プロの裏技!浴室排水口の落ちない【赤紫変色/ロドトルラ】を塗装で新品同様に修復する方法

🚨 排水口の変色、まだゴシゴシ擦っていますか?

ハウスクリーニングの現場で最も厄介な敵の一つが、お風呂場の排水溝パーツにこってりと染み付いた赤紫色の変色です。

これは、通常のヌメリやカビではなく、色素が素材の奥深くまで浸透した**「ロドトルラ」などの酵母菌や頑固な色素沈着**が原因。

どんなに強力な洗剤や研磨剤を使っても、完全に除去するのは不可能に近い、時間と労力の無駄になりがちな作業です。

💡 プロの結論:ムキになるな、塗装で解決せよ

「変色にムキになるな」— 私たちプロの結論は、ここにあります。

素材の変色を徹底的に落とすために長時間費やすよりも、短時間で確実にお客様の満足度を最大化する「プロの裏技」があります。それが、部品の上から油性塗料を塗布し、新品同様の見た目に修復する方法です。

この記事では、まだ築浅の賃貸マンションで遭遇した強敵な排水溝の事例をもとに、私たちが実際に使用した塗料の種類、刷毛塗りを推奨する理由、そして失敗しない塗装手順を解説します。

  • カビキラーでも落ちない素材の変色に悩んでいる方

  • クリーニング作業の効率を上げたい業者の方

  • 賃貸物件の原状回復で変色パーツをどうにかしたい管理会社の方

もう、落ちない汚れに時間を使う必要はありません。この裏技で、あなたのクリーニング作業の常識が変わります。


🕳️ 築数年でも発生する最悪の変色事例

さて本題ですが、今回私たちが直面したのは、まだ築数年という新しい賃貸マンションの浴室でした。しかし、その排水溝は信じられないほどに汚染が進んでいたのです。

蓋を開けた瞬間、裏側は粘性の高いヌメリで真っ黒。ここまでの状態になると、もはや通常の清掃作業の範疇を超え、徹底的な根気が求められます。ゴミ受けのキャッチ部分を開けても、中のパーツ全てがベトベトに汚染されている状態でした。

蓋を開けると裏側がぬめりで真っ黒… ここまでくると流石に簡単には綺麗になりません。根気が入ります。

ゴミ受けのキャッチを開けると、中のパーツもベトベト。

 

一見すると「汚れさえ取れば綺麗になるのでは?」と思われがちですが、これこそが落とし穴です。この手の汚れは、素材とぴったりと固着し、結果として冒頭で触れた「素材そのものの赤紫色への変色」を引き起こしているのです。

この変色こそが、今回の最大の強敵でした。

🔪 力技で最初の難関を突破する:スクレーパーの活用

まずは、素材への侵食が始まる前の、表面の分厚いヌメリと汚れを除去する必要があります。

このような固着性の高い汚れの除去には、高価な専門ツールは要りません。

私たちが頼りにしたのは、100円ショップで購入した引っ掻くタイプのスクレーパーです。

段階 ツール 目的
物理的除去 100均スクレーパー 表面の分厚いヌメリを削り取る。
化学的除去 塩素系漂白剤(カビキラーなど) 削り取った後の色素やカビの除去。

ひたすら力を込めてガリガリと引っ掻き、分厚い層を物理的に除去します。

この力技で、作業の途中経過の写真にある通り、表面の目立つ汚れは難なく取り除くことができました。(力技でこの辺りまでは苦労しませんでした。キャッチもこんな感じ。)

しかし、問題はここからです。

🧪 化学戦:カビキラーの限界と残された変色

汚れを削り取った後に現れたのが、パーツの素材にしっかりと染み付いてしまった赤紫色の色素です。硬いもので擦っても落ちないこの変色こそが、ロドトルラやその他の色素が素材に浸透した証拠です。

キャッチもこんな感じ。

私たちは、化学の力に頼るべく、徹底的な浸け置き処置を行いました。

  1. カビキラー(塩素系漂白剤)を噴霧します。

  2. その上に、乾燥を防ぐためにキッチンペーパーを被せます

  3. さらに上からカビキラーを再噴霧し、ビニール袋の中に入れて密閉し、1時間ほど放置します。

この長時間湿布作戦の結果、キャッチの変色は目立たなくなり、十分に許容できるレベルに到達しました。(キャッチの方はこれでよしとしましょう。)

