【プロ必見】お風呂・水回り清掃で失敗しない!作業前チェックリストとクレームゼロを実現する「3つの報告ルール」

1. クレームを未然に防ぐ「プロの初期チェック」の重要性

 

ハウスクリーニングのプロとして現場に入る際、私たちはまず「汚れを落とす」ことに意識が向かいがちです。

しかし、実は作業の成否、そして何よりもお客様からの信頼を左右するのは、清掃を始める前の「初期チェック」にかかっています。

なぜなら、経年劣化や前の入居者の使用状況により、設備には目に見えない、あるいは見落とされやすい不具合が必ず潜んでいるからです。

  • 破損の見落とし 「作業中にあなたが壊した」というクレームにつながる。

  • 不具合の黙認 入居後に発覚し、管理会社やオーナー様の信頼を損なう。

私たちは、単に汚れを落とすだけでなく、物件の現状を正確に把握し、管理者へ報告する「現場の目」としての役割も担っています。

少々面倒に感じるかもしれませんが、この一手間こそが、後の大きなトラブルと時間のロスを防ぐ最大の予防策となるのです。

ここからは、筆者が過去1年間に渡る現場で特に確認頻度が高かった、水回り設備の具体的な不具合チェックポイントを解説していきます。


2. 現場別チェックポイント:最も破損が多い 🛁 浴室・お風呂場編

 

お風呂場は、温度変化、湿度、そして日々の動作による衝撃が多いため、キッチンやトイレよりも器具の破損がどこよりも多い印象を受けます。

清掃で水やお湯を使う前に、必ず以下の4点をチェックしてください。

2-1. 浴槽エプロンの「ひび割れ」と「接続部品の欠落」

 

浴槽のエプロン(バスタブ側面に取り付けられたカバー)は、清掃のために外すことが多い箇所ですが、その構造上、ひび割れや固定部品の欠損が頻繁に見られます。

  • ひび割れ: 一見何の問題もなさそうに見えても、清掃のために触れたり、光の加減で細かいヒビが見つかることがあります。これは多くの場合、経年劣化や強い衝撃によるもので、清掃で直るものではありません。

    • 【判断】 修繕案件として即時報告が必要です。

  • 接続部品の欠落(写真B): エプロンをバスタブ本体に固定するための部品(フックや爪)が片方だけ欠けていることがあります。これにより、エプロンがぐらつき、不安定な状態になっています。

    • 【注意】 この状態で無理に清掃すると、清掃中にエプロンが倒れ、あなたが怪我をしたり、部品がさらに破損するリスクがあります。

2-2. 排水口の「ゴミ受けキャッチ」欠損への対応

バスタブの水を抜くための排水口には、通常、髪の毛や大きなゴミを防ぐための「キャッチ(部品)」が備え付けられています。

  • チェックポイント: キャッチがそもそも存在しない現場が時折見受けられます。

    • 【対応】 元々なかったものとして見過ごさず、「本来必要なパーツが欠落している」旨を報告しましょう。これは修繕担当者がホームセンターなどで代用品を用意するための親切な情報提供となります。

2-3. シャワーフック・ホース受けのぐらつき(増し締め可否の判断)

 

シャワーヘッドを引っ掛けるフックや、その受け具が、ネジの緩みや壁への固定の劣化により、グラグラと動くことがあります。

  • チェックポイント: 軽く揺すってみて、明らかにぐらついているかを確認します。

    • 【プロの判断】 ぐらつきの原因がビスの緩みだけであれば、自己責任で増し締めすることは可能ですが、無理に締めすぎると壁の部材や器具本体を破損させるリスクがあります。少しでも不安がある場合は、**「清掃前からぐらつきあり」**として報告に留め、修繕担当者の判断を仰ぐのが最も安全です。

2-4. 乱雑な使用が原因の「風呂蓋のヒビ割れ」

風呂の蓋(フタ)は比較的頑丈ですが、乱暴に扱われたり、上に重いものを置かれたりするとヒビが入ることがあります。

  • チェックポイント: 蓋の表面だけでなく、折りたたみ部分や端の部分にヒビや割れがないかを確認します。

    • 【注意】 清掃中にヒビが拡大し、完全に割れてしまうとクレームにつながるため、ヒビが確認できた時点で清掃前に写真を撮り、管理者に共有しておきましょう。


3. 現場別チェックポイント:破損・調整が多い 🧴 洗面台・洗濯板編

 

