I. 導入:古い賃貸の床問題と解決宣言
このビフォーアフターを見てください!
ビフォー

アフター

※尚、正面に見えている靴箱の色が違うように見えますが、撮影の時間が異なったためこのように写りました。ビフォーとアフターの2枚の下の方の床を比べてみると同じ現場であることをお分かりいただけます。
廊下の床が、汚れた茶色から、本来の明るいウッドカラーに蘇ったのがお分かりいただけるでしょうか?
今回、弊社が大阪市野田駅近くの賃貸マンションでご依頼いただいたのは、築22年で一度も剥離されていない激厚ワックス層のクリーニングでした。
長年の汚れを閉じ込め、変質したワックスが堆積した難易度の高い現場です。
通常の剥離方法では歯が立たない現場でしたが、プロの技術と経験で試行錯誤を重ねた結果、床材に一切ダメージを与えることなく、新築時のように明るいフローリングを取り戻すことに成功しました。
本記事では、プロの技術として、激厚ワックスを確実に剥がし取るための「剥離剤+水+スクレーパー」という必勝の裏技を、工程写真と共に徹底公開します。古いフローリングの清掃にお悩みの方は必見です。
II. 剥離前の床の状態 — なぜプロの剥離が必要だったのか
😭 長年の蓄積が招いた「黒ずみ」と「激厚ワックス層」
まずは、ご依頼時の深刻な状況からご覧ください。
築22年のこの現場では、ワックスがけが定期的に行われていた形跡はありましたが、剥離は一度も行われていなかったと推測されます。
特に人がよく歩く玄関や廊下では、ワックスが酸化し、ホコリや汚れが層の内部に閉じ込められた結果、黒ずみや薄い茶色に変色し、床材そのものが汚れているかのような状態になっていました。
この状態では、表面を拭き掃除するだけでは解決しません。分厚く硬化したワックス層を根こそぎ除去する、徹底したプロの剥離作業が必要でした。
III. プロが選ぶ!ワックス剥離で準備したもの(『ある道具』が必須)
難易度の高い現場だからこそ、床材に負担をかけず、確実に結果を出すための道具選びと段取りが重要になります。
🔨 準備したものリスト(プロ仕様)
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強力なワックス剥離剤:
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今回、複数の剥離剤を試した結果、フローリング剥離で最も効果的だったのがリンレイの「オールゴー」です。ドラッグストアやホームセンターで手に入りやすい製品でありながら、プロも納得の剥離力を発揮しました。
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バケツ 2つ: 剥離剤塗布用と、汚水回収用を分けるのは基本です。
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モップまたは刷毛: 均一に塗布し、ムラをなくします。
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ゴム手袋・ゴーグル: 強力なアルカリ性洗剤を使用するため、保護具は徹底します。
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スクレーパー (必須ツール): 激厚ワックス層を攻略するための最重要アイテムです。
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プロの視点:床材への傷を防ぐため、刃先(角度)が適切で、力の入れ具合を繊細に調整できるものを選定します。
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霧吹き: 剥離作業中に「水」を薄くまぶすため。
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バスタオル: 汚水と剥離カスを効率的に回収する時短テクニックに使用。
IV. 【裏技公開】築22年ワックス層を確実に剥がし取る手順
私たちが現場で実践した、プロの技術と経験に基づく「激厚ワックス層」を攻略するための手順をご紹介します。
Step 1: 剥離剤の塗布と「浸透」
まず、「オールゴー」を床全体にムラなく塗布し、規定時間放置してワックスを溶かし始めます。
しかし、今回のような激厚層の場合、規定時間では表面しか溶けません。
Step 2: 剥離剤+「水」でワックスを浮かす
放置後、溶け始めたワックスの上から「薄く水でまぶす」のがプロの現場テクニックです。
水を加えることで、剥離剤の働きが一時的に弱まり、溶けたワックスが床から浮き上がりやすくなります。
この水で浮かす工程が、床へのダメージを抑えるポイントです。
Step 3: 決定打!スクレーパーで「削り取る」作業
激厚ワックス層を完全に剥がすための決定打が、このスクレーパーで削り取る作業です。
水で浮かせた後、写真のようにスクレーパーを使い、浮き上がったワックスを床から丁寧にこそぎ取っていきます。
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プロの教訓と失敗談の共有: 実は、作業の最初はこのスクレーパー作業を怠ったため、ワックスが奥まで剥げず二度手間になりました。築年数の古い分厚いワックス層は、溶かすだけでは剥がれません。物理的にこそぎ落とす工程が必須です。
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成功のサインは「汚いグレーのネバネバした塊」! スクレーパーで削ると、長年の汚れが凝縮された汚いグレーのネバネバした塊が大量に出てきました。これが、ワックスが完全に剥離された何よりの証拠です。
Step 4: 現場の時短テクニック「バスタオル」で汚水を回収
スクレーパーで削り取ったワックスの塊と汚水を回収する作業は、プロの作業効率にも関わる重要なポイントです。
💡 現場の時短テクニック:汚水回収には「バスタオル」を活用!
現場作業では、時間短縮と確実な回収のため、雑巾ではなくバスタオルを使用しました。バスタオルは吸水性に優れ、ネバネバとした剥離カスや汚水を根こそぎ、一気に吸い取ってくれます。絞る作業は重くなりますが、この作業を行うことで、その後の水拭き(中和作業)が劇的に楽になり、トータルでの作業時間を短縮できます。
汚水を最大限回収した後、剥離剤の成分が床に残らないよう、水拭き(中和作業)を徹底して行います。(床がツルツル、キュッキュッと鳴るまで水拭きするのが目安です)
V. 劇的な変化!蘇ったフローリングとプロの仕事
廊下と玄関周り、及び部屋全体で3時間という時間をかけましたが、その結果がこちらです。