しかし、蓋や周りのパーツの変色は完全に消し去ることはできませんでした。これ以上時間をかけても、わずかな薄まりしか期待できず、作業効率は著しく低下します。

ここで、プロとしての判断を下します。

「落ちないものに、それ以上時間をかけるな」

🎨 最終手段:油性塗料による修復術

変色を完全に除去することが困難であると判断した時点で、私たちは「修復(リペア)」へと工程を切り替えました。

すなわち、上から塗装することで、視覚的に新品同様の状態に戻すのです。

1. 塗料の選定と準備

私たちが選んだのは、アイボリーホワイト系の油性塗料です。

  • 油性であること: 浴室は常に水がかかる場所であるため、水気に強く、耐久性の高い油性が必須条件です。水性塗料ではすぐに剥離してしまいます。

  • 色味: 元のパーツの色味(アイボリー系)に最も近い色を選びます。真っ白すぎると浮いてしまうためです。

現場で左官屋さんが使う「トロ舟」などの平らな道具の上にパーツを置き、刷毛で均一に塗料を塗布していきます。(この写真は左官屋さんが使うトロ舟の上で、アイボリーホワイトの塗料を刷毛で塗ったところです。)

2. なぜスプレー缶ではなく「刷毛」なのか?

思わず100均でスプレータイプの塗料を買ってしまいがちですが、この手の作業では「刷毛塗り」が絶対的におすすめです。

  1. 周囲への飛散防止: 浴室という狭い空間でスプレー缶を使うと、塗料が周囲の壁や床、浴槽に飛び散り、新たな清掃作業(養生と除去)が発生してしまいます。

  2. 塗膜の厚さ: 刷毛を使うことで、変色部分をしっかりと覆い隠せるだけの厚い塗膜を形成しやすいメリットがあります。

3. スピード乾燥と仕上がり

幸い天気が良かったため、日光に30分ほど当てるだけで塗料は完全に乾燥し、触っても問題ない状態になりました。(これで十分綺麗になりました!)仕上がりは予想以上に自然で、まるでパーツを新品に交換したかのように見違えました。

油性塗料を使っているため、通常の水気で剥がれる心配はありません。これで、お客様に対して自信を持って「完了」を報告できるレベルに達しました。

🔧 この塗装ワザを作業ツールボックスに備えよ

今回の経験から、この「油性塗料+刷毛」は、ハウスクリーニング作業者の必須ツールボックスに備えておくべき、緊急用のアイテムだと確信しました。

  • 応用範囲の広さ: 排水溝パーツの変色以外にも、浴室のゴムパッキンに染み付いた黒カビや、経年劣化によるコーキングの黄ばみの上から塗布することで、視覚的な問題を簡単に解決できます。

  • コスト効率: パーツの交換費用や、徹底的な変色除去に費やす人件費と比較すると、塗料代と短い作業時間だけで済むため、非常に経済的です。

クリーニング作業で塗装をするのは邪道だと考える方もいるかもしれませんが、賃貸物件の原状回復や、お客様の「見た目」への要求レベルが高い現場においては、最も効率的で確実な問題解決手段となるのです。


🧐 塗装リペアに関するFAQ

質問 (Q) 回答案 (A)
Q1. 塗装はどのくらい耐久性がありますか?水で剥がれたりしませんか? A. 今回使用したのは油性塗料です。完全に乾燥させれば水に対する耐性は非常に高く、通常のシャワーやお湯で剥がれることはありません。ただし、ブラシで強く擦ったり、鋭利なものを当てたりすると、部分的に剥がれる可能性はあります。
Q2. 次のハウスクリーニングの際に剥がれたらどうすればいいですか? A. 塗装は恒久的なものではありません。次の清掃時に剥がれて変色が顔を出した場合は、その箇所だけを再度タッチアップ(部分塗装)することで簡単に修復できます。短い時間で新品同様の状態を維持できるのがこの方法の最大のメリットです。
Q3. どんな塗料を選べば良いですか?メーカーのおすすめはありますか? A. **水性ではなく必ず「油性」を選び、色は元のパーツに合わせて「アイボリーホワイト」**系を選んでください。ホームセンターで手に入る一般的な油性塗料(鉄部・木部用など)で十分ですが、耐久性を重視するならFRPやプラスチックにも対応した塗料を選ぶとより安心です。
Q4. 塗装する前に、カビやヌメリを完全に除去する必要はありますか? A. はい、必要です。カビやヌメリの上に塗装しても、すぐに剥がれてしまいます。塗装前には、塩素系洗剤で可能な限りカビを除去し、**必ずパーツの水分を拭き取って完全に乾燥させてください。塗装は、あくまで「色素沈着した素材」**の上に施すものです。
Q5. スプレー缶は絶対に使ってはいけませんか? A. 刷毛塗りを強く推奨します。スプレーは塗料が周囲に飛び散り、浴室の壁や浴槽を汚染するリスクが高いためです。刷毛で丁寧に塗布すれば、養生の手間も省け、結果的に作業時間を短縮できます。

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