定期的に顔を合わせる勉強会や地域の集まり、サークルといった小さなコミュニティ。
そこは心地よい居場所であるはずですが、時にちょっとした言葉や態度が思わぬ誤解を生み、波風が立つことがあります。
先日、ある集まりでこんなことがありました。
そこには、いつも不安そうな表情で参加されている親子(70代のお母様と30代の娘さん)がいます。
娘さんはかつて不登校を経験され、今も外の世界との接点が少ないと聞いていました。
私は、少しでも彼女が話しやすくなればと、会場に入ってきた彼女に「おはよう、体調はどう?」と先に声をかけたのです。
すると、隣にいたお母様から思いもよらない言葉が返ってきました。 「私には挨拶はないのですか? 私のことは怖いの? 私、怖くないですよ」
さらに、その場にいない別の勝気な女性(Sさん)の名前を出し、 「Sさんと私のことが怖いのね、だから避けてるんでしょう?」 と、第三者を巻き込む形で問い詰められてしまったのです。
若い人を励まそうとしただけの行動が、まさか「母親を怖がって避けている」と変換されてしまうとは。
その場の空気を壊したくなくて必死に説明しましたが、後になって「別の振る舞い方があったのではないか」と考え込んでしまいました。
こうした「巻き込み話」にどう向き合うべきか、私の実体験から見えてきた対処法を整理します。
1. なぜ「第三者の名前」を出してくるのか
このような場面で重要なのは、相手は「事実」を確認したいわけではない、という点です。
「Sさんと私が怖いの?」という問いかけ。
これは、お母様自身が抱えている「周囲から浮いているのではないか」「怖がられているのではないか」という不安の裏返しです。
自分一人の被害妄想だと認めるのは刺さるため、他人の名前を出すことで自分の主張を正当化し、相手を揺さぶろうとしているのです。
相手が求めているのは正論ではなく、自分の不安をぶつけ、構ってもらうための「材料」なのです。
2. 「誠実な説明」が正解とは限らない
真面目な人ほど「誤解なら解かなければ」と丁寧に言葉を重ねます。
私も「Sさんの発言で場が荒れないよう配慮しているだけで、決して避けているわけではありません」と誠実に答えました。
しかし、このタイプの方にとって、丁寧な説明は「必死な言い訳(=やっぱり図星なんだ)」と受け取られてしまうことが少なくありません。
説明すればするほど、相手に新しい攻撃のヒントを与えてしまうことにもなります。
納得よりも「安心」や「優位性」を求めている相手に、言葉を尽くしても平行線のままなのです。
3. 巻き込み話への鉄則「広げない・乗らない」
不毛な泥沼を避けるために大切なのは、相手の土俵に乗らず、話を広げないことです。
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名前を拾わない: 出された第三者の名前に反応せず、話を個人間に留める。
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他人の気持ちを代弁しない: 「Sさんがどう思っているかは私には分かりかねます」と線を引く。
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「暖簾(のれん)」になる: 強い言葉を投げられても、柳に風と受け流す。
「そう見えてしまったのなら失礼しました」程度に留め、すぐに「さて、今日の集まりですが…」と、本来の目的や議題に話題を戻す意識が大切です。
4. 自分を責めそうになった時のチェックポイント
後で一人で反省会をしてしまう方は、次の3点を確認してみてください。
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誰かを軽んじる意図があったか?
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場の雰囲気を壊そうとしたか?
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特定の人を操作しようとしたか?
私の場合、純粋に若い人を気遣っただけでした。
もしあなたに悪意がなく、単に相手の受け取り方の問題であるならば、必要以上に自分を責める必要はありません。
それは「あなたの課題」ではなく「相手の課題」なのです。
5. 明日から実践したい「ストレスを最小限にする距離感」
では、こうした過剰な被害意識を持つ人と、今後どう接していくのが正解なのでしょうか。
私が心がけているのは**「親切にするが、深入りはしない」**という絶妙な距離感です。
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挨拶は「一括(いっかつ)」でする: 娘さんに声をかけたい時は、まず親子二人の方を向いて「おはようございます」と全体に挨拶をし、その「ついで」のような形で娘さんに一言添える。お母様を背景にしないことで、彼女の「無視された」というセンサーが作動するのを防ぎます。
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反応を「期待」せず「予測」する: 「また何か言われるかもな」とあらかじめ予測しておけば、いざ何か言われても「お、始まったな」と冷静になれます。驚きが減るだけで、心のダメージは劇的に少なくなります。
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二人の世界に付き合わない: お母様が「怖くないですよ」と自分語りを始めても、「ははは、そうですね」と短く返して、その場を離れるか他の人と話し始める。相手の「構ってほしいエネルギー」にガソリンを注がないのが、お互いのためです。
不自然に避けるのではなく、あくまで「丁寧な知人」という役割を演じきることが、閉じたコミュニティを長続きさせるコツです。
【まとめ】
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第三者を持ち出す問いかけは、本人の不安や「認められたい」欲求の表れ。
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誠実な説明が、かえって事態をこじらせることもある。
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「私には分かりかねます」と、境界線を引く勇気を持つ。
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不自然に避けるのではなく、適度な距離で「流す」のが大人のマナー。
すべての誤解に答えを出そうとしなくても、案外、人間関係は続いていくものです。 「わかってもらえなくても、私は私でいい」。
そう思えるようになると、集まりの時間が少しだけ軽やかになります。
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