「お湯を沸かすの、やめました」――五徳20分と、きれいな床にもう一度ワックスを塗った日

今日の現場は、大阪市内のワンルーム。

退去後のハウスクリーニングです。

部屋全体を見る限り、それほど手強い現場ではありませんでした。床もそこそこきれいですし、キッチンも「まあ、普通に仕上がるだろうな」という感じです。

ただ、小型キッチンのガスコンロを見ると、五徳と受け皿にはそれなりの焦げが付いていました。

こういう時、以前ならまずお湯を沸かしていたと思います。

熱湯でふやかしてから洗剤につける。

確かに、それは一つの確実な方法です。

でも、今日は焦げの状態を見て、「そこまでしなくてもいけるかな」と思いました。

そこで、お湯を沸かすのをやめました。

まず、水をかけながら金属タワシでゴシゴシ。

そのあと、新品のカッター刃で焦げをざっくり削っていきます。

新品の刃って、やっぱり違いますね。

古い刃でも削れないわけではありません。でも、切れない刃で無理に作業すると、余計な力ばかり使うことになります。

聖書には、こんな言葉があります。

「鉄の道具が鈍くなっているのに、それを研がないなら、もっと力を使い果たすことになる」。

本当にその通りだなと思います。

掃除の仕事を長くやっていると、腕力よりも「何を使うか」で差が出ることがあります。

今回は、洗剤をかける前に、焦げの表面をタワシや刃でしっかり傷つけておきました。

その上から強アルカリ洗剤をたっぷり。

洗剤が効くまでの間にも、また水を流しながら金属タワシで擦ります。

最後は、細かい凹凸の部分です。

五徳の根元などは、100円ショップで買ったクリピーラーを使って、ツンツンと焦げを削り落としていきました。

こういう時、立派な専用道具がなくても、手元にあるものが意外と役に立つんですよね。

五徳と受け皿、合わせて20分ほど。

結局、お湯を沸かす時間はゼロでした。

もちろん、焦げの状態によっては熱湯やつけ置きが必要な時もあります。

今回は、「今日はこれでいける」と判断できたので、その方法を選んだだけです。

やっぱり、現場は毎回違いますね。

同じ五徳でも、同じ手順が正解とは限りません。


キッチンが終わってから、床に取りかかりました。

この床も、ぱっと見はきれいでした。

ツヤもあります。

おそらく、過去に何層かワックスが塗られている感じです。

正直、「今日はワックスを塗らなくてもいいかな」と思いました。

ところが、光の当たり方を変えて見ると、ポツポツと水滴が乾いたような跡が見えます。

近くで見ると、それほどでもありません。

でも、一度気になり始めると、やっぱり気になります。

そこで、中性洗剤で全体を軽く拭き上げたあと、ワックスを薄く一層だけ塗ってみることにしました。

すると、これが予想以上でした。

塗る前まで見えていた水滴跡が、すっと馴染んでしまったんです。

「ああ、これは塗ってよかったな」と思いました。

きれいな床だからワックスを塗らない。

汚れているからワックスを塗る。

そんな単純な話ではないんですね。

一見きれいに見える床でも、ツヤのムラや細かな凹凸が残っていることがあります。

最後に薄く一層重ねることで、全体の表情がそろう。

今日の床は、まさにそんな感じでした。


五徳では、お湯を沸かすという手間を省きました。

床では、逆に「塗らなくてもいいかな」と思ったワックスを、あえて一層塗りました。

面白いですね。

一方では工程を減らし、もう一方では工程を加えた。

でも、どちらも結果としては、時間と仕上がりのバランスが良くなりました。

掃除の仕事をしていると、決まった手順をそのまま繰り返すだけでは、うまくいかないことがあります。

今日は省略した方がいい工程もある。

逆に、あと一手間かけた方が、ぐっときれいになることもある。

結局は、目の前の現場を見て判断するしかありません。

長年やっていても、毎回ちょっとした発見があります。

だから、この仕事は飽きないのかもしれません。

今日もまた一つ。

「お湯を沸かさなくても、いける時がある」

そして、

「きれいな床にも、もう一層のワックスが効く時がある」

そんな発見のあった一日でした。

同じように現場で頑張っている同業者の方なら、「ああ、あるある」と思っていただけるかもしれませんね。

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