「お客様の通る通路のカーペットが、なんだかベタつく…」「土足厳禁のフロアなのに、足の脂でサラサラ感が失われてきた…」
ホテルや温浴施設などのカーペット清掃の担当者様は、このような悩みを常に抱えているのではないでしょうか。
時間をかけてウエット洗浄する余裕はないが、お客様には常に清潔なカーペットを提供したい。
この記事では、清掃歴25年のプロである私が実践している、蔵王産業の高速振動式洗浄機「バルチャー」を使った効率的な清掃ノウハウを徹底解説します。
短時間でカーペットのベタつきの原因である「足の脂」を根こそぎ除去し、手間をかけずにサラサラの状態をキープする具体的な方法と工程を、写真付きでご紹介します。
読み終えれば、あなたの現場の清掃ルーティンが劇的に改善されるはずです。
はじめに:短時間・周期的な洗浄で清潔を保つ
清掃の仕事でホテルなどの大型施設のカーペットをきれいに保つことは、施設の印象を左右する重要なミッションです。
特に、お客様の通路など、人が頻繁に通る場所は、長時間作業に時間をかけられません。
だからこそ、プロの現場では「短時間で洗浄でき、周期的に手入れすれば、そこそこきれいさを保てる」効率的な洗浄方法が求められます。
そこで私が長年愛用し、効果を実感しているのが、**蔵王産業の「バルチャー」**という機械を使った洗浄方法です。(このバルチャーの詳細については後述します)
この記事では、まず、この洗浄方法でカーペットがどれほどきれいに生まれ変わるのかをイメージしていただくため、実際の作業前と作業後の写真をご覧に入れます。
✨ バルチャーでの洗浄効果:ベタつきがサラサラに変わる
バルチャーを使った洗浄方法が最も効果を発揮するのは、スリッパや裸足で歩く室内のカーペットです。
土足で歩くカーペットは、定期的なポリッシャーとバキュームを使ったウエット洗浄が必要ですが、裸足のエリアであればバルチャーが非常に有用です。
【作業前】裸足で踏み歩かれたカーペットの状況
下の写真は、作業前のカーペットの状態です。裸足で踏み歩かれたことによる目に見えないベタベタ感や、アイスクリームやお菓子などの食べこぼし汚れが確認できます。
[作業前のベタついたカーペットの状態]

【作業後】短時間洗浄でサラサラ感が復活
そして、バルチャーでさらっと洗浄した後の仕上がりがこちらです。
写真では伝えにくいかもしれませんが、洗浄後は明らかにベタベタした感触が消え、「サラサラ」に変わったことが実感できました。
[洗浄後のサラサラ感が復活したカーペットの状態]

角度を変えて見てみると、バルチャーを走らせるだけで、このレベルの清潔な状態を日常的にキープできることがお分かりいただけるかと思います。
写真ではわかりにくいかもしれませんが、洗浄後はベタベタした感じがサラサラに変わりました。
少し角度を変えて同じカーペットの撮影。

🧽 バルチャー洗浄の工程と「足の脂」への効果
この「短時間でサラサラになる」洗浄効果は、バルチャーの特殊な機能と、カーペットの汚れの性質に基づいています。
1. カーペットの汚れの8割は人間の足の脂
実は、室内のカーペットの汚れのほとんど(約8割)は、人間の足から出る「脂分」だと言われています。
この脂が繊維に絡みつくことで、カーペットはベタベタとした不快な感触になってしまうのです。
洗浄後の綿パッドに染み込む、人間の足の嫌な臭いこそが、バルチャーがしっかりと脂分を吸着した証拠であり、同時に臭いも除去できていることになります。
2. 蔵王産業の「バルチャー」(高速振動式)の仕組み
私たちが使用している蔵王産業の「バルチャー」(高速振動式)は、このような機材です。
[蔵王産業のバルチャー(高速振動式)の写真]

