「頼まれていないこと」はどこまでやるべきか?
――プロが守るべき境界線
現場で仕事をしていると、一度は必ず迷う瞬間があります。
「ここ、ついでにやっておいた方がいいかな」
「でも、頼まれてないし……」
「やらなかったら、手抜きと思われないだろうか」
誠実に仕事をしようとする人ほど、
この “境界線” に悩みます。
そしてこの線引きを誤ると、
良かれと思った行動が、
信頼ではなくクレームを生むこともあります。
この記事では、
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お節介と誠実の違い
-
クレームを生まない距離感
-
個人業者が信頼を失わない考え方
を、現場目線で整理します。
お節介と誠実は、似ているようで正反対
まず結論から言います。
お節介と誠実の違いは、「相手目線か、自分目線か」
ただそれだけです。
お節介とは
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「自分ならこうしてほしい」という判断
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良いことをしている“つもり”
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相手の事情や価値観を想像しない行動
誠実とは
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「相手はどう感じるか」を最優先する
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やらない判断も含めて責任を持つ
-
境界線を守る勇気がある
見た目は同じ行動でも、
出発点が違えば、結果は真逆になります。
「ついでにやっておきました」が危険な理由
清掃の現場では、
「ここも汚れてたので、ついでにやっておきました」
という行動が、トラブルの種になることがあります。
たとえば、
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触ってほしくなかった私物を動かしてしまう
-
使用方法が変わり、違和感を持たれる
-
「そこは頼んでない」と不信感を持たれる
こちらは善意でも、
相手にとっては “勝手に踏み込まれた” になることがある。
プロにとって大切なのは、
**「やるかどうか」より「どう扱うか」**です。
プロが越えてはいけない境界線
では、プロはどこに線を引くべきなのでしょうか。
判断基準は、次の3つで十分です。
① 生活動線や私物に関わるか
私物・配置・使い方に関わることは、
たとえ汚れていても慎重に扱うべき領域です。
→ 基本は 触らない/勝手に変えない
② 元に戻せないことか
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配置変更
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使い方の変化
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見た目や習慣に影響すること
これらは、
必ず事前確認が必要です。
③ 「説明できる理由」があるか
「なんとなく良さそう」ではなく、
なぜそれをやるのかを
相手に説明できるかどうか。
説明できないことは、
やらない方が誠実です。

それでも“気づいてしまった”時、どうするか
現場では必ずあります。
「これは、このままだと良くないな」
「放っておくと、また困るだろうな」
そんな時、
やる/やらないの二択にしないでください。
プロの正解は、
“伝える”ことです。
例
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「今回はご依頼外なので手は付けませんでしたが、気になる点があります」
-
「次回、もし必要でしたら対応できます」
これだけで、
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勝手にやらない
-
無関心にも見えない
-
主導権を相手に渡せる
という、理想的な距離感が保てます。
クレームを生まない人が必ず守っていること
クレームが少ない人には、共通点があります。
それは、
「期待値を勝手に上げない」 こと。
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頼まれていないことを黙ってやる
-
サービス過剰を常態化させる
これは一見、評価が上がりそうで、
実は 次回以降の期待値を歪めます。
誠実なプロは、
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できること
-
やらないこと
-
追加になること
を、きちんと線引きします。
個人業者が信頼を失わない最大のコツ
個人業者は、
「融通がきく」「何でもやってくれる」と
期待されやすい立場です。
だからこそ重要なのは、
“やらない勇気”を持つこと
何でも引き受ける人より、
線を引ける人の方が、長く信頼されます。
-
境界線を守る=冷たい
ではありません。
それは、
相手の生活を尊重しているということです。
まとめ:誠実さとは、踏み込まない選択を含んでいる
プロの仕事は、
「できることを全部やる」ことではありません。
-
勝手に踏み込まない
-
判断を押しつけない
-
主導権を相手に渡す
この姿勢こそが、
誠実さの正体です。
頼まれていないことを
「やらない」と判断できる人は、
実は一番、相手のことを考えています。
それができるからこそ、
また「次もお願いしたい」と言われる。
境界線を守れる人が、
人生のパートナーとして選ばれるプロなのだと思います。
※この記事は、清掃の現場で働く一人の記録です。
正解を押しつけるものではありませんが、
同じ仕事をしている方の判断の助けになれば幸いです。
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