【プロ直伝】畳撤去後の白い粉(メリケン粉)を舞い散らせず徹底除去する裏技

最近は和室の現場が減り、畳下の清掃はルーティンから外れがちです。

しかし、少ないながらも依頼があった際に、畳の下から現れる白い微粉(メリケン粉のような汚れ)の扱いに困った経験はありませんか?

この粉を、何も考えずに家庭用掃除機で吸い込むと、高確率でモーターが故障します。

また、ほうきで掃けば粉塵が舞い上がり、作業者の健康を害するだけでなく、他の場所を汚染するリスクも生じます。

プロとして、リスクを負わずに、この厄介な粉塵を確実かつ安全に取り除く方法を知っておく必要があります。

30年以上の経験から編み出した、粉を舞い散らせない「水とドライワイパー」を使った裏技と、作業時の絶対的な注意点について、具体的に解説します。」

畳の下の「白い粉」の正体と潜むリスク

 

この白い粉は、多くの場合、建物を建設した際の石膏ボードの削り粉や、コンクリートの微細な粉塵が長年の間に畳下に蓄積したものです。

非常に微細なため、見た目は小麦粉(メリケン粉)のようにサラサラとしています。

この微粉の清掃を誤ると、清掃品質の低下だけでなく、以下の深刻なリスクを招きます。

従来の清掃方法が「NG」な理由を徹底解説

❌ 1. 家庭用または一般的な業務用掃除機での吸引

 

一般的な掃除機は、石膏やコンクリートのような超微細な粉塵を吸引することを想定して作られていません。

  • モーター故障のリスク: フィルターを通り抜けた微粉がモーター内部に入り込み、焼き付きや故障の原因となります。これは高額な機材の買い替えに直結する、避けたい事態です。

  • 排気による粉塵拡散: フィルターをすり抜けた微細な粉が排気口から室内に再放出され、空気中を漂い、清掃後の床や壁に再付着する原因となります。

❌ 2. ほうきとちりとりでの清掃

 

「掃除機がダメならほうきで」と考えるかもしれませんが、これもプロの現場では推奨できません。

  • 作業者への健康被害: ほうきで掃く際に、白い粉塵が大量に空気中に舞い上がり、それを作業者が吸入してしまいます。これは長期的な呼吸器系への負担となり、プロとしての安全管理上、絶対に避けるべき行為です。

  • 清掃範囲外への汚染: 舞い上がった粉は、隣の部屋や空気の流れに乗って清掃エリア外にも広がり、後々のクレームや二度手間を引き起こします。


【プロの解決策】粉を舞い散らせない「水とドライワイパー」戦術の具体的な手順

 

この問題を解決するのが、極少量の水を利用し、粉塵を床に「固定」してから回収する手法です。

これにより、粉塵の飛散をゼロに抑え、安全かつ確実に回収できます。

1. 使用する道具

 

  • 水を入れたホースまたはジョウロ

  • ドライワイパー(またはスクイージー)

  • 自作の隅専用ワイパー(薄いヘラやカードの先端にウエスを巻き付けたものなど)

  • 回収用のちりとり

  • 必須の安全対策: 防塵マスク(微粉対応のもの)

2. 作業手順(極小量の水で粉塵を固定する)

ステップ1:清掃範囲を区切る(1畳ごとの作業)

 

下の階への水漏れリスクを最小限にするため、一度に水を撒く範囲を1畳(約1.65平方メートル)程度に限定します。

広範囲に水を撒くと回収が間に合わず、コンクリートが過剰に吸水するリスクが高まります。

ステップ2:極少量の水を撒布

 

ホースやジョウロを使い、床面がわずかに湿る程度の極少量の水を撒きます。

水の量の目安: 「水溜まり」ができるほどは絶対にNGです。粉全体が濡れて色が変わる程度、絞った雑巾で一拭きしたような薄い水膜ができる程度に留めます。粉塵が水分を吸って動かなくなるのが目的です。

ステップ3:ドライワイパーで素早く回収

 

水が浸透しすぎる前に、ドライワイパーまたはスクイージーを使って、濡れた粉塵を手早く一箇所に集めます。

ステップ4:水分と粉塵を回収

 

集めた粉塵をちりとりで回収します。

水分を含んでいるため、飛び散ることなく確実に回収できます。

ステップ5:隅の汚れの処理

 

部屋の隅や角に入り込んだ粉塵は、自作の隅専用ワイパーやヘラで掻き出し、同様に水で濡らしてから回収します。


プロとして必須の「リスク管理」と注意点

 

🚨 最重要事項:下の階への水染みリスク

 

この方法は非常に効果的ですが、リスクがゼロではないことを認識しておく必要があります。

  • 構造によるリスク: 築年数の古い建物や構造によっては、コンクリートが水を吸い込みやすく、下の階の天井に染みとなって現れるリスクがあります。

  • リスクの最小化: このリスクを避けるために、**「極少量の水」「素早い回収」**を徹底します。水分を床面に放置する時間をなくすことが最も重要です。

  • プロとしての責任: この清掃方法は、現場の状況を判断し、リスクを負わないと判断した場合にのみ行う自己責任の範囲の対応となります。

😷 作業時の安全対策

 

白い粉塵は作業者の健康を害するため、この方法を用いる場合でも、作業中は必ず微粉対応の防塵マスク(できればN95規格など)を着用してください。

🌬️ 最終的な乾燥と換気

 

粉塵を回収した後、床面にはわずかに湿り気が残ります。

次の工程(ワックスなど)への移行、またはカビの発生を防ぐために、換気を徹底し、床面を完全に乾燥させてから作業を終了してください。


🤝 まとめ:イレギュラー対応こそがプロの信頼に繋がる

 

ハウスクリーニングの現場は、マニュアル通りに進まないイレギュラーな状況の連続です。

「畳下の清掃」のように、本来の清掃範囲ではない場所や、通常の道具が使えない特殊な汚れに遭遇したとき、どのように対応するかで、お客様からの信頼度は大きく変わります。

この「水とドライワイパー」戦術は、リスクを最小限に抑えつつ、プロとして求められる「ついでに綺麗に」という要望に確実に応えるための秘策です。

機材を壊すことなく、作業者自身の健康を守り、そして何よりも床面を完璧に仕上げる。この知識と技術が、お客様の満足度を最大化し、あなた自身のプロフェッショナルとしての価値を高めてくれるでしょう。

現場数が少ないからこそ、次に畳下の白い粉に出くわしたときは、この記事で学んだ裏技を実践し、「さすがプロだ」と言われる確かな結果を出してください。

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