【プロの本音】「築40年の方が楽」だと感じる、ハウスクリーニングの意外な真実

ハウスクリーニングの作業者の方なら、一度は感じたことはありませんか?

「この築10年の最新の部屋より、むしろ築40年の古いタイプの部屋の方が、なんだか作業しやすいな」と。

もちろん、キッチンのコテコテ油汚れやタバコのヤニがひどい現場は例外ですが、一概には言えません。

多くの場合、古い物件は構造や備品がシンプルであるため、私たちプロの清掃業者にとっては意外なメリットがたくさんあるのです。

この記事は、多くの読者の方が持つ「古い物件=大変」というイメージを覆す、私たち現場作業者のリアルな主観を語ります。

なぜ古い物件の方が楽に感じるのか?その具体的な理由と、新しい物件ならではの作業の難しさを徹底解説します。

1. 「楽」の正体は構造と設備のシンプルさ

 

なぜ、古い物件が意外に楽だと感じるのでしょうか? それは、一言で言えば「構造や備品がシンプルだから」です。

本日清掃した現場は、築40年くらいの2Kの部屋でした。

正直、お風呂場のタイルのカビやその他の汚れはかなりのものでしたが、作業にそれほど苦労はしませんでした。

🛀 シンプルな構造は清掃の時短に繋がる

 

例えば、お風呂場一つとっても違いは歴然です。

  • 古い物件の浴室: 壁はタイル張り、浴槽はシンプル。換気扇もシンプルなカバータイプ。

  • 新しい物件の浴室: 複雑なパネル壁、浴槽のエプロン内清掃が必須、自動お掃除機能付きの換気扇や最新の乾燥機など、分解・養生・組み立てに手間がかかるパーツが多い。

このシンプルな構造のおかげで、古い物件では道具も洗剤もストレートに使え、余計な神経を使わずに済みます。

実際に清掃した浴室のタイルはひどいカビでしたが、最初にホースで水を流しながらブラシで擦り、その後カビキラーを十分に噴霧して15分放置するだけで、見違えるように綺麗になりました。

40年の物件にしては、十分すぎる仕上がりです。

2. 「経年劣化」がもたらすプロの心理的ゆとり

 

これが、新しい物件の清掃と決定的に違う部分です。

最新の物件の場合、私たちは小さな水垢や床の微細なムラ一つも許されないという、「新品同様」を求められる心理的なプレッシャーに常にさらされます。

仕上がりの品質に対して過剰なまでに神経を使う必要があるのです。

一方、築40年のような古い物件の場合、長年の使用による「変色」や「素材の劣化」は、清掃では完全に元に戻せないことをお客様も理解されています。

実際に、浴室の床の一部にどうしても落ちない汚れ(長年の変色と推測されます)が残ったとしても、私たちが「できる限りの最高の努力をした」というプロセスを見ていただければ、その仕上がりは許容されることが少なくありません。

この「許容される余地」があることが、古い物件での作業を精神的に非常に楽に感じる大きな要因なのです。

3. ワックス作業の難易度が低い「CF(クッションフロア)の安心感」

 

そして、作業効率を大きく左右するのが「床材」です。古い物件のほとんどは、床がフローリングではなくCF(クッションフロア)です。

プロにとって、フローリングよりもCFへのワックス塗布の方が、難易度は圧倒的に低くなります。

床材 ワックス塗布の難易度 理由とプロの心理
CF (古い物件) 凹凸が少なく、ムラが目立ちにくい。内装屋のノリなどの汚れをきっちり取れば、あまり神経質にならなくても綺麗に見える。
フローリング (新しい物件) 最大の敵は「日光」。日が差すとワックスの塗り始めやカスレ、水滴のような剥げ跡がハッキリと目立ち、完璧な仕上がりに神経を使う必要がある。

新しい物件のフローリングでは、一つの塗りムラがクレームに繋がりかねません。

その点、CFの現場では、板目に沿ってカスレがないように塗布すれば問題なし。

この作業負担の軽さも、「古い物件の方が楽」だと感じる大きな理由です。

結論:プロの技術と割り切りが活きる現場

 

もちろん、冒頭で述べたようにキッチンの油の固着やヤニ汚れなど、例外的に手こずる現場はあります。

しかし、トータルで見たとき、古い物件は「シンプルな設備」「仕上がりの許容範囲の広さ」「難易度の低い床材」というメリットが、作業者の心理的・肉体的負担を大きく軽減してくれます。

今日の現場は、改めて古い物件の持つ「意外な清掃のしやすさ」を感じさせてくれた、貴重な経験談でした。

 

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