ハウスクリーニングのプロとして30年。
特に賃貸物件の退去後のフローリングは、元の状態が悪くワックスの濃淡ムラや剥げ跡にいつも悩まされます。
プロがどんなに丁寧にワックスを塗っても、前の入居者の生活による「こぼし跡」や「自然な摩耗」が原因で、光り方が均一にならない——これは清掃業者の最大の壁です。
しかし、私たちは経験から一つの「解決策」を見出しました。
それは、二層目のワックスをたっぷりと塗るというシンプルなテクニックです。
この記事では、プロの現場で実際に効果があった、ワックスのムラや剥げ跡を解消し、フローリングを均一に美しく見せるための究極のリカバリー手順を解説します。
1. 賃貸ハウスクリーニングの悩み:ワックス濃淡ムラと剥げ跡の正体
プロがワックス塗布前に直面する「ムラ」は、主に2種類に分けられます。
A. 大物剥げ跡(クレームになりやすい部分)
特定の場所に液体(水、消毒液、洗剤など)をこぼし、ワックスが溶けて剥がれてしまった跡です。
-
特徴: 20cm程度の大きさでボタッとワックスがはげた状態。
-
問題点: 日光が当たると非常に目立ち、新しい入居者からは「みっともない汚れ」としてクレームにつながりやすい。
B. 自然な濃淡ムラ(生活摩耗による光沢差)
家具の配置や歩行頻度により、特定の場所のワックスが薄くなり光沢が失われた部分です。周囲はテカテカしているのに、その部分だけ光が反射せず薄く見えます。
-
問題点: 部屋全体の光り方が均一にならず、ワックスを一層塗っただけではムラが解消しない。
2. 【実録】ワックス剥げ跡・濃淡ムラを修正するプロの二層塗りテクニック
これらの問題を解決するために、現場で実際に行った手順と、その効果を解説します。
ステップ1:大物剥げ跡にはワックスを薄く「補填塗り」する
広範囲にわたる大きな剥げ跡は、全体塗りの前に下地を整える必要があります。
-
剥げ跡を特定する: 特に目立つ、ワックスが完全に溶けている部分を特定します。
-
部分的に補填する: 剥げた跡の形に沿って、ワックスをごく薄く一層だけ塗布し、乾燥させます。
-
目的: 周囲のワックス層との「厚みの差」を埋め、光の反射を均一に近づける。
-
-
乾燥させる: 完全に乾燥するまで待ちます。
ステップ2:ムラ解消の鍵は「たっぷり二層塗り」
剥げ跡の補填が終わったら、いよいよ部屋全体のワックス塗布です。ここで重要なのが、ワックスの塗布量と回数です。
【結果】
この「たっぷり二層塗り」を行った結果、遠目からは気になる濃淡ムラや剥げ跡がほとんど目立たなくなりました。光沢が均一になることで、新しい入居者が気づく可能性は低くなります。
💡 プロの教訓: 一層目で神経質にムラを消そうとするよりも、二層目を適切に、少し多めに塗布することで、ワックスの層が厚くなり、光の反射が均一化されてムラが隠れる効果があります。
3. まとめ:ワックスムラに悩む方への最終結論
フローリングワックスの濃淡ムラや剥げ跡は、プロの技術で大幅に改善できます。
-
目立つ剥げ跡(こぼし跡):
-
対策: 最初にその部分だけを補填塗り(一層)して下地を整える。
-
-
自然な濃淡ムラ(光沢差):
-
対策: 部屋全体にたっぷりと二層目を塗布する。この二層目の厚みがムラをカバーする鍵となる。
-
ただし、ワックスの塗りすぎはヒビ割れや黄変の原因にもなりかねません。二層目で改善が見られない場合は、完全に乾燥させてから最終判断を行いましょう。
❓ 読者の疑問を解決!ワックスムラ解消Q&A
Q1. ワックスの「補填塗り」をした後、どれくらい乾かせば良いですか?
A. ワックスの種類や室温、湿度によって異なりますが、最低でも30分〜1時間を目安に、指で触って完全にベタつきがない状態を確認してください。乾燥が不十分なまま全体を塗ると、補填部分の色が濃くなり、逆にムラが強調される可能性があります。
Q2. 市販のワックスでも、この記事の方法でムラを直せますか?
A. 基本的なワックスの性質は同じため、この「二層目のリカバリーテクニック」は応用可能です。ただし、製品によって光沢度や成分が異なるため、元のワックスと異なる製品を重ね塗りする際は、目立たない場所で試してから行うことを推奨します。
Q3. 二層目を塗ってもムラが解消しない場合、どうすればいいですか?
A. 二層塗布でも解消しない場合は、ワックス層の劣化が限界に達しているか、厚くなりすぎている可能性が高いです。その場合、部分的な補修ではなく、古いワックスをすべて除去する「剥離作業」を検討する必要があります。
-
参考記事: 剥離作業が必要なほどの状態になってしまった場合は、こちらの過去記事で具体的な注意点をご確認ください。
スポンサーリンク


コメント