「共感しすぎる人」が一番疲れる
―― 英語の Empathize が教えてくれる、心の距離の保ち方
誰かがつらそうにしているとき。
悩みを打ち明けてきたとき。
あなたは、相手の気持ちを自分のことのように感じてしまい、
あとから どっと疲れる ことはありませんか。
- 話を聞いただけなのに、気分が沈む
- 相手の問題を、自分の責任のように背負ってしまう
- 「共感できない自分」が冷たい人間に思えてくる
それは、あなたが優しいからです。
そして同時に、共感の仕方が少しだけ深すぎるのかもしれません。
英語には、この状態を的確に表す言葉があります。
Empathize(エンパサイズ)。
今回はこの Empathize を軸に、
本当の共感とは何か、
そして自分をすり減らさない心の距離について考えてみましょう。
1. Empathize の本当の意味
Empathize は、
「相手の気持ちがわかる」という軽い言葉ではありません。
語源は
- em-(中へ)
- pathos(感情・苦しみ)
つまり、
👉 相手の感情の中に入り込む
という意味です。
だからこそ、
Empathize はとても強力で、同時に消耗しやすい。
2. Sympathize との決定的な違い
前回の記事で扱った Sympathize と比べてみましょう。
| 単語 | 立ち位置 | 心の動き |
|---|---|---|
| Sympathize | 相手の外側 | 理解・同情・意見への賛成 |
| Empathize | 相手の内側 | 同じ痛みを感じる |
Sympathize は、
「それは大変だったね」と隣に立つ感覚。
Empathize は、
「その痛み、わかる」と同じ場所に立つ感覚です。
だから Empathize は、
人を深く救う力を持つ一方で、
自分を見失う危険もはらんでいます。
「優しい人」で終わらないために 英語の Sympathize から学ぶ、本当の共感と「同調」のワナ

3. Empathize が「しんどくなる瞬間」
Empathize が問題になるのは、
こんなときです。
- 相手の感情を、自分の感情と区別できなくなる
- 相手が立ち直れないと、自分も苦しくなる
- 「離れたい」と思う自分を責めてしまう
これは冷たさではありません。
境界線が消えているサインです。
共感は本来、
相手を助けるためのもの。
自分を犠牲にするためのものではありません。
4. Empathize を「健全に使う」英語表現
■ 健全な Empathize
I can empathize with how you feel.
(その気持ちはよくわかります)
👉 感情は共有するが、人生までは背負わない。
■ 境界線を引く Empathize
I empathize with you, but this is something you need to decide.
(共感はしますが、決めるのはあなたです)
👉 冷たくない。でも依存も生まれない。
■ 共感しすぎない選択
I understand how hard it is, but I can’t take this on for you.
(大変なのはわかりますが、代わりに背負うことはできません)
👉 これは「拒絶」ではなく、誠実さです。
5. Empathize の先にあるもの:Compassion
Empathize のゴールは、
「一緒に苦しむこと」ではありません。
本来は、その先にある
Compassion(慈しみ・行動する思いやり)
につなげるための通過点です。
- 共感する
- 状況を見極める
- 本当に助けになる行動を選ぶ
Empathize だけで止まると、疲れます。
Compassion に進むと、関係は健全になります。
「何もしない優しさ」は、もうやめる ―英語の Compassion が教えてくれる、本当に人を支える力
まとめ:共感には「深さの調整」が必要
Empathize は、
とても尊い能力です。
でもそれは、
無制限に使うものではありません。
相手の感情に入ることと、
相手の人生を背負うことは違います。
「あなたの気持ちはわかる。
でも、私は私の場所に立っている。」
この距離感を保てたとき、
共感はあなたを消耗させるものではなく、
人を支える力に変わります。
ひとこと締め
共感できる人は強い。
共感しすぎない人は、もっと強い。
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