浴室の黒いタイプの換気扇。
ビス4本を外し、カバーを取り、ナットを緩めてファンを外す――。
一見、どこにでもある標準的な構造に見えます。
ところが、いざ分解してみると、ファンを外した瞬間に直径3cmほどの銀色のワッシャーがポロッと落ちる……。
円を描くように穴が開いた、構造のよく分からない部品。
戻そうにも安定せず、装着にやたらと神経を使う。
しかも、今回の現場はビル1棟まるごと、全室がこの構造でした。
「これは毎回外して洗う前提の作りじゃないな…」
昨日、私が指先の感覚がなくなるまで格闘して導き出した、「戦略的・直洗い」のコツと、それでも**「外して洗う時の攻略法」**を共有します。
1. 現場を凍りつかせる「1枚のワッシャー」の正体
あの特殊な銀色のワッシャーは、ファンのガタつきや振動を抑えるための押さえ用部品です。
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軽いバネ性で軸方向の遊びを抑制する
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回転時の微振動を吸収する
という重要な役割がありますが、実は頻繁な脱着は想定されていません。
昨日の現場のように、全室同一構造のマンションなどで、1室ずつこれと格闘していると、作業時間が大幅に削られるだけでなく、再装着ミスによる「異音」のリスクも高まります。
そこで、現場の状況を見て**「あえて外さない」**という判断も、プロの立派な選択肢になります。
2. 失敗しない「ファン直洗い」の鉄則ステップ
ファンを付けたまま洗う際、最も重要なのは**「いきなり濡らさないこと」**。順番が命です。
① まずは「乾いたまま削る」
洗剤をかける前に、カリカリに固着した汚れを物理的に破壊します。
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道具: 竹串、割り箸、プラヘラ、硬めの歯ブラシ
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コツ: 羽根の付け根や角を中心に削る。
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注意: 金属ヘラはファンのバランスを崩すためNG。
② 削りカスを徹底除去
削った汚れを掃除機やブロワーで除去します。水分を含む前に取り除くことで、汚れが泥状にならず、体感的に6〜7割は完了です。
③ 洗剤は「強さ」より「当て方」
ここで初めて洗剤を投入。モーター側に養生をした上で、強アルカリ洗剤を霧状にして羽根の裏側中心に吹き付け、5〜10分放置します。
④ 「回転」を利用してブラッシング
ファンは止めずに、片手でゆっくり回しながら、もう片手のブラシを当てて汚れを剥がします。
⑤ 水は「拭き取る」が基本
シャワー直当ては厳禁。霧吹きで流し、濡れウエスで確実に拭き取ります。
3. 実録:それでも「外して洗いたい」貴方への攻略法
「理屈はわかる。でも、外して裏までスッキリさせたいんだ!」 職人ならそう思う瞬間があります。
私も昨日、結局は外して挑みました。
しかし、戻す作業はまさに地獄。ワッシャーをセットしてファンをはめようとすると、わずかな振動でワッシャーが「ポロッ」と落ちる。
狭い天井裏、指先の感覚だけで行うパズル……。
格闘の末にたどり着いた、現時点でのベストな戻し方がこれです。
究極のコツ:真下からの「垂直アプローチ」
ワッシャーが安定しないのは、斜めや横からの振動があるからです。
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体勢を完全に真下に置く: 首は疲れますが、軸が地面に対して垂直になる位置に陣取ります。
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重力で乗せる: 軸の段差にワッシャーをそっと乗せ、安定させます。
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ファンとワッシャーを「一体」として押し込む: ワッシャーがズレる隙を与えないよう、ファンと一緒に指で支えながら、垂直に、かつ一気に押し込みます。
正直、これは最後は**「コツと勘」**です。
何度も失敗し、「あ、今センターに入ったな」というあの独特の手応えを覚えるまで、慣れるしかありません。
昨日の私は、この「慣れ」を掴むまでが勝負でした。
4. 結論:プロの仕事は「構造に合わせる」こと
今回の格闘を経て、自分の中に明確な基準ができました。
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「外す」選択: 汚れが極めて強く、垂直アプローチの体勢が確保でき、かつ「慣れ」によるスピード解決が見込める場合。
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「直洗い」選択: 体位が厳しく、ワッシャー脱落によるタイムロスや異音リスクが勝る場合。
「外すのが正義」ではなく、構造に合わせて最適なやり方を選び、壊さず、品質を揃えること。
あのワッシャーに苦労した経験が、結果的に作業品質と判断力を上げてくれました。
同じように天井を見上げて「戻らない…!」と絶望している方の、一つの判断材料になれば幸いです。
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