この部屋のキッチンのフローリングのビフォー

作業後

本来の明るい色を取り戻し、床がピカピカに蘇りました!
剥離前の黒ずみや変色が完全に解消され、長年の重い雰囲気がなくなり、ご依頼主のマンションは玄関から一気に明るくなりました。
床に一切ダメージを与えることなく、築22年の床を新築時の状態に戻す。
これこそが、プロのハウスクリーニング技術です。
VI. 剥離後の最重要ミッションと賃貸での注意点
この作業は成功しましたが、剥離後の床はワックスという保護膜がない非常に無防備な状態です。
プロの作業として、次のステップまで確実に行います。
1. 剥離後の最重要ミッションは「新しいワックスがけ」
剥離後は、速やかに新しいワックスを塗布し、床材を水や汚れから保護する必要があります。
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水性ウレタンワックス: プロは耐久性・耐水性が高いウレタン系を使用することが多いです。輝きが長持ちし、美しい状態を維持できます。
2. 賃貸物件で剥離を行う上での注意点
ご自身で同様の作業に挑戦される読者様へ、賃貸物件でワックス剥離を行う際の注意点を改めてお伝えします。
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管理会社への確認: 賃貸契約によっては、ワックス剥離が制限されている場合があります。トラブルを避けるため、事前に管理会社や大家さんに確認を取ることを推奨します。
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必ずテストする: 剥離剤は強力です。目立たない場所でテストし、床材への影響がないことを確認してから全体作業に移ってください。
VII. まとめ:プロの技術者が語る挑戦の価値
築22年で激厚ワックスという難易度の高い現場でしたが、リンレイ「オールゴー」の力と、「水で浮かし、スクレーパーで削り取る」という物理的なアプローチを組み合わせることで、床材にダメージなく、依頼主にご満足いただける仕上がりを実現しました。
時間と労力をかけた価値は十分にあり、床が蘇ることで、お部屋全体の価値と快適さが劇的に向上します。
古いフローリングの汚れに悩んでいる方は、専門業者に依頼する際も、この記事で解説した「スクレーパーによる物理的な剥離」の重要性を覚えておくと、確かな技術を持つ業者を選ぶ指標になるでしょう。
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