麗になります。
3. ベランダ床のしつこい黒ずみを効率的に落とす裏ワザ(代替案)
避難ハッチや網戸に加え、ベランダの床(特に凹凸のあるFRPやウレタン防水の床)の黒ずみも、清掃の難所です。
🚨 熱湯清掃に頼らない!ベランダ床のしつこい汚れへの代替案
以前は熱湯清掃を推奨していましたが、現場で熱湯を沸かす手間を考えると、今はより手軽な「ダブル洗剤アプローチ」にシフトしています。
しつこい黒ずみを効率よく落とすには、以下の手順が非常に有効です。
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初期洗浄:高アルカリ洗剤での分解 まず、強力な高アルカリ性洗剤(油汚れ用など)をベランダの黒ずみに塗布し、汚れの主成分である油分や煤を分解させます。数分間つけ置きします。
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物理的除去:研磨力の活用 次に、ジフなどの研磨剤入りクレンザーを少量、濡れたデッキブラシやスコッチブライトに付けます。
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ダブルアタック: アルカリ洗剤が油分を緩めたところに、研磨剤の物理的な擦る力を加えて汚れを掻き出します。
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仕上げ: その後、たっぷりの水で洗い流し、最後にメラミンスポンジで軽く仕上げることで、熱湯を使わずとも、深部の汚れを効果的に除去し、元の鮮やかな色を取り戻すことができます。
4. 【見落とし厳禁】最終確認でクレームを回避する「確認の盲点」5選
クレームを回避し、信頼度を高めるために、最終チェックリストに必ず加えてください。
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換気扇・通気口カバーの裏側:カバーを外した際の裏面や、カバーが接していた壁・天井との境目にホコリの輪郭が残っていないか。
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照明器具の内部(カバー裏):シーリングライトなどのカバーを外し、虫の死骸やホコリ、手垢の跡が残っていないか。夜間に点灯した際、非常に目立ちます。
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トイレタンクや便座の裏側・継ぎ目:温水洗浄便座を外し、便器との継ぎ目に尿石やカビ、水滴跡が残っていないか。
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巾木(はばき)の上部と建具の蝶番(ヒンジ):床と壁の境目にある巾木の上部に溜まったホコリ、ドアやクローゼットの蝶番周囲の黒い油汚れを拭き取っているか。
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サッシのレールの排水穴:サッシのレールの両端にある水抜きの小さな穴が、泥や砂で詰まっていないか。
これらの隠れた汚れを徹底的に除去することが、プロの仕上がりと評価される決め手になります。
5. FAQ:ハウスクリーニング・ベランダ清掃に関するよくある質問
Q1. 避難ハッチ清掃で「ジフ」以外の代用品はありますか?
A. 避難ハッチの表面の汚れは「研磨」で落とすのが基本です。ジフのような研磨剤入りクレンザーがない場合は、重曹ペースト(重曹と水を混ぜたもの)を硬めのスポンジにつけて擦る方法も有効です。ただし、必ず最後に水で洗い流し、完全に拭き上げてください。
Q2. ベランダの熱湯清掃は、マンションの防水層に影響はありませんか?
A. 熱湯を直接一箇所にかけ続けるのは推奨されませんが、バケツなどで作った熱湯を流しながらスコッチで擦り、すぐに冷たい水で流す程度であれば、一般的なFRPやウレタンの防水層に問題が生じる可能性は極めて低いです。ただし、高温のまま長時間放置することは避けてください。(※現在の推奨はダブル洗剤アプローチです)
Q3. 網戸掃除を水洗いせずに済ませる方法はありますか?
A. 水洗いが難しい場合、乾いた軍手やメラミンスポンジで網戸の表裏を挟んで優しく擦ることで、表面のホコリや花粉を効果的に絡め取ることができます。ただし、タバコのヤニや油汚れがある場合は、やはり洗剤と水を使う必要があります。
最終 まとめ:プロの心構えとクレーム回避の成果
今回の避難ハッチのクレームは、私たちプロにとって大きな教訓となりました。
あの時、「どうせ外だから」「時短で済ませよう」と手を抜いたことが、結局はクレーム対応という形でもっと大きな手間となり、お客様や物件担当者への信頼を損なう原因になったと深く反省しています。
しかし、この失敗を機に、避難ハッチの「研磨と拭き上げ」、網戸の「流水前の下準備」といった一手間を惜しまない作業を徹底した結果、その後のベランダ清掃に関するクレームはゼロになりました。
手間をかけた分だけ、仕上がりが格段に向上し、お客様の満足度を高められたと確信しています。
「簡単な作業」だからこそ、妥協しない。この心構えが、プロとしての評価を築き上げる鍵となります。
この情報が、あなたの今後のハウスクリーニング作業の一助となれば幸いです。
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