毎日触るiPhoneのホームボタン。
気をつけていても、指紋や皮脂、ホコリがホームボタンと本体の「微妙な隙間」に入り込み、黒ずんでしまいますよね。
電子機器だから濡らしたくないし、硬いもので擦って傷つけるのはもっと怖い……。

そこで私が試したのが、食パンの袋についている「バッグクロージャー」でした。
この硬さが、iPhoneの隙間の汚れを傷つけずに除去するのに驚くほど役立ったのです。
この成功体験が、ハウスクリーニングの現場で道具を工夫する大きなヒントになりました。
「爪や指を傷めることなく、硬いカルキ汚れを削り落とせるのでは?」――このアイデアを7ヶ月間試行錯誤したプロのリアルな物語を本記事ではご紹介します。
身近なアイデアから始まった試みが、なぜ最終的に栗ピーラーやゼンマイといった専門道具に移行したのか?
そして、プロの道具であるナルビーの刃を長持ちさせるための100均裏技まで、その全貌をお話しします。
1. 悩ましい!iPhoneホームボタンの黒ずみ問題
スマートフォン、特にiPhone 7などホームボタンがあるモデルをお使いの方なら、誰もが経験する悩みがあります。
それは、ホームボタンの周りの「溝」に溜まる黒ずみです。
皮脂、手の汗、空気中のホコリが混ざり合い、ボタンと本体のわずかな隙間に固着してしまうのです。私の仕事はハウスクリーニングですが、電子機器の汚れとなると話は別です。
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水拭きNG: 防水機能があるとはいえ、デリケートな電子機器を濡らすのはリスクがあります。
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硬いもので擦るのもNG: 画面やボタン周りの素材に傷をつけてしまうと、致命的です。
とはいえ、毎日触るボタンが汚れているのはストレスです。ここで私がひらめいたのが、「身近にある、ちょうどいい硬さの道具」でした。
2. 傷ゼロを実現!バッグクロージャー掃除術の発見
私がiPhoneのホームボタンの掃除に使ったのは、食パンの袋を留めている水色のプラスチック製の留め具、「バッグクロージャー」です。

なぜバッグクロージャーが最適だったか
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硬さが絶妙: バッグクロージャーのプラスチックは、爪よりもわずかに柔らかく、iPhoneのガラスや金属を傷つけるリスクが非常に低い硬さです。
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薄さと形状: エッジが薄く、ホームボタンと本体の間の数ミリの溝にスーッと差し込める形状をしています。
この道具を使って、ホームボタンの周りを回すように優しくつついた結果、長年こびりついていたゴミや皮脂の塊を、本体を無傷のままかき出すことに成功しました。
この成功体験が、私のプロの仕事における道具の固定観念を打ち破るきっかけとなったのです。
3. ハウスクリーニング現場への応用:爪を道具に変える発想
iPhoneで成功を収めた私は、このバッグクロージャーの「爪に近い硬さ」と「傷をつけにくい特性」を、ハウスクリーニングの現場に応用できると考えました。
プロの指先を守るために
ハウスクリーニングでは、キッチンの壁やフローリングの巾木などにこびりついた、微妙な水垢や飛び散った油汚れを、ついつい自分の「爪」で軽く擦り落としてしまうことがあります。
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問題点: 爪を傷めるだけでなく、最悪の場合、指を怪我してしまいます。血が出るような怪我は、毎日洗剤や水に触れる私たち作業員にとっては致命傷です。
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初期の結論: バッグクロージャーを予備の道具としてポケットに入れておけば、爪を傷めることなく、小さな汚れを削り落とせる!
