🤝 清掃作業者へ:現場のリアルと割り切り方
お疲れ様です。
ハウスクリーニングの現場で、築古物件の風呂場や窓枠の「手強いカビ」に何度も時間を食われている方は多いのではないでしょうか。
養生をしてカビキラーを撒いても、「見た目」として完全には落ちきらない。
特に長年放置された窓枠の底カビは、作業時間を大幅に食う厄介者。
この記事では、私が長年の経験で導き出した、「専門知識や理屈より、結果(綺麗に見えること)が全て)」という視点に立った、カビキラーの最大効果を引き出すための工夫と、「諦めの判断基準」をお伝えします。
結論、カビ取りは「工夫と根気強さ」が結果を左右しますが、限界もあります。
その割り切り方(カビ隠しの活用など)も含めて、現場で使える実戦的な手順を解説します。
まずは知っておくべき「カビのタチ」
我々が直面するカビは主に以下の2パターンです。
- 表面的なカビ(軽度): 短期間で付着したもの。通常のカビキラーで容易に分解されるため、拭き取りで完了。
- 根を張ったカビ(重度): 年数が経過し、コーキング材や窓枠材の奥深くまで色素が染み込んでいるもの。この色素を分解するには、接触時間と薬剤量を増やす「力技」が必要になります。
この「根を張ったカビ」への対処こそ、現場の効率を大きく左右します。
【風呂場編】「一発」で仕留める天井・壁面の段取り
風呂場のカビは、主に天井と壁面上部に発生します。
ここは垂れやすい場所のため、以下の「塗る」意識で段取りを組みます。
天井:浸透性を高める「雑巾塗布」が最速
スプレー噴霧は液だれが激しく、自分にかかるリスクも高いため、非効率です。
- 手順: 雑巾にカビキラーを「たっぷり」染み込ませます。(※ケチらず使うのが時短の鉄則です。)
- 工夫: その面で天井を撫でるように塗布。撫でるだけで色が抜けていくのが確認できます。
- コツ: 一度全体を塗り終えた後、カビが残る箇所には追い塗布を。液が自分に垂れないよう、保護メガネなどの安全対策は徹底してください。
壁面:垂れ跡を残さないための「先塗り」
壁面は噴霧しやすいですが、垂れた部分だけが綺麗になり、かえって**垂れ跡(ムラ)**が残ることがあります。
- 手順: 垂れ跡が残りそうな壁面は、まず雑巾でカビキラーを一度薄く塗布して湿らせます。
- 工夫: その後、カビのひどい四隅や角に泡を多めに噴霧し、充分に反応させる。
- 放置: 天井・壁面とも、最後に塗布・噴霧した後、半日〜数時間(可能であれば)放置することで、拭き上げの手間を最小限に抑えられます。
【窓枠編】「厄介な底カビ」への力技と根気の入れ方
窓枠は、底辺部分に水とホコリが溜まり、カビの色素が素材に強固に染みついています。
底辺以外(側面・上部):速やかに拭き取る
- 手順: カビキラーをたっぷりつけた雑巾で拭き取るだけでOK。ここは比較的楽に落ちます。
底辺:徹底した「噴霧→拭き取り→再噴霧」の反復作業
年数が経った底カビは、一度の噴霧では絶対に落ちません。
- 一次噴霧と拭き取り: カビキラーをたっぷり噴霧し、数分放置後、拭き取り用の雑巾でカビの層を削り取るように拭き取る。
- 二次・三次噴霧: 拭き取った後も黒いシミが残りますが、これはまだ反応が足りていない証拠です。再度カビキラーを噴霧し、数分後、再び拭き取り。
- 根気の勝負: この噴霧と拭き取りの反復を、見た目が許容範囲になるまで何度も繰り返します。この反復作業こそが、重度のカビを「力技」で分解する現場の「根気」です。
⚠️ 現場の教訓(ラップは非推奨) カビキラーの定着を図るためにラップをする手法がありますが、素材を変色(黄変など)させた経験があります。特に窓枠や古いコーキング材ではリスキーなため、繰り返しの噴霧と時間で勝負する方が安全です。
4. 現場効率のための「割り切り」判断基準と最終仕上げ
我々の仕事は時間との勝負です。
長時間の作業で、見た目がほとんど改善しない場合は、割り切りが重要になります。
最終的に諦めるべき「限界カビ」
以下の状態に至ったカビは、カビキラーの液剤が素材の奥底まで浸透しきっており、これ以上時間をかけても改善しない「限界カビ」と判断します。
- 窓枠の底: 5回以上の反復作業(噴霧→拭き取り)をしても、黒いシミの色が薄くならない場合。
- コーキング材: 数時間浸け置きしても、黒いスジが素材の中央部に残っている場合。
最終手段:カビ隠し(補修材)による「見た目」の仕上げ 【重要】
「限界カビ」に対し、無理に時間をかけるのは非効率です。清掃作業としては限界と判断し、次の手段を講じます。
現場の知恵: 市販の「カビ隠し」や「カビ補修ペン」のような製品を一つ用意しておくと、カビキラーで薄くはなったものの完全に色が抜けきらない箇所にサッと塗布するだけで、クレームになりがちな黒ずみを迅速に隠蔽できます。清掃後の見た目のクオリティを上げる、非常に効率的な「最終仕上げ」です。
まとめ:カビキラーは「ケチらず」「反復」、そして「割り切り」
カビ取り作業は、最初にどれだけ液剤をケチらず、適切に塗布・噴霧できるかが、その後の時短に大きく貢献します。
落ちが悪い箇所は「力技」で反復作業を行い、それでもダメなら潔く最終手段(カビ隠し、上塗りなど)に移行する。
この割り切りこそが、現場の効率を最優先するための鉄則です。
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