プロほど道具を減らしたくなる理由

 

清掃の仕事を始めた頃の私は、「道具が多いほどプロらしい」と思っていました。

強い洗剤。
特殊なパッド。
硬いブラシ。
新しい機械。

カートいっぱいの道具を見ると、それだけで“仕事ができそう”に感じたものです。

でも34年現場に立っている今、考え方はかなり変わりました。

むしろ最近は、

「できれば道具を増やしたくない」

そう思う場面が増えています。

先日のスパワールドの階段清掃でも、それを強く感じました。

洗剤はいらなかった。スパワールドの階段清掃で見つけた「引き算」の技術

今日は、なぜベテランほど“引き算”を始めるのか、現場で感じていることを書いてみます。


若い頃は「強く落とす」が正義だった

最初の頃は、とにかく“落とすこと”しか見えていませんでした。

汚れが落ちない。

もっと強い洗剤。

もっと硬いブラシ。

発想はいつも足し算です。

もちろん、それで解決する現場もあります。
実際、業務用洗剤の力は凄い。

でも、経験を積むほど、別の問題も見えてきました。


強い道具には「副作用」がある

例えば強いアルカリ洗剤。

汚れは落ちます。
でも同時に、

  • ワックスを傷める
  • 素材を荒らす
  • 手が荒れる
  • 匂いが残る

そんな“副作用”もある。

硬いブラシも同じです。

強く擦れば早い。
でも細かな傷が増え、逆に汚れやすくなることもあります。

若い頃は「落ちた=成功」でした。

でも今は、

「傷めずに綺麗にできたか」

を先に考えるようになりました。


本当に上手い人ほど、最初は静か

長年見ていて面白いのは、本当に上手い人ほど、最初の動きが静かなことです。

いきなり強い洗剤を撒かない。

まず見る。

触る。

濡らす。

少し試す。

現場と“会話”している感じです。

そして意外と、

「これ、水だけでいけるな」

となることがある。


道具を減らすと、見えるものが増える

道具が多いと、つい“道具で解決”しようとします。

でも減らしていくと、

  • 汚れの質
  • 素材の状態
  • ワックスの残り方
  • 水の反応

そういう細かな変化が見えてくる。

つまり、“観察力”が主役になるんですね。

これは34年やっていて面白い変化でした。


「何を使うか」より「どこで止めるか」

清掃って、突き詰めると、

「どこまで落とすか」

より、

「どこで止めるか」

の仕事なのかもしれません。

落としすぎない。

削りすぎない。

傷めすぎない。

この“加減”が一番難しい。

そして、この加減を覚え始めると、不思議と道具が減っていきます。

今日も雑巾をすすぎながら、次はどこで“引き算”できるかを考えています。


結論:最後に残るのは「水と雑巾」かもしれない

もちろん、プロ用洗剤も機械も必要です。

現場によっては絶対に欠かせません。

でも、経験を重ねるほど思うんです。

結局最後に頼れるのは、

「水」
「雑巾」
「観察力」

なのかもしれない、と。

派手さはありません。

でも、静かに綺麗にしていく技術には、独特の奥深さがあります。

 

だから今日も私は、道具を増やすより、“減らせないか”を考えながら現場に向かっています。

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