1. 現場の描写と準備:排水口の「ヒタヒタ現象」にプロも警戒
「キッチンの排水の流れが悪い…」
「業者に頼んだけどすぐにまた詰まった…」そんな経験はありませんか?
今回のご依頼は、まさに排水不良。
水を流すと、ゴミ受けに水がヒタヒタに被さるぐらいの高さまで一旦溜まってしまいます。
その後、時間をかけて「スゥー…」と少しずつ流れていく。
これは、配管のどこかで水の流れが堰き止められているサインです。
🚨 排水管の詰まりを疑う、プロの初期判断
このような現象に遭遇した場合、私たちの初期判断は「配管内部の詰まり」です。
油や洗剤カスが長年堆積し、水の通り道が細くなっている可能性が高いからです。
もちろん、今回も高圧洗浄機を使った強力な洗浄作業を想定しました。
まずは原因特定のため、シンク下の収納を開け、排水管の接続部をチェックしました。
シンクの排水をエンビ(塩化ビニール)の配管に繋いでいる黒いゴムキャップ。
そのキャップを開けて、配管の入り口を覗き込んでみました。
…あれ?
なんと、キャップの内側も、そこから見えるエンビの配管の中も、驚くほどピカピカなのです。
長年の汚れが一切見当たらない状態。これはかえって厄介です。
詰まりの原因がさらに奥深くにある、ということを意味するからです。
🛠️ 念入りな「戦闘準備」と、高圧洗浄機ケルヒャーの出番!
原因が奥にあると確信した私は、すぐに作業の準備に取り掛かりました。
これが、結果的に「やらなくてもよかった準備」になってしまうのですが、この時点ではプロとして当然の行動です。
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廊下からキッチンまで: 高圧洗浄機のホースや水しぶきで汚さないよう、床と壁の境をマスカーテープで厳重に養生。
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給水栓の確保: ケルヒャーを作動させるために、洗濯機用のホースと洗面台の蛇口を繋ぐ準備。洗面台の床ももちろんしっかりと養生。
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機材の接続: ホースの緩みがないか、水漏れがないかを何度も確認し、いざ高圧洗浄機をスタンバイ。
これで後は、シンク下にホースを突っ込んで洗浄するだけ……。
そう思って、もう一度シンク下の構造に目を向けたとき、私は文字通り「唖然」とすることになりました。
2. 原因の究明:詰まりの原因は「汚れ」ではなく「ジャバラホースの長さ」だった!
高圧洗浄の準備を終え、いよいよホースを配管に差し込もうと、改めてシンク下の構造を観察しました。
シンク下の収納庫の奥には、壁からエンビ(塩化ビニール)の太い配管が突き出ています。
そして、シンクの排水口から伸びてきたジャバラホースが、そのエンビ配管に差し込まれ、黒いゴム製のキャップで固定されていました。
😱 プロも二度見した排水ジャバラの「施工不良」
ここで、私はエンビ配管の中をさらに確認するため、手でも簡単に回して外せる点検用の丸いキャップ(トラップ部分の清掃口)を外しました。
そして、その中を覗き込んだとき、先ほどまで「奥の詰まり」を確信していた私に、衝撃の事実が突きつけられました。
なんと、シンクから伸びてきたジャバラホースが、配管の奥深くまで異常なほど長く押し込まれていたのです。
配管内は水の通り道です。通常、ジャバラホースは水がスムーズに配管本管へと流れるように、適度な長さで接続されるべきです。
しかし、この現場では、長く押し込まれたジャバラホースの先端が、配管内で下向きに折れ曲がり、文字通り「ダム」のように水の流れを堰き止めていたのです。
水は流入口から入っても、ホースの先端で水流をストップさせられ、溜まってしまう。
これでは流れが悪くなるのは当然のこと。
「詰まり」の原因は、油汚れでも、異物でもなく、あまりにも単純な「施工上のミス」でした。
🗣️ 前回の業者の「そんなもんですよ」という言葉
この構造を確認した後、私はお客様からさらに驚くべき話を聞きました。
「実は、この辺りがカビだらけになってしまって、最近別の業者にこのジャバラを付け替えてもらったんです。」
「それから、急に水の流れがおかしくなってしまって…。」
そして、お客様は付け加えました。
「その施工した人に『流れが悪い』と聞いたら、『そんなもんですよ』と言われたんです。」
この言葉を聞いたとき、私はプロとして大きな憤りを感じました。
もし、このジャバラの長さの調整不足が原因で流れが悪くなっていたのなら、それは「そんなもん」で済まされることではない、明確な施工不良です。
お客様が抱える不安と不便を、「仕様です」の一言で片付けてしまう業者もいるのだと、改めて実感しました。
💡 解決策は高圧洗浄ではなく、たった一つの「調整」
排水不良の原因が高圧洗浄機のホースを突っ込む奥深くではなく、手で触れる接続部の構造にあったと判明した以上、やるべきことは明確です。
私はすぐに、ジャバラホースを一旦配管から引き抜き、配管内で水が滞留したりストップしたりしないよう、適切な長さに調整して接続し直しました。
3. プロの対応と結果:わずか数分の手直しで劇的に開通!
