せっかく完璧に清掃を終えたのに、引き渡し時に『これ、そちらが割ったんですか?』と言われてヒヤリとした経験はありませんか?
実は、ハウスクリーニングの現場には、清掃業者が原因ではないのに、非常にクレームに繋がりやすい『隠れた不具合』が数多く存在します。
特に『ガラス』や『スイッチ器具』の周りは、入居者や担当者から見て『清掃中に破損した』と誤解されがちです。
「この記事では、年間数百件の現場を経験する現役業者の私が、『清掃業者のせいにされやすい』危険な不具合8選を現場写真付きで徹底解説します。
これらの不具合を『作業前に報告するだけ』で、あなたのクレーム率は激減します。今日から実践できる『プロのチェック術』を身につけ、安心して仕事ができるようになりましょう。」
1. 🚨 なぜ清掃作業員が不具合チェックをするのか?
「清掃業者なのだから、掃除だけしていればいい」
かつて私もそう考えていた時期がありました。
しかし、ある現場で無用なクレーム対応に追われて以降、考えを改めました。
私たちが清掃以外の不具合までチェックし、報告する最大の理由は、お客様(管理会社・オーナー)と私たち自身を守るためです。
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入居者の安心のため: 報告により入居前に修繕されれば、新しい入居者が不快な思いをせずに済みます。
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無用な責任の回避: 既存の傷や破損を事前に記録することで、「清掃中に壊した」という誤解から解放されます。
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プロとしての信頼獲得: 細部まで気を配る姿勢は、顧客からの信頼を確実に高めます。
少々手間はかかりますが、この事前報告こそが、クレーム対応にかかる時間と精神的負担を圧倒的に減らす、最も効率的な防衛策なのです。
さあ、ここからは私が現場で特に遭遇する、見落とし厳禁の「8つの危険な不具合」をご紹介します。
2. 🏠 【現場写真で確認】ガラス・スイッチ周辺の要注意不具合8選
クレームに直結する危険性が高いため、作業に入る前に必ずチェックリストとして活用してください。
① 【要注意度:高】なんといっても網戸の破れ・ほつれ
網戸の破れは、清掃作業者が原因で発生することはほとんどありませんが、なぜか「清掃業者が引っ掛けたのではないか?」と疑われやすい箇所です。

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状況: 大きく破れているものから、角がほつれて小さな穴になっているものまで様々です。
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危険な理由: 網戸の掃除で網を擦った際に「破れが進行した」と見なされる可能性があります。
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対策: 小さなほつれであっても、必ず作業前に写真を撮り報告しましょう。
② 【要注意度:高】汚れに見えてしまうガラス面の「傷」や「シミ」
これが最も厄介です。水垢や洗剤の垂れ跡のように見えるため、知識がない担当者には「清掃不良」と判断されてしまいます。

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状況:
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外側の傷: すりガラスなどに付着した、擦っても落ちない傷の垂れ跡。
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化学変化によるシミ: 水垢がガラスと化学反応を起こし、曇りガラス状に変質しているもの。
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危険な理由: 一生懸命擦っても落ちないため、清掃後の仕上がりチェックで必ず指摘されます。
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対策: 事前に洗剤などで軽く試してみて、落ちなければすぐに傷や化学変化であると報告。これは汚れではなく傷/変質であることを明確に伝えます。
③ 【要注意度:中】カーテンレールを止めているビスのぐらつき
カーテンレール本体の清掃時に、レールを引っ張ったり力をかけたりすると、ビスが緩んでいることがあります。

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状況: ビスが緩み、レール本体がぐらぐらしている。
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危険な理由: 掃除中にビスが完全に抜けたり、レールが脱落したりすると、破損の責任を負わされることがあります。
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対策: レールを優しく清掃せざるを得ません。ドライバーで締め直せそうであれば軽微な対処は可能ですが、ネジ穴がバカになっている場合は無理せず担当者に報告してください。
④ 【要注意度:高】スイッチ・コンセントの「カバーがない」または「大きな隙間」
内装工事や電気工事後に、スイッチプレートがきちんと取り付けられていないケースが散見されます。