【洗浄の工程】
- 事前準備: まず洗浄前に、ホコリなどの大きなゴミを取り除くために必ず掃除機をかけます。
- 洗剤噴霧: 機材の先端から洗剤をプシュプシュと噴霧します。
- 高速振動と吸着: 機材を左右に振りながら前方に動かし、高速振動させます。この振動によって、洗剤が浸透し、パッドがカーペットの奥の脂分や汚れを効率よく吸い上げて綿のパッドに吸収します。
【バルチャーのメリット】
- 短時間での作業が可能: 広い面積を短時間で洗浄でき、お客様の導線への影響を最小限に抑えられます。
- 乾燥が早い: ウェット洗浄と比べて水分量が少ないため、すぐに乾燥し、スリッパや裸足で歩く場所でもすぐに使用再開できます。
💧 洗浄に使用した綿のパッドの手入れ:プロの必須ルーティン
バルチャーでカーペットから足の脂を吸着させた後、忘れてはならないのが使用した綿のパッドの手入れです。
このパッドが清潔でなければ、次回の洗浄効果が落ちてしまいます。
しかし、ここにも現場ならではの工夫が必要です。
綿のパッドは洗濯機の中では十分に回転しない
バルチャーで使用する綿のパッドは、直径50センチほどあり、一般的な洗濯物とは勝手が違います。
通常の洗濯機に入れても、大きくて重いため、水中で十分に回転してくれず、パッドの奥まで染み込んだ脂分や汚れをきれいに落とし切ることができません。
そこで、プロとして実践しているのが、洗濯機に入れる前の「ひと手間」です。
アルカリ電解水を使った「つけ置き分解」がカギ
パッドを洗濯機にかける前に、以下の手順で汚れを分解し、脂分を徹底的に除去します。
- たらいの用意: 大きめのたらいやバケツを用意し、水を張ります。
- アルカリ電解水の投入: そこへアルカリ電解水を適量入れます。アルカリ電解水は、油汚れを分解する効果に優れているため、パッドに染み込んだ足の脂を浮かせるのに最適です。
- 一晩漬け込む: パッドをたらいに入れて、そのまま一晩漬け込みます。
一晩経つと、水面には分解された脂が浮き出ており、パッドの汚れがかなり取れていることが確認できます。
その後、念のため洗濯機にかけて残りの汚れを洗い流し、天日干しで乾かします。この「つけ置き分解」のひと手間を加えることで、パッドはふわっと綺麗な状態に戻り、次回の洗浄時にも最高の吸着力を発揮できるようになります。
【余談:アルカリ電解水の応用】
アルカリ電解水は、パッドの手入れだけでなく、カーペットの汚れ除去にもある程度の効力を発揮します。ただし、洗浄力だけで見るとタイトルレベル(タイル状の床)の洗浄に適している印象で、カーペット用の洗剤の代わりとして全面的に使うには、洗浄力が若干劣る場合があります。あくまでパッドに染み込んだ脂の分解に使うのが最も効率的です。
💼 【プロの視点】バルチャー運用のメリット・デメリット
高性能なバルチャーですが、現場での運用を考える上で知っておくべきメリットとデメリット、そして導入コストについて解説します。
メリット:効率と品質を両立
デメリット:導入と運用上の課題
【導入判断の目安】
ホテル、大会議室、大規模な温泉施設など、カーペットの面積が非常に広く、清掃の頻度が高い施設であれば、その効率化のメリットにより十分元が取れる投資だと断言できます。
🔑 終わりに:清掃の効率化は「ベタつき」解消から
この記事でお話しした通り、裸足で歩くカーペットは、目には見えにくい足の脂によって必ずベタベタになっていきます。
お客様が不快感に気づく前に、定期的にバルチャーを使って洗浄するというルーティンを確立することが、施設の清潔な状態を保つための最良の手段です。
バルチャーは、大きな初期投資と運搬の手間はかかるものの、広い面積を全て手作業で洗浄する手間と比較すれば、その効率化の恩恵は計り知れません。
室内の土足厳禁カーペットの日常手入れにお悩みの方は、ぜひバルチャーによる洗浄の導入、もしくは清掃業者への依頼をご検討ください。
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