「なんで勝手に決めたの?」にどう対応するか—— ボランティア団体での“手順への不満”をやわらげる3つのポイント

あのとき、私は完全にフリーズした

地域活動の一環として、海外の訪問団と交流するイベントを企画していたときのことです。

団体の代表者として、私は英語力やコミュニケーション力、過去の経験を考慮し、メンバーの中から3人の代表を選びました。

イベントを成功させたいという思いからの判断。

ところが、発表直後に選ばれなかったメンバーの一人から言われた言葉に、私は完全に固まってしまいました。

「なんで勝手に決めたの? 他のグループでは全員に聞いているのに」

頭が真っ白になり、「いや、だって…」と口ごもる私。

悪気があったわけでもなく、むしろ良かれと思っての決定だったのですが、相手には「無視された」「意見を聞かれなかった」と映っていたようです。

ボランティア活動は「誰でも貢献できる」「自分の意志で関わる」という点が大切だからこそ、自分の思いや努力が、よく分からない手順の中で置き去りにされたように感じると、人は強く反発してしまうんですね…

この出来事を通して私は、「結果が正しくても、決め方が間違っていると人間関係が壊れる」ということを身をもって学びました。

不満の多くは、結果そのものよりも「自分の意見が尊重されなかった」「貢献の機会を奪われた」と感じたときに生まれるものです。

今回は、この経験から学んだ「納得感を生み出しながら関係を保つ」ための3つのポイントをご紹介します。


1. まずは「共感」で受け止める

不満を口にする人の多くは、往々にして「自分の意見が軽んじられた」と感じているもの。特に意欲の高い人ほど、「自分も力になれたはず」という思いが強く、それが否定されたときに反発が生まれます。

だからこそ、最初に返す言葉は「そう感じるのも分かります」「他のグループでは違う進め方をしているんですね」といった共感の一言。

この段階で大切なのは、「自分の判断が正しかった」と説明することではありません。相手が求めているのは、賛同よりも「理解」なんですね。

もしここを飛ばしていきなり説明を始めると、どんなに正しい内容でも「言い訳に聞こえる」と受け取られ、相手の心は閉じてしまいます。
なので、まずは、感情を受け止めるクッションを置くことが大切です。


2. 背景や意図を穏やかに説明する

相手の気持ちを受け止めたあとで、判断の意図を“共有する”形で伝えましょう。命令口調ではなく、あくまで「背景の説明」という姿勢で。

たとえば、こんな言い方ができるでしょう。

「今回は海外からの来客との交流という目的があったので、英語で積極的に会話ができるメンバーを中心にお願いしました。皆さんの意欲も理解していますが、代表としての責任を考え、この形にしました」

「他の活動とは目的が少し違うので、今回は専門的なスキルを重視しました。全体をスムーズに進めるための判断でした」

こうして、どういう基準や考え方で決めたのかを丁寧に共有することで、相手の中にある「納得できない」という気持ちが落ち着き、「理由を聞けば理解できる」という前向きな受け止めに変わっていくことがよくあります。


3. 「やり方の違いは自然なこと」と伝える

ボランティア団体は、地域や規模、メンバー構成がそれぞれ異なります。ということは、どの方法が「正しい」わけではなく、チームに合ったやり方があるだけです。

大切なのは、「自分のやり方が一番正しい」と押しつけないこと。違いを多様性として受け止めましょう。

「どのチームにもそのチームらしい進め方がありますね。今回はこの形で進めてみましたが、皆さんの意見も次回以降に活かしたいです」

「目的は同じでも、やり方はいくつもあると思います。その都度、最適な方法を探っていけたらいいですね」

このように伝えることで、「自分の意見を否定された」と感じていた人にも、「自分の考えも尊重されている」と伝わりやすくなりますし、違いを対立ではなく、チームの成長のための多様な選択肢として受け止めてもらうことができます。


まとめ:不信感を信頼に変える伝え方

あのとき私がフリーズしてしまったのは、不満の根っこにあるのが「説明不足」と「貢献したいという気持ちが汲まれなかった」という感情だと気づいていなかったからでした…

けれども、その経験を通して、「結果を出す責任」と「プロセスでメンバーを尊重する責任」は両立できる、ということを学べたんですね。

今では、「あの時、不満を伝えてくれた人がいたからこそ気づけた」と感謝しています。団体の透明性や人との信頼関係は、活動の効率よりもずっと大切な基盤だからです。

だからこそ、
1️⃣ 共感して受け止める(貢献意欲を認める)
2️⃣ 背景を穏やかに説明する(判断基準の共有)
3️⃣ 違いを自然なこととして伝える(多様性の尊重)

この3つを意識するだけで、場の空気は驚くほど穏やかになるでしょう。

ボランティア活動は、「正しさ」や「効率」だけでなく、「温かい関わり」で支えられています。

伝え方ひとつで、不満は理解に、不信感は信頼に変わることが少なくないです。
この小さな工夫が、あなたのチームをもっと温かく、前向きな場にしてくれるでしょう。

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