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状況: スイッチやコンセントのカバーが完全に外れている、あるいはカバーと壁の間に異様な隙間がある。
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危険な理由: 隙間があると、清掃時の水や洗剤が内部の配線に侵入する危険性があります。また、新しい入居者が不安に感じるため、クレームの対象になりやすいです。
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対策: 隙間がある場合は、清掃前に担当者に連絡し、取り付け直すか、清掃時の養生を強化するよう依頼しましょう。
⑤ 【要注意度:中】天井の火災報知器(煙探知機)のぐらつき
天井についている火災報知器は、消防設備であり、清掃業者が内部を触ることは基本的にありません。
しかし、本体がぐらついていることがあります。

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状況: 天井の火災報知器の器具がぐらぐらしており、清掃のために軽く拭くことすらためらわれる状態。
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危険な理由: 無理に清掃しようとして部品が外れたり、アラームが鳴ったりすると、大きなトラブルになります。
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対策: 絶対に触らず、ぐらつきの状況を写真に撮って担当者に報告し、修繕担当者の判断を仰ぎましょう。
⑥ 【要注意度:低】ガラスの鍵(クレセント)部品の欠落・破損
頻度は低いですが、ガラスの鍵(クレセント錠)の一部部品が欠落していることがあります。

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状況: 鍵自体は機能しているが、何らかの部品がない。
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危険な理由: 鍵の不具合はセキュリティに直結するため、入居者にとって重大な問題です。
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対策: 鍵の施錠・解錠を試してみて、部品の欠落があれば報告します。
⑦ 【要注意度:中】電球の欠品と点灯不良
電球がそもそも付いていないこともありますが、問題は電球を付けても電気がつかない「点灯不良」です。

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状況: ユニットバスや廊下の電球が付いていない、または予備の電球を付けても点灯しない。
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危険な理由: 点灯不良は配線や器具本体の故障の可能性があり、入居後の修理は非常に面倒です。
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対策: 清掃前後に電球の有無と点灯状況を確認し、点灯しない場合はすぐに報告して担当者に確認してもらいましょう。
⑧ 【要注意度:低】壁とエアコン本体の不自然な隙間
エアコンの取り付けが不自然で、壁と本体の間に大きな隙間ができていることがあります。

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状況: 壁とエアコン本体が密着しておらず、隙間から配管が見えるなど、不安定に見える。
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危険な理由: クリーニング自体に影響は少なくても、入居者から「取り付けが不安定で不安だ」と指摘される可能性があります。
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対策: ぐらつきがないか確認し、隙間の大きさを写真に撮って報告しておきましょう。
3. 📸 クレームを100%回避する「不具合報告」の鉄則
不具合を見つけることは第一歩です。最も重要なのは、**「いつ」「何を」「どのように」**報告するかです。
鉄則1:写真撮影は「証拠能力」を意識する
口頭での報告は水掛け論になりがちです。必ず写真で記録を残しましょう。
鉄則2:報告は必ず「作業開始前」に「文字」で
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タイミング: 清掃作業を開始する直前、または現場入りしてすぐのチェック時に担当者に連絡します。
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手段: メールや専用チャットなど、文字として残る手段を選びましょう。口頭報告は、忘れた・聞いてない、の温床になります。
鉄則3:報告時の文言は「断定を避ける」
「これは網戸の破れです」「これはカバーが壊れています」といった断定的な表現は避け、報告と確認の形を取ります。
【報告例文】 「〇〇様、作業前のチェックを行ったところ、以下の箇所を確認しました。写真にてご確認ください。
リビング網戸(左側)に破れが確認されました。
洗面所スイッチ横のカバーに大きな隙間が確認されました。
これらは清掃作業に起因するものではないと判断いたしますが、ご担当者様にて修繕の要否をご確認いただけますでしょうか。」
4. 最後に:プロの「安心」をお届けする
清掃業者にとって、クレームは最大のストレス源です。
しかし、現場で培った「不具合を見抜く目」と「記録・報告の徹底」さえ身につければ、私たちは無用なトラブルから解放され、本来の仕事である**「完璧な清掃」**に集中できます。
あなたの貴重な実体験から生まれたこのチェックリストが、明日からの現場での不安解消と信頼獲得に繋がることを願っています。
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