【マンションの恐怖】排水の流れが悪くて「上のとい」から水が漏れた!個人では無理な詰まりのサイン

賃貸マンションのベランダ排水、詰まりを経験した方は多いでしょう。

しかし、その詰まりが「建物の命取り」になる可能性があることをご存知でしょうか?

私はハウスクリーニング業者として空室の503号室に入り、長年放置されていたベランダ排水の清掃を行いました。表面のゴミを掻き出し、仕上げにホースのジェット水で勢いよく水を流した、その瞬間――「上の階のとい(排水管)」から、水がぽたぽたと漏れてきたのです。

プロの作業でも起こったこの異常現象は、単なる「部屋の詰まり」ではなく、建物全体の共用縦管が完全に詰まっているサイン。

本記事では、この衝撃的な体験を元に、なぜベランダ排水の詰まりが上階に影響を及ぼすのか、そして、なぜこのレベルの詰まりは絶対に個人(または清掃業者)で対応してはいけないのかを、写真とともにお伝えします。同じトラブルに遭遇した方は、すぐに管理会社に連絡するための知識が手に入るはずです。


 

セクション1:最初に気づいた「異常」と「自分でできる清掃の限界」

 

私が今回清掃に入ったのは、築年数が経った賃貸マンションの503号室です。

 

1.排水口は「上から20cm」までゴミの層

 

排水口のフタを取り除くと、その穴の中は泥、土、砂、そして腐った落ち葉やホコリが絡み合い、深さにして約20センチ近くまで、硬いゴミが詰まっている状態でした。長期間にわたり異物が蓄積し、排水管への入口を完全に塞いでいたのです。

まずは手の届く範囲のゴミを地道に掻き出し、物理的に可能な限り綺麗にしました。

清掃前はこんな感じ。

ベランダ掃除のために水を流すと、流れないではないか… まずい!

そして、清掃後。

この状態そのものは、正常ですが…

 

2.清掃後の違和感:「洋式トイレ状態」の正体

 

大量のゴミを掻き出し、「これでスッキリ流れるだろう」と思ったのも束の間、すぐに違和感を覚えました。

排水口に水を流しても、水は全て流れきらず、穴の底に水が溜まったままになってしまうのです。

その様子は、例えるなら「洋式トイレの底」の状態。

この水溜まりこそが、悪臭や害虫の侵入を防ぐために設けられた「排水トラップ」内の「封水(ふうすい)」です。

水が溜まっていること自体は、トラップが正常に機能している証拠であり、異常ではありません。

 

3.本当の問題は「異常な水の流れの悪さ」

 

しかし、この現場での本当の問題は、水が溜まっていることではなく、水の流れが異常に悪いという点にありました。

水を流し込むと、溜まった封水の上にさらに水が乗り、流れきるまでに長時間かかってしまう。

これは、L字トラップのさらに奥、または縦管への接続部分に、細かな泥やヌメリがへばりつき、水の通り道を狭めていることを示唆していました。

「見えるゴミ」は除去できても、「見えない詰まり」は解消できていなかったのです。

この「見えない詰まり」を解消しようと、私は最終手段としてホースのジェット機能を使いました。

それが、後に建物のトラブルを露呈させる決定的な瞬間になるとは知らずに――。


 

セクション2:衝撃の瞬間!「上のとい」から水が漏れたメカニズム

 

 

1.ジェット水が引き起こした「衝撃の瞬間」

 

詰まりを解消すべく、ホースを排水口に突っ込み、ジェットの強力な水流を勢いよく流し込みました。

「ザーッ」という水の音に混じって、すぐに「ポタッ、ポタッ……」という、明らかに異常な水滴の音が耳に入ってきました。

音の発生源を探し、上を見上げると、そこには衝撃的な光景がありました。私の部屋の真上、すなわち上の階(6階)からの排水を受け持つ「とい(縦管)」の接続部と思われる箇所から、私が流した水が漏れ出ていたのです。

写真は撮り忘れましたが間違いありません。

自分が流した水が、まさか下ではなく上から漏れ出てくる。

この事態は、単なる「排水不良」ではない、建物の構造に関わる大問題が発生していることを示しているわけです。知らなかった…

 

2.詰まりの真実:縦管の下部で水がせき止められていた

 

なぜ、私が503号室で流した水が、上の階の排水管から逆流するように漏れたのでしょうか?

この現象は、私の部屋(503号室)よりさらに下層階の共用排水縦管が、完全に、あるいはそれに近い形で詰まっていることをはっきり示しています。

縦管の下でせき止められた水は、行き場を失い、上へ上へと溜まり始め、この状態で私がジェット水という「外部からの強い圧力」をかけたことで、溜まった水は一気に高い水位まで押し上げられました。

行き場を失った水は、縦管内の水圧に耐えられなくなり、上の階の合流部や、配管の継ぎ目といった「一番弱い部分」から外へ押し出されてしまいます。

これが、逆流した水が逃げ出した証拠であり、詰まりが建物全体に関わる深刻なレベルに達していることを示唆しているということになります。


 

セクション3:結論!個人での対応は危険で無意味な行為

 

 

1.プロでも触れない「共用縦管」の壁

 

私たちが清掃で手を加えられるのは、排水トラップを抜ける手前までです。その先の縦に走る太い排水管(縦管)は、マンション全体の排水を担う「共用部分」にあたります。

共用部分の清掃や修理は、建物の管理組合や大家さん(管理会社)の責任で行うべきものです。

素人の方がこの縦管の詰まりを解消しようと、ワイヤーブラシを無理に突っ込んだり、高圧洗浄機を無許可で使用したりすることは、配管の破損や階下への大規模漏水事故につながる重大なリスクを伴います。

私たちのジェット水でさえ水漏れを引き起こしたように、外部からの圧力がすでに脆弱になっている配管に致命的なダメージを与える危険性があるのです。

 

2.30年の経験で初めて遭遇した「建物の悲鳴」

 

実は、私はこの業界で30年近くハウスクリーニングの仕事をしてきましたが、自分の流した水が、上階の排水管から漏れ出てくるという事態に遭遇したのは、今回が初めてです。

この異常な詰まりと水漏れを管理会社に報告したところ、担当者から「この建物も、すぐにではないものの建て替えが視野に入っている」という話を聞きました。老朽化による配管の劣化が、今回のトラブルの根本にあったと確信しました。

長年の経験をもってしても、このレベルの詰まりは個人の手には負えません。今回の経験は、私自身の専門知識を深める上でも、非常に貴重で良い勉強となりました。

 

まとめ:唯一の正しい解決行動

 

あなたのベランダ排水が「洋式トイレ状態」で流れが悪く、特に「上の階のといから水が漏れているのを確認した」場合は、すぐに作業を中断してください。

排水詰まりの「サイン」 意味すること 正しい行動
洋式トイレ状態 トラップが正常な証拠。しかし流れが悪いなら奥で詰まっている。 管理会社に相談を。
上のといから漏水 共用縦管の下部が完全に詰まり、水が逆流している建物のSOS。 作業を即中断し、管理会社に緊急報告。

ベランダの排水詰まりは、時に建物の安全に関わる重大なトラブルの引き金になるので、決して焦らず、建物のプロに任せるという正しい行動を取りましょう。

作業報告は以上です。
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