浴室に比べて破損は少ないものの、可動部品が多く、特に力を加えられやすい洗面台周りには、特有の不具合が発生します。

3-1. 洗面化粧台の扉破損(90°以上の無理な開閉)と仮処置

洗面台の下の収納扉や、鏡裏の小物入れの扉は、接続部品(丁番など)が非常に壊れやすい箇所です。

  • チェックポイント: 扉をゆっくり開閉してみて、スムーズに動くか、または90度以上の角度で無理に開けようとした形跡(接続部のヒビやズレ)がないかを確認します。

    • 【重要】 扉がグラグラしている状態で清掃すると、簡単に外れてガラスが割れる危険性があります。外れそうな場合は、清掃後、入居前に誰も触れないように**マスキングテープなどで一時的に固定(仮処置)**し、その旨を報告してください。

3-2. 洗濯パンの「排水パーツ」と「隠しネジ蓋」の欠落

洗濯板(洗濯パン)の不具合は、主に排水周りに集中します。

  • 排水パーツの破損: 排水トラップのフタやパッキンが破損したり、伸びきっていたりしないか。

  • 隠しネジ蓋の欠落: 洗濯パン本体が床に固定されているネジを隠すための小さな蓋(化粧キャップ)が紛失していることがよくあります。

    • 【対応】 機能に支障はありませんが、美観上の問題があるため、欠落を報告することで修繕担当者が用意しやすくなります。


4. 【最重要】プロが行うべき「クレームゼロを実現する3つの報告ルール」

 

不具合を発見したら、「気づいた」だけで終わらせてはいけません。

管理会社やオーナー様との信頼関係を築き、あなたの作業を完璧なものにするために、以下の3つのルールを徹底してください。

ルール1:報告は必ず「写真2枚1セット」で行う

 

口頭や文字だけの報告は、状況が正確に伝わらず、見落とされる可能性があります。

  • 写真A:全体像(どこにあるか)

    • 不具合箇所が、浴室全体や洗面台全体の中でどこにあるかが分かるように撮影します。

  • 写真B:接写(どんな不具合か)

    • ヒビ、欠損、ぐらつきなど、不具合の内容が鮮明に分かるように拡大して撮影します。

  • 記録: 写真に添えて、「浴槽エプロン右下にヒビあり」「洗面台鏡裏収納の丁番破損」など、発見箇所と不具合内容を簡潔に明記しましょう。

ルール2:「清掃前」の記録を最優先する

 

初期チェックで破損を発見した場合、その写真が「清掃作業を始める前」に撮影されたものであることが、あなたの免責を証明する最も重要な証拠になります。

  • 証拠保全: 不具合を発見したら、清掃作業よりも先に写真撮影と報告を済ませましょう。これにより、「清掃中に壊したのではない」ことを明確に示せます。

  • 報告ルートの確認: 誰に(管理担当者か、現場監督か)、どのツール(LINE、日報、メールなど)で報告するかを事前に確認し、確実に情報共有がなされる仕組みを確立してください。

ルール3:「清掃と修繕の境界線」を絶対に超えない

 

プロの清掃業者は、あくまで「清掃」のプロであり、「修繕」のプロではありません。

  • 判断の原則: ひび割れや接続部品の破損など、部材そのものの交換や修理が必要な場合は、絶対に手を出すべきではありません。

  • ムキにならない: 汚れが落ちない場合に、無理に高圧洗浄や強い洗剤、硬い道具を使って設備を傷つけないようにしましょう。特にバスタブの表面の変色などは、清掃の限界であると判断し、「汚れ」ではなく「腐食・劣化」として報告する勇気も必要です。


5. まとめ:初期チェックをマニュアル化し、自信を持って清掃に臨む

 

初期チェックと報告ルールをマニュアル化することは、単なるクレーム予防ではなく、あなたの現場での作業効率と信頼度を飛躍的に向上させます。

「この清掃人が担当すれば、不具合の見落としはない」という評価は、管理会社からの継続的な発注につながります。

この記事で解説したチェックポイントと3つのルールを現場で実践し、クレームゼロという最高の信頼を勝ち取ってください。

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