原因が構造的な問題、それもジャバラホースの長さにあると分かれば、作業はスピーディーです。
私は、長すぎて水の流れを妨げていたジャバラホースを、一旦エンビ配管から外し、配管内で水がスムーズに流れる最適な長さに調節し直しました。
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調節作業: ジャバラホースを短くしすぎても水が飛び散る原因になりますし、長すぎると再び詰まります。絶妙な位置を探りながら、スムーズな水の流れを確保できる長さに再接続。
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点検と確認: 丸い点検キャップをしっかりと閉め、黒いゴムキャップの部分からも水漏れがないかを入念に確認しました。
✨ あっけないほどの「劇的開通」
全ての調整と確認を終え、いざ水を流します。
水道の蛇口をひねり、勢いよく水を流し込みました。
するとどうでしょう。
さっきまでヒタヒタと溜まっていた水は、まるで嘘のように勢いよく、音もなく、一瞬で排水口に吸い込まれていきました。「開通!」
準備に時間をかけた高圧洗浄機は、結局一度も使うことなく、その役割を終えました。
正直な感想として、「キャップを開けて原因を確かめてから、機械の準備をすればよかった……」という、プロとしての反省の念が頭をよぎりました。
🎁 お客様への満足度を上げる「ひと手間」
排水は劇的に改善しましたが、お客様の心理的な不安はまだ残っているかもしれません。そこで私は、ある「パフォーマンス」を加えました。
「これで流れは完璧になりましたが、念のため配管の壁面に付着した細かな油分を洗い流し、今後の詰まりを予防しておきましょう。」
そうお客様に説明し、持参していた強力なパイプクリーナーを配管にドボドボと投入しました。
「これで配管の中もさらに綺麗になっていますよ。」
この一言と、目に見えるパイプクリーナーの投入作業で、お客様の顔には心からの安堵の表情が浮かびました。水の流れの改善だけでなく、「奥まで綺麗にしてもらった」という確かな満足感を感じていただけたようです。
4. まとめ:お客様の満足と、私たちが本当に提供したい価値
排水不良の原因は、多くの方が想像するような「配管の奥に溜まった油の塊」ではありませんでした。
その原因は、前回業者が行った「ジャバラホースの長さ調整ミス」という、目の前の構造的な問題だったのです。
💧 私たちの学びと、読者へのメッセージ
この経験から改めて学んだのは、「見た目の汚れ」だけでなく「構造」に目を向けるプロの視点の重要性です。
「そんなもんですよ」と片付けられたお客様の不安を解消し、心から安心していただけたこと。これが、私たちが本当に提供したい価値です。
もし、今ご自宅のキッチンの排水の流れが悪いと感じていたら…
高額な洗浄を依頼する前に、まずはシンク下の収納を開け、「排水ジャバラホースが、奥の配管にどれくらいの長さで差し込まれているか」をチェックしてみてください。それが排水不良の意外な原因かもしれません。
構造的な問題であれば、今回のように調整だけで簡単に解決することもあります。
もしご自身での調整が難しい場合は、構造的な問題も見抜ける信頼できる業者にご相談ください。
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