誰も見ていないから、ここは適当でいいや。
そんな誘惑に負けそうになったとき、あなたを支えてくれるのは、自分の中に持っている言葉です。
私は清掃のプロとして、日々現場で自分を律することの大切さを感じています。
清掃は、嘘がつけない仕事だからです。磨き残した床は、光を反射しません。
今回は、私が現場で大切にしている大人のための英会話をご紹介します。
単なるフレーズ集ではありません。
あなたの仕事の流儀(スタンダード)を一段引き上げるためのレッスンです。
1. 誘惑を断ち切る一言:Cut corners
手を抜くを英語で表現するとき、最もよく使われるのが Cut corners です。
本来、部屋の四隅(コーナー)に沿って丁寧に進むべきところを、斜めにショートカットしてしまう。
その様子が手を抜くという意味になりました。
My Philosophy: I refuse to cut corners, even if it takes more time. (たとえ時間がかかっても、私は手を抜くことを拒みます。)
忙しいから、誰も気づかないからという言い訳を、このフレーズで封印します。
自分自身の基準を高く保つための、定番の言葉です。
2. 信頼を積み上げる:Built over time
清掃において、最も価値があるものはピカピカの床そのものではなく、そこから生まれる信頼です。
そして、信頼に特効薬はありません。
Working Dialogue: Trust is built over time. Every small task is a test of my sincerity. (信頼は時間をかけて築かれるもの。一つひとつの小さな作業が、私の誠実さのテストなのです。)
Built over time という表現には、レンガを一つずつ積み上げるような重みがあります。
即席ではない、本物のキャリアを語る時にぜひ使ってほしい大人の表現です。
3. 忍耐を美徳に変える:Stubborn stains
落ちない汚れ、繰り返される単調な作業。清掃の現場は、まさに忍耐の連続です。
Professional Perspective: This stubborn stain really tests my patience, but I won’t give up. (この頑固な汚れには本当に忍耐力を試されますが、私は諦めません。)
Stubborn(頑固な)という言葉を、ただの汚れに使う。
そこに、道具と現場に向き合う職人の個性が宿ります。
困難を嫌なことと捉えず、自分の忍耐力が試されている(Test my patience)と考える。
このマインドセットが、大人をプロにします。
4. 自分自身を鏡にする:Reflect who you are
清掃を終えた後の空間は、その作業をした人間を鏡のように映し出します。
Take Pride: My work reflects who I am. That’s why I take pride in what I do. (仕事は私という人間を映し出します。だからこそ、自分の仕事に誇りを持っているのです。)
Reflect who you are。これは、どんな職種の人にも当てはまる真理ではないでしょうか。
5. 会話例:妥協の誘惑にどう答えるか
現場では、時に効率を優先する声に直面することがあります。
そんな時、角を立てずに、かつ自分の芯の強さを示すやり取りです。
場面:作業終了間際、同僚のマークが「そこまでやらなくていいよ」と声をかけてきたシーン。
Mark: Hey, we’re almost out of time. Don’t worry about the floor behind the shelf. Nobody’s going to check back there. (なあ、もう時間だよ。棚の裏の床なんて気にしなくていいって。誰もあんなところチェックしないよ。)
You: I know. It’s an invisible spot, but I refuse to cut corners. (わかってる。目に見えない場所だよね。でも、私は手を抜きたくないんだ。)
Mark: Why? It’s just a small area. (どうして? ほんの小さなスペースじゃないか。)
You: Because my work reflects who I am. If I compromise here, I’ll start doing it everywhere. I want to take pride in every room I finish. (仕事は私自身を映し出す鏡だから。ここで妥協したら、どこでも妥協するようになってしまう。自分が仕上げたどの部屋にも、誇りを持ちたいんだ。)
Mark: …I see your point. I’ll help you finish it then. (……なるほどな。わかった、終わらせるのを手伝うよ。)
💡 職人の道具箱:今日のフレーズ深掘り
Cut corners 角を削る = 本来のプロセスを端折る(ネガティブな文脈)
Sincerity 表面的な誠実さではなく、裏表のない真心
Stick to my standards 自分の決めた基準やルールを貫き通す
おわりに:磨いているのは、自分自身
清掃の仕事をしていると、時々「私は空間を磨いているのではなく、自分自身の心を磨いているのではないか」と思うことがあります。
言葉も同じです。きれいな言葉、正しい言葉を自分に投げかけることで、私たちの振る舞いは変わっていきます。
今回ご紹介した英語が、あなたの仕事現場で、そして人生という長い清掃の時間の中で、自分を律する支えになれば幸いです。
あなたは今日、どんな言葉で自分を律しますか?
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