一時的に、バッグクロージャーは「爪の代わり」として、固い水垢やカルキ汚れを除去するのに非常に役立ちました。
4. 7ヶ月後の結論:バッグクロージャーがプロの現場から引退した理由
しかし、プロとして作業効率と耐久性を追求していくと、バッグクロージャーには決定的な限界が見えてきました。
結論として、ハウスクリーニング作業でのバッグクロージャーの使用はおすすめしません。
プロの道具として使えなかった主な理由は以下の通りです。
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耐久性の限界: 固い水垢を繰り返し削っていると、バッグクロージャー自体がすぐに削れてしまい、消耗が激しすぎました。
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効率の悪さ: 広い範囲や、より頑固な汚れに対しては、何度も削る必要があり、専用の道具に比べて作業効率が極端に落ちてしまいました。
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安全性(破片のリスク): 劣化した際に破片が飛び散る可能性もゼロではなく、現場での作業道具としては信頼性に欠けると判断しました。
🛠️ 最終的に行き着いた「プロの最終解」
バッグクロージャーの引退後、私たちはより専門的でありながら、「傷つけずに細かい汚れを取る」という課題を満たす道具に移行しました。
それが、「ゼンマイ(バネ状の道具)」と「栗ピーラー」です。
これらの道具を扱う上で最も重要なのは、以前の記事でも触れたように「力加減(プレッシャーコントロール)」です。
プロの技とは、道具の硬さや鋭利さを理解し、対象物の素材を把握した上で、適切な力を加える繊細なバランスにあります。
5. プロの道具の悩み:ナルビーの刃を長持ちさせる秘訣
細かい汚れを除去するプロの道具の代表格といえば、ナルビーのカッター(スクレーパー)です。
しかし、このナルビーの刃は非常に切れ味が鋭い反面、炭素鋼(カーボン鋼)を使用していることが多く、水や湿気に触れるとすぐに錆びてしまうという悩みがあります。
ランニングコストを抑え、常に最高のパフォーマンスで作業するためには、使用後の「ひと手間」が欠かせません。
💡 ナルビーの刃の錆び対策と100均裏技
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徹底的な乾燥: 使用後、必ず乾いた布やペーパータオルで、刃に付着した水分や洗剤を完全に拭き取ってください。
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防錆処理: 拭き取った後、潤滑防錆スプレーを薄く吹き付け、キッチンペーパーなどで均一に塗り広げます。
この防錆処理ですが、高価な専用油でなくても十分です。
裏技:100均の潤滑防錆スプレーでOK!
100円ショップで販売されている潤滑防錆スプレーでも、ナルビーの刃の錆び防止には十分効果を発揮します。サイズが小さくツールボックスに入れやすい点もメリットです。ただし、必ず薄く塗布し、油分が残らないように拭き取ることを徹底してください。
最終章:プロの知恵は「試行錯誤」と「メンテナンス」から生まれる
iPhoneのホームボタンという、ごく個人的な汚れの悩みから始まったバッグクロージャーの試み。
この小さな発見が、まさかプロの現場の道具を見直す大きなきっかけになるとは、当時の私自身も思いもしませんでした。
バッグクロージャーは、一時的に私の指先を守ってくれましたが、現場は甘くありませんでした。
毎日使う道具には、「妥協のない耐久性」と「時短に繋がる効率」が求められます。
趣味のDIYなら良いかもしれませんが、私たちハウスクリーニングの仕事は、自分の体と、道具に課せられた厳しい要求との戦いなのです。
結局、バッグクロージャーは引退し、ゼンマイや栗ピーラーといった、プロの手に馴染む「力加減が命」の専門道具へと移行しました。
これは、「面倒でも道具を出すことの重要性」を再認識した瞬間でもあります。ついつい素手や爪で済ませてしまう一瞬の判断が、血の出る怪我となり、数日間の作業に致命的な影響を及ぼすのです。
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素手での作業を避ける
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手間でも防錆スプレーを欠かさない
これは、自分自身への戒めでもあります。
iPhoneの掃除という身近な話題から始まったこの試行錯誤の物語を通じて、私が伝えたかったのは、どんな仕事であれ、試行錯誤と地道なメンテナンスこそが、プロの安全と品質を支えているということです。
そして、それは100均のスプレーひとつでも実践できる、当たり前のことの積み重ねなのです。
このバッグクロージャーの活用法が、どなたかの日常の小さな悩みを解決し、またはプロとしての道具選びのヒントになれば幸いです。
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