なぜ You should は偉そうに聞こえるのか? ― 英語がこっそり決めている「主導権」の話

1. 親切のつもりが、なぜか空気が悪くなる

英語を勉強していると、こんな場面に出くわします。

相手のためを思って言ったのに、
なんだか距離を置かれた気がする。

たとえば、

  • You should take a break.

  • You should apologize.

日本語にすると
「休んだほうがいいよ」
「謝ったほうがいいよ」

どれも親切そうですよね。

でも英語では、この should が一気に“上から”に聞こえることがあります。
なぜでしょうか?


2. should は「アドバイス」じゃないの?

学校英語ではこう習います。

should = ~したほうがいい

これは間違いではありません。
でも、大事な前提が抜けています

英語で You should を使うとき、
話し手はこういう立場に立っています。

「何が正しいかを、私が判断できる」

つまり、知らないうちに
主導権(判断する立場)を自分が握っている


3. 英語の should は「正しさ」を前提にする

たとえば、こんな場面。

  • You should wear a helmet.

  • You should submit the report today.

これは失礼ではありません。
なぜなら、

  • ルール

  • 安全

  • 業務上の基準

といった 客観的な正しさ があるからです。

👉 should が自然に使えるのは、
「正解がほぼ決まっている場面」


4. 人の感情・判断に should を使うとどうなるか

問題はここです。

  • You should forgive him.

  • