💡 はじめに:以前の考察を覆す「実体験」
以前、キッチンの水の流れが悪い原因について、排水口の「蓋が密閉しすぎている」可能性を考察したことがあります。
しかし、私自身の実際の現場経験を通じて、その考察を覆す事実に直面しました。
それは、蓋をとっても水の流れが悪い場合、その正体はほぼ間違いなく「微小な詰まり」であるということです。
本記事では、この「微小な詰まり」がどこで、なぜ発生するのか、そして私たちが現場で実践する、誰でもできる具体的な解消手順と解決策をプロの視点から解説します。
同じ問題で困っている方は、ぜひ参考にしてください。
1. 現象の確認:「微小な詰まり」の具体的なサイン
「水の流れが悪い」と感じる現象には、大きく分けて2種類あります。
もしあなたのキッチンが「B」の状態、つまり蓋をとっても排水速度が遅いなら、それは配管の奥ではなく、もっと手前の部分で「詰まりの初期症状」が発生しているサインです。
完全に詰まってしまう前に、今すぐ対処することが有利です。
2. 詰まりの「真の原因」はどこか?
水の流れが悪くなる原因は、配管の奥底にあるのではなく、多くの場合、シンク直下の排水トラップ周辺の「ヘドロ状の付着物」です。
📌 最も詰まりが発生しやすい場所
それは、排水トラップ内部の側面、特に以下の箇所です。
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椀トラップ(お椀型のパーツ)の側面や底
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ジャバラホースと排水口の接続部
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排水口の立ち上がり(垂直部分)の内壁
これらの箇所に、調理で使った油(動植物性)と洗剤カスが混ざり合い、時間の経過とともに薄い膜のように固着します。
この薄いヘドロ状の膜が、わずかに排水経路を狭めるだけで、流れは目に見えて悪くなります。
特に新しいキッチンやリフォーム直後の配管は、一度詰まりが始まるとすぐに顕著な症状が出やすい傾向があります。
3. プロの対処ステップ:詰まりを見抜き、解消する手順
微小な詰まりを確実に解消するために、以下の手順でチェックと掃除を進めましょう。
ステップ 1:トラップを完全に分解・点検する
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シンク下の収納を開ける: 排水管につながるパイプ(排水トラップ)が見える状態にします。
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トラップパーツを全て外す: 排水口の蓋、ゴミ受け、そして一番重要な**椀トラップ(お椀型のパーツ)**を全て取り外します。
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付着物の確認: 取り外したパーツだけでなく、排水口の立ち上がりの内壁と、パーツを外した後の排水管の入り口を懐中電灯などで見てください。ぬるぬるした薄いヘドロ状の付着物があれば、それが原因です。
ステップ 2:有効な洗剤で付着物を溶かす
物理的に届かない微小な詰まりには、化学的な力で溶かすのが最も効果的です。
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おすすめの洗剤: 高濃度のアルカリ性パイプクリーナー(例:パイプユニッシュ プロ、ピーピースルーFなど)を使用します。
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使い方: 洗剤の使用説明書に従い、適量を排水口に流し込み、必ず指定された放置時間(30分~1時間など)を守って待ちます。長時間放置しすぎると、かえって固着物になる場合があるため注意が必要です。
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注意!: 詰まりを押し流そうと熱湯を流すのは絶対に避けてください。高温の熱湯は配管を傷めるだけでなく、配管内の油を溶かしてさらに奥で再凝固させ、完全に詰まらせる原因になります。
ステップ 3:最終確認と予防
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洗浄とすすぎ: 放置時間が経過したら、大量のぬるま湯(50℃程度まで)を一気に流し込み、剥がれ落ちた詰まりを押し流します。
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流れの確認: 椀トラップなどを元に戻さず、直接排水口に水を流して、スイスイ流れるか確認します。流れが改善していれば成功です。
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予防の徹底: 2週間に一度程度、少量のパイプクリーナーを流す、または使用後の食器を拭き取ってから洗うなど、油を排水口に流さない工夫を習慣化することが最も重要です。
4. 配管洗浄が必要なケース
上記の自己対処法を試しても流れが改善しない場合は、排水トラップより奥にある横引き配管のどこかで、大きな油の塊などが詰まっている可能性が高いです。
この場合は、素人では対処が難しいため、高圧洗浄機を持つ専門の水道業者や清掃業者に依頼することをおすすめします。
ケルヒャーなどの市販の洗浄機もありますが、賃貸の場合は管理会社に相談するのが賢明です。
結び
「水の流れが悪い」と感じたら、「蓋のせい」と決めつけず、蓋をとっても流れが悪いならすぐに「微小な詰まり」を疑うことが、問題を早期に、かつ安価に解決する鍵です。この経験が、同じ問題で悩む誰かの助けになれば幸いです。
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