経験30年超のプロが実践!清掃後のクレームをゼロにする「3つの徹底確認ポイント」

経験30年を超えるベテラン清掃員であっても、「小さなクレーム」は予期せぬ形でやってきます。

「自分では完璧に仕上げたはずなのに、なぜ?」。この疑問こそが、プロとしてさらなる高みを目指すための出発点です。

本記事は、私自身の過去の失敗から生まれた、**クレームを限りなくゼロに近づけるための「再発防止レポート」**です。

特に、

  • 「壊れているから手をつけなかった場所」
  • 「閉めたら見えなくなる場所」
  • 「新品だと決めつけてしまった場所」

―といった、誰もが見落としがちな**「現場の盲点」**に焦点を当てます。

この3つの徹底確認ポイントを押さえることで、あなたの作業品質は劇的に向上し、**「手直しゼロ」**の信頼を勝ち取ることができるでしょう。

1. なぜ起こる?「小さなクレーム」が大きな信頼失墜に繋がる理由

 

私たちプロ清掃員は、目に見える汚れや、キッチン・浴室といった特に汚れる場所の清掃には細心の注意を払います。水アカ、カビ、油汚れなど、努力が報われる「目立つ汚れ」は決して見逃しません。

しかし、今回私が経験したようなクレームは、**「ぱっと見の印象による思い込み」「作業の流れで発生する思考のスキ」**から生まれます。

汚れの度合いではなく、「なぜ手をつけなかったか」という思考の盲点こそが問題なのです。

清掃の手落ちが小さな砂埃一つであったとしても、お客様にとっては「プロが隅々まで見ていない」という不信感に繋がり、結果として信頼を失墜させる原因となります。

この教訓を踏まえ、実際に私が見落としてしまった「3つの盲点」と、二度とミスを繰り返さないための具体的な対策をご紹介します。


 

2. 【事例別】プロの清掃員が見落とした「3つの盲点」と対策

 

私の失敗事例から導き出した、特に注意すべき3つのポイントです。

 

2-1. 「壊れているからやらない」が危険!備品に対する判断の盲点

 

中古物件の清掃では、設備の修繕担当者が後に入る前提で作業をすることが多々あります。その際、「どうせ交換されるだろう」という勝手な思い込みが、手落ちを招きます。

【失敗事例】

  • カーテンレール: 古くボロボロで、レールランナーも外れていたため、「これは取り替えるだろう」と判断し、レールの溝の清掃をざっと済ませた。
  • 結果: 修繕担当者から「ランナーを動かしたら黒いゴミが落ちてきた。清掃が不十分」との指摘を受ける。実際は交換予定はなく、継続して使用される意向だった。

【プロが実践すべき対策】

壊れている備品や古い設備であっても、「現状維持」のための清掃は徹底しなければなりません。

確認・対策フロー 具体的な行動
作業中の心構え 交換の有無を勝手に判断しない。「現状維持」が基本と心得る。
カーテンレール レールランナーが動く範囲で左右に動かし、溝に溜まったホコリやゴミを必ず拭き取る。ボロくても、汚い状態を放置しない。
備品全体 破損していても、その部位に**「清掃の跡」**を残す。他の部分が綺麗になるほど、そこだけが目立つことを防ぐ。

 

2-2. 「閉めたら見えない場所」の砂埃を見逃さない確認の盲点

 

収納庫や棚の内部は、開けている間はよく見えますが、作業を終えて扉を閉めてしまうと、途端に確認を忘れがちな場所です。

【失敗事例】

  • 窓の下の収納庫: 内装の木屑が多く、一度掃除機で吸い、拭き掃除をした。しかし、閉めてしまう場所であるため、再度確認することを怠った。
  • 結果: 営業担当者から「収納庫の中が砂ぼこりでザラザラしている」との指摘。掃除機のノズルが届かない隅の木屑の吸い残しと、拭き上げ不足が原因だった。

【プロが実践すべき対策】

「閉める場所」こそ、清掃後の最終確認を二重で行う必要があります

  • 指の腹で触る確認: 掃除機が届きにくい収納庫や棚の四隅は、視覚だけでなく、必ず指の腹で触ってザラつきがないかを確認する。
  • 照明の活用: 押し入れや収納庫の奥は暗いため、スマホのライトや強力な懐中電灯で隅々まで照らし、ホコリや木屑の残りをチェックする。
  • 作業のルーティン化: 部屋の清掃が完了した後、「閉める箇所(収納、棚、窓、ドア)をすべて開けて再確認する」という最終チェックリストを必ず設ける。

