現場で一番困るのは、大きな不具合とは限りません。
むしろ「あと少しで完璧なのに」という微妙な不具合の方が悩みます。
今回の現場は比較的きれいなワンルーム。清掃も順調に進み、あとは終わらせるだけでした。
ところが、トイレの幅木を見た瞬間、小さな異変に気付きました。
わずか5センチほどですが、角の部分が浮いているのです。
気付かなければそのまま帰れたかもしれません。
しかし一度見えてしまうと、もう気になって仕方ありません。
普段ならこうした内装工事は専門の業者さんが行います。しかし今回の現場は、たまたま私たちの会社でCFを施工していました。
私は清掃担当なので、内装工事のプロではありません。
だからこそ悩みました。
このまま報告するべきか。
それとも自分で何とかできる範囲なのか。
しかも清掃が終わった後で補修となれば、再訪問や段取りなど、関係する人も増えてきます。
現場ではこういう小さな不具合ほど後でややこしくなることがあります。
しばらく考えた結果、おそらくボンド不足ではないかと思いました。
もちろん確信があったわけではありません。
ただ、浮いている範囲は小さいし、幅木そのものが反っているようにも見えません。
「少量のボンドを入れて圧着したら付くかもしれない」
そう考え、念のため持っていた百均の予備ボンドを使うことにしました。
床には雑巾を敷きます。
一番怖いのはボンドの入れ過ぎです。
どれくらい入れればいいのか。
正直なところ、ほぼ直感でした。
指で軽く押さえた時に、はみ出さない程度。
そんなイメージで少量だけ入れてみました。
案の定、指にはボンドが付きました。
すぐに水で洗います。
そして幅木を手で押さえて圧着。
数秒後、そっと手を離しました。
すると――
ぴったり付いています。
ボンドもはみ出していません。
思わず「おお」と言いたくなりました。
今回は結果的にうまくいきましたが、振り返ると大事だったのは技術よりも、余計なことをしなかったことかもしれません。
原因を考える。
最小限の作業で試してみる。
無理そうなら職人さんに任せる。
その判断の方が大切だったように思います。
現場では時々、教科書に載っていない判断を求められます。
今回は半分当てずっぽうでしたが、ひとつ経験になりました。
帰り際にもう一度幅木を見て、「よし、大丈夫そうだ」と確認して現場を後にしました。
次に同じことがあった時は、今回ほど慌てずに対応できる気がします。
そしていつか、
「このくらいなら大丈夫ですよ」
と余裕を持って直せるようになりたいものです。

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