はじめに:プロを悩ませた、空室トイレの「生臭い異臭」
ハウスクリーニングの現場で、トイレ清掃は通常、さほど手こずる工程ではありません。
しかし、先日担当した空室物件で、私は30年のキャリアで初めての事態に直面しました。
ドアを開けた瞬間、「うわっ、なにこの生臭い匂い?」 一般的な尿石汚れからくる臭いとは明らかに違う、異様な匂いです。
便器自体も極端に汚れているわけではない。この匂いの正体は何なのか?
本記事では、この謎の異臭の原因を突き止め、プロとしてどのように解決に導いたのか、その一部始終を解説します。
💡 【発見】30年で初めて見た!便器に点々と付着した「カビ」の正体
匂いの原因を探るべく便器を仔細にチェックしました。排水部分の水(封水)も正常で、配管からの臭気ではない。
そして、目を疑う光景を発見しました。
- 便器の表面に、黒い点がぷつぷつと点在している
これは、まさしくカビです。 長年の経験から、便器内にカビが発生することは非常に稀です。この異常な状態は、室内の湿気が極度に高いか、あるいは何らかの構造的な問題があることを示唆していました。
この「便器カビ」こそが、あの生臭い異臭の発生源であると確信しました。
🛠️ 解決策:カビ除去後の「残留異臭」を断つプロの最終手段
異臭の原因が特定できたところで、次は除去作業です。
- カビキラーによる徹底除去
- トイレのきつい汚れ(尿石など)には酸性洗剤が有効なケースが多いですが、今回はカビという生物的な汚れが原因です。そのため、プロとしてカビの除去に特化した**塩素系漂白剤(カビキラー)**を選択しました。
- 安全に留意し、ゴーグルと手袋を装着して、便器全面にカビキラーを塗布しました。
🚨 命に関わる最重要警告:絶対に「混ぜるな危険」
酸性洗剤(尿石用など)と塩素系洗剤(カビキラー)を混ぜると、有毒な塩素ガスが発生し、大変危険です。
作業を行う際は、必ず窓を開けるなど十分な換気を行い、絶対にこれらを同時に使用したり、混合したりしないでください。
また、プロであっても、ウォシュレットへの使用は自己責任であり、長時間の放置は避けるべきです。
- カビはすぐに除去され、便器はピカピカになりました。
- 残留異臭という壁
- しかし、時間が経って確認すると、最初に比べれば大幅に改善されたものの、まだ微かに生臭い匂いが残っていました。匂いの元となるカビは除去しましたが、別の箇所から僅かに匂いが放出されている可能性がありました。
- 【なるほど!】プロが選んだ「最終的な封じ込め」と作業の落とし穴
- そこで私は**「匂いを打ち消す」**最終手段として、トイレの床にワックスを厚めに塗布することを選択しました。ワックスに含まれる独特の香りで、生臭さを上書きすることに成功しました。
⚠️ プロの注意点:仕上げのワックスの落とし穴
ワックスがけの際、最も注意が必要なのが「髪の毛」や「ゴミ」の混入です。 清掃後の床に見落とした髪の毛やチリは、ワックスと一緒に塗り込まれると、乾燥後、仕上がりに張り付いて目立つクレームの元となります。そのため、ワックス塗布前の入念なゴミ除去はもちろん、乾燥後には床面を多角的にチェックし、異物の塗り込みがないことを確認するのがプロの仕上げです。
まとめ:プロの知恵と読者へのアドバイス
どんなベテランでも、仕事には予期せぬトラブルがつきものです。
今回のケースは、**「便器に生えたカビ」**という非常に珍しい現象が異臭の原因でした。
- 原因が特定できない場合: 残留異臭は消臭剤では長続きしません。原因を完全に除去できない場合は、ご自身がお気に入りの芳香剤を置くのが、最も心地よく過ごせる最善策です。
- プロの対策: 匂いの原因を突き止め、物理的に除去した上で、それでも残る匂いには**「別の香りで封じ込める」**という現実的かつ効果的な手段を取ることが、依頼主の満足に繋がります。
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