 

2-3. 「新品だ」という思い込みが招いた清掃の手落ち

 

内装リフォーム後の物件では、新しく塗装・交換された箇所と、前の入居者のままの箇所が混在していることがよくあります。この「思い込み」は、手軽な箇所でのクレームに直結します。

【失敗事例】

  • 洗面室の扉: 汚れがなく非常に綺麗に見えたため、「これは新しく交換・塗装されたものだ」と判断し、清掃リストから外してしまった。
  • 結果: 営業担当者から「洗面台の扉(実際は洗面室の扉)が両面汚い」との指摘。よく見ると、扉にはドアノブ周りの手垢や内装作業時のノリがうっすら付着していた。

【プロが実践すべき対策】

扉や建具は、一見綺麗でも必ずチェックし、全室清掃の対象とします。

  • 確認基準の徹底: ドアノブやスイッチ周りなど、人の手が触れる頻度が高い箇所に手垢がないかを重点的にチェックする。
  • ノリや塗料の確認: ドアの下部や隅を下から見上げるなど、普段見ない角度から確認し、内装作業のノリや塗料の飛び散りがないかを確認する。
  • 全室対象: 「一部屋でも清掃が必要な扉があったら、他の全ての扉も清掃する」というルールを徹底し、綺麗な場所こそ軽視しない

3. 【行動編】クレームを「経験」に変える!再発防止のためのチェックリスト

 

さて、これまでの失敗事例と対策を現場で確実に実行するために、最終確認時に使える「クレーム予防チェックリスト」としてまとめました。

このリストを清掃後の最終工程に必ず組み込み、作業の抜け漏れを防ぎましょう。

確認箇所 クレーム防止のための行動 備考
【盲点1】壊れた備品 カーテンレール、外れた建具など、交換予定を勝手に判断しない。ランナーや溝のゴミは必ず清掃し、使用可能な状態にする。 「現状維持のための清掃」と割り切る
【盲点2】閉める場所 収納庫、棚、押し入れの四隅は、清掃後指の腹で触ってザラつきがないかを確認。暗い場所はライトで照らして再チェックする。 視覚だけでなく触覚も使う
【盲点3】新品と錯覚 ドア、建具は全て清掃対象とする。特にドアノブ周り、スイッチ周りの手垢や、下から見上げて内装のノリが残っていないかを確認する。 **「綺麗に見える場所こそ危ない」**と心得る

このチェックリストを現場に持参し、一つずつ潰していく手間は、後日の手直しにかかる時間や交通費、そして何より信頼を失うコストと比べれば、微々たるものです。


 

4. プロの対応力:小さなミスを信頼回復に変える報告のコツ

 

もし、万が一クレームが発生してしまった場合、プロの価値は「手直しの速さ」と「報告の質」で決まります。

私が行った対応報告のメール文面は、お客様との信頼関係を回復させるための基本テンプレートとして機能します。

 

【プロのクレーム対応テンプレート】

 

件名:【お詫びと対応完了のご報告】〇〇マンション〇号室 清掃手直しについて

〇〇様

お世話になっております。〇〇(あなたの名前)です。

この度は、ご指摘いただきました〇号室の清掃手落ちに関し、確認不足によりご不便をおかけしましたことを心よりお詫び申し上げます。

本日〇時〇分に現地へ伺い、

  1. ご指摘の収納庫の棚の隅々の拭き掃除
  2. 洗面室の扉の両面の拭き上げ

を、徹底して行い、完了いたしました。

今回のご指摘を真摯に受け止め、現場での最終確認フローを見直し、今後このようなことがないよう細心の注意を払って作業させていただきます。

貴重なご指摘をいただき、ありがとうございました。

今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

この対応のポイントは、言い訳を一切せず、事実を認め、具体的な再発防止策(=最終確認フローの見直し)を約束することです。ミスを認め、誠実に対応することで、かえって信頼が増すこともあります。


 

まとめ:ミスを恐れず、改善を続けるプロ意識

 

ハウスクリーニングの仕事に「完璧なゼロ」は存在しません。しかし、クレームをゼロに近づける努力、つまり**「失敗を経験値として積み重ね、二度と同じミスをしない仕組み」**を作り上げることこそが、30年以上の経験を持つ私たちが示すべきプロ意識です。

今回ご紹介した「3つの徹底確認ポイント」を、あなたの現場での新たなルーティンとして取り入れてください。

ミスを恐れる必要はありません。大切なのは、小さな見落としから学び、品質改善を続ける姿勢です。

 

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