はじめに
「もう任せたから」
「信頼しているよ」
そう言いながら、なぜか心が休まらない。
仕事でも人間関係でも、そんな経験はないでしょうか。
前回の記事では、
commit(任せて進む) と throw(投げて手放す) の違いを通して、
「何を抱え、何を手放すか」という基本の整理をしました。
「コミット」と「投げる」は同じじゃない ─英語の動詞が教えてくれた、仕事と人間関係の上手な手放し方
ところが実際には、
commit した“はず”なのに、
なぜか疲れが取れない人がいます。
その理由はとてもシンプルで、
任せたあとも、まだ握っているから です。
今回のテーマは、
rely と control。
この2つの動詞の違いを知ると、
「手放したのに疲れる」正体が見えてきます。
rely は「体重を預ける」動詞
rely を辞書で引くと、
「頼る」「信頼する」と出てきます。
でもこの言葉の核心は、
体の感覚 にあります。
rely は、
- 体重を預ける
- 寄りかかる
- 支えがなければ立てない
そんな状態を含んだ動詞です。
つまり、rely している間は、
自分では支えない。
安心感はありますが、
同時に「コントロールできない不安」も生まれます。
control は「安心の代わりに疲れる」
一方の control は、
- 状況を把握する
- 想定内に収める
- 先回りして調整する
という動き。
control は、
短期的にはとても安心です。
でも代償として、
常に気を張り続ける必要 があります。
実は多くの人が、
- 口では「任せている」と言い
- 行動では control を続けている
この状態に陥ります。
「rely しているつもり」で一番疲れる
ここが、いちばんしんどいポイントです。
- 進め方は相手に任せた
- でも結果は逐一気になる
- 失敗しそうだと口を出す
- 自分の中で常に最悪を想定している
これは rely ではなく monitor。
つまり、
手は離したが、
神経は離していない
状態です。
これでは、
自分も相手も疲れます。
なぜ人は control をやめられないのか
理由は、意志の弱さではありません。
不安を処理する方法が、それしかない からです。
- 失敗したらどうしよう
- 評価が下がったらどうしよう
- 関係が壊れたらどうしよう
こうした不安を感じたとき、
人は反射的に control に戻ります。
control は、
不安を一時的に静めてくれるからです。
rely とは「結果を引き取らない」こと
rely の本質は、
結果まで含めて、自分の管理下に置かない
という点にあります。
これは、
- 無責任になる
- 放置する
という意味ではありません。
役割を果たしたあとは、
結果を引き取らない。
これが、rely です。

仕事・人間関係での具体例
仕事の場合
- 指示は出した
- 必要な情報も渡した
- 期限も共有した
ここまでやったら、
あとは rely。
途中経過を何度も確認したくなったら、
「今、自分は安心を買おうとしていないか?」
と問いかけてみてください。
人間関係の場合
- 気持ちは伝えた
- 境界線も示した
それでも相手がどうするかは、
相手の選択。
そこまで control しようとすると、
関係は一気に重くなります。
rely できているサイン
次の感覚があれば、
rely に近づいています。
- 途中経過を見なくても眠れる
- 相手の失敗を想像し続けない
- 「もしダメでも、そのとき考える」と思える
逆に、
常に頭のどこかで気になっているなら、
まだ control の領域です。
おわりに
commit して進路を任せ、
throw して重荷を手放したあと、
最後に残る壁が rely です。
rely は、
一番静かで、
一番勇気のいる選択かもしれません。
でも、
すべてを管理しなくても、
物事は進んでいく
この感覚を少しずつ許せるようになると、
心の疲労は確実に減ります。
次回は、
「責任感が強い人ほど間違える carry / bear / hold」。
責任感が強い人ほど疲れる理由|carry・bear・hold が示す「背負いすぎ」の正体
なぜ真面目な人ほど、
自分を重くしてしまうのかを、
言葉の違いから見ていきます。
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