パイルブラシ(蔵王)と家庭用掃除機で吸引力を比較してみた

はじめに

わたしは清掃の仕事で大阪では有名な大温泉、スパワールドに通っています。

カーペットクリーニングが作業担当の一つです。

カーペットをウエット洗浄する前に掃除機をかけるのが基本ですが、パイルブラシ(蔵王産業製)という、非常に大きな掃除機を使っています。

実物はこんな機械です。

新品で買えば○十万円します。

ググれば中古で妥当な値段で買えそうです。

商品の宣伝が目的ではないのでそれはさておき、この機械は重たくて大きいのが難点ですが、汚れの吸引力は家庭用掃除機とは比較にならないです。

この記事ではそれを証明したいと思います。

土足カーペットの汚れの8割以上はドライソイル

スパワールド内は基本的に靴を脱いで入ります。

ですが、あえて土足で歩く部分でパイルブラシとその他の掃除機の吸引力を比較してみました。

下の写真のように、土足で歩くカーペットにはドライソイルという、メリケン粉のような細かい粒子の黒い汚れがついています。

なんともいえない汚らしい色ですね。

これはパイルブラシにフィルターを通したものです。

では、パイルブラシとアップライト型掃除機、家庭用掃除機のドライソイルの吸引力を比較します。

パイルブラシの他の掃除機とはにならない吸引力

上の写真の一番上が、任意のタイルカーペットを1枚、パイルブラシで吸ったドライソイルです。

結構汚らしく黒いですね。

粒子がメリケン粉のように非常に細かいのが特徴です。

そのため皮肉なことにそもそも家庭用掃除機で吸ってしまうと紙パックを超えてモーターがやられることがあります。

左下のドライソイルは、任意のカーペットを1枚選び、家庭用掃除機で丹念にかけた後にパイルブラシで後から吸ったドライソイルです。

上より黒さが少しマシになっている感じでしょうか…

家庭用掃除機では、ドライソイルは全然取れていないのが分かります。

一方で右下のドライソイルは、任意のカーペットを1枚選び、アップライト型の業務用掃除機で丹念にかけた後にパイルブラシで後から吸ったドライソイルです。

だいぶ黒さがなくなっています。

アップライト型の掃除機は家庭用掃除機に比べてドライソイルを吸引しているのがよく分かります。

ですが、後からパイルブラシをかけると、まだまだドライソイルが取れてきます。

これで、土足カーペットのクリーニングは、高額になるものの本当に綺麗にしたければパイルブラシくらいの掃除機をかけることが必須であることがお分かりいただけたことだと思います。

実際に汚らしいカーペットがどれほどきれいになるかやってみます。

18年間放置のカーペットにパイルブラシをかけてみる

この写真の部分に18年間放置して汚くなったカーペットを敷きかえたみたいです。

この汚い色は、例のドライソイルです。

4枚の汚いカーペットのうち、赤丸のカーペットをパイルブラシで丹念に掃除機がけしました。

他の3枚と比べて若干薄くなっているのがお分かりでしょうか?

これでだいぶドライソイルは取れているはずです。

ですが、まだまだドライソイルはそこにいます。

それを洗剤で除去してみます。

「その後」洗剤をたっぷりカーペットに馴染ませる

下の写真は、パイルブラシをかけたカーペットの4分の1の部分です。

まず米国制の「ステインブレイク」という洗剤をまんべんなく噴霧します。

その状態でブラシをかけて泡立て、5分放置します。

水ですすぎつつ白いタオルで汚れを吸い取りました。

このタオルについたドライソイルの黒さ!

それでもタオルで吸っただけなので、まだまだ下にドライソイルはいます。

どれだけ汚れが取れているのか分かりにくいので、少し離れて撮影しました。

お試し洗浄のレベルで汚れを除去しました。

ドライソイルをとればとるほど、カーペットはきれいになるということがこれで証明できたと思います。

これでも、まだまだ下にドライソイルはいるので、時間が経てば浮いてきます。

その汚れをとるのに必要なのが、お湯をプシューと噴霧すると同時に汚れを吸引できるリンサーの機械です。

この機械も高額です。

このリンサーがどれほど汚れを吸引してくれる、その効果はあらためてまたお伝えしたいと思います。

それでカーペットクリーニングは、営利を主な目的で作業する業者では、本当には綺麗にできない理由がここにあります。

カーペットクリーニングは相応の機材と時間が必要

土足のカーペットはドライソイルという強敵が絶対にいます。

それを除去するためには、最低限パイルブラシレベルの吸引力の掃除機が必要です。

新品で購入すれば、60万円とかします。

検索してびっくりですが…

普通の清掃業者では、ちょっと買えない値段だと思います。

中古でも良いので、清掃業務をするのであれば1台は必要かなと思います。

それにその後、リンサーで1枚1枚吸っていると、時間が膨大にかかります。

だからたいていの業者は、ざっくり言えば、ポリシャーを回して汚水を吸引できる機械でさっと吸引するという工法を取ると思います。

そうしないと採算合わないので…

ですが、ドライソイルを本当に除去するためには、吸引力の強いバキュームと、お湯を噴射して同時に吸うリンサーが必要になると断言します。

さらに洗浄後、元々カーペットについていた抗菌剤もとってしまうので、カーペットプロテクターを全体に噴霧することも必要です。

作業時間や機材や洗剤にかけている費用を見積もっていくと、安い値段では仕事はできないですね…

終わりに

という事で、この記事ではカーペットクリーニング業者のスタッフとして、土足カーペットを綺麗にする工法を一般の方に向けてお伝えしました。

カーペットクリーニングに関しては、業者によって工法やポリシーは異なり異論もおありかと思います。

しかしドライソイルは強敵です。

なので普通の機材では本当に綺麗にするのは困難なのも事実です。

そんなお話でした。

最後にカーペットクリーニングに関して過去に書いた幾つかの記事をご紹介して終わりにしたいと思います。

アルカリ電解水とカーペット用洗剤 どっちがよく落ちるか比べてみた

バルチャーでセミドライでカーペット洗浄 サラサラ感再生

口紅の染みには消毒液がベストだった(カーペット洗浄)

最後までご覧いただきありがとうございました。

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