【プロの判断】リノベ後1年・ほぼ新築フローリングにワックスは必要? 2DKクリーニング現場レポート

🏠 1. 現場概要と最初の印象:新しすぎるフローリングの罠

 

プロのハウスクリーニング現場は、いつもピカピカな場所ばかりではありません。

今回担当させていただいたのは、リノベーションから約1年が経過した2DKの現場。全面フローリングの現場は、一見すると「ほとんど汚れも傷もない、新築同様の美しさ」でした。

「よし、楽勝か?」…と思った矢先、プロの目をすり抜けることができない「小さな違和感」と、作業を大きく左右する「判断の壁」にぶつかることになります。

とにかく、一般の方が目を凝らしてもわからないレベルで、ほとんど汚れや傷が見当たらない「極上の状態」でしたが、プロの目は逃しません。

目立たないところに、おそらく過去の清掃時にワックスを剥がす際に付いたのであろう、水滴状のムラ跡が一つだけありました。惜しい!

✨ 2. 【プロの判断】ツヤのある床にワックスはNG!既存の美しさを活かす

 

この水滴跡は気になりますが、日をかざして見ると、床全体はしっとりとしたツヤを保っています。これは既存のコーティングがしっかり効いている証拠です。

ここで下手に上からワックスを塗布すると、既存のコーティングと新しく塗るワックスとの密着不良によるムラのリスクを負うことになります。

よって、今回は「既存の美しさを活かす」という判断に決定。

ワックスは使用せず、床材に優しい中性洗剤を薄めた液で全体を丁寧に拭き上げました。

同時に、触って確認できる突起状の汚れ(小さな固着物)は、フローリングを傷つけないよう角度を調整し、慎重にスクレーパーの刃先でかき取りました。

🚧 3. 強敵との遭遇:リノベ業者が残したボンド跡との格闘(同業者ならわかる描写)

 

さて、作業を進める中で、想定外の難敵が姿を現しました。リノベーション時の施工業者が残していったボンド跡です。

これが厄介でした。

巾木の際、ドア下のレール付近、そして壁際から少し離れた場所にも指の腹で触れるとザラつく程度の硬いボンドの塊が点々と残っていたのです。

作業者の方なら、「なぜこんなところに?」と首をかしげるあの跡だと想像がつくと思います。

これには手こずりました。

【対処法とプロの引き際】

 

  1. ふやかし作戦: まずは洗剤でボンドを十分にふやかし、柔らかくなるのを待ちました。

  2. スクレーパーでの挑戦: 柔らかくなったボンドに対し、スクレーパーやカッターナイフの刃を立てず、寝かせて少しずつ除去を試みます。

しかし、頑固なボンド跡は、完全に除去しようとすると、かえってフローリング表面に擦り跡や凹みを作ってしまうリスクがありました。

特にこの新しいフローリング材でそれをやると、傷が目立ちすぎます。

「これ以上無理にもぎ取るのは、かえって床を傷つけてしまう」

プロとして、仕上がりを優先し、無理な作業で床材を痛めつける「引き際」を決めました。

擦り跡になってボンド跡より目立つようになるのが最悪の事態だからです。

🧹 4. 仕上げの秘策:床を這いつくばって「最後の仕上げ」

 

ボンド跡は残ってしまいましたが、清掃作業自体はほぼ完了。

最後に、最も地味ですが最も重要な作業に移ります。

床に這いつくばって、床全面のチェックと清掃です。

通常の拭き上げでは取りきれない、静電気で張り付いた微細なホコリや、施工時に落ちたと思われる髪の毛の断片を徹底的に除去するため、私は粘着力の高い養生テープを手に取りました。

養生テープをベタベタと床に押し当てていくと、驚くほど細かいゴミが付着します。よく見ると結構落ちている… 地道な作業ですが、この最後のひと手間が引き渡しの仕上がりを左右します。

✅ 5. まとめと引き渡し後のフォロー:傷をつけないプロの選択

 

地道な作業の末、床面はツヤが戻り、非常にクリアな状態となりました。

引き渡しには十分な仕上がりです。

結果として、床全体は非常にクリアなツヤを取り戻しました。

今回はワックスを塗布していませんが、中性洗剤での丁寧な拭き上げと微細な汚れの除去により、既存のフローリングが持つ本来のツヤが引き出され、「まるでワックスを塗り直したかのように」見える仕上がりです。

懸念の残ったボンド跡については、お客様(または依頼元)に対し、以下のようにご説明します。

「リノベーション時の硬いボンド跡が数カ所残ってしまいましたが、新しいフローリング表面に深い傷や凹みを作ってしまうことを避けるため、今回は床材を保護する判断を優先いたしました。何卒ご理解いただけますようお願いいたします。」

現場で「より綺麗にすること」と「床材を傷つけないこと」のバランスがいかに重要か、という教訓を改めて痛感した一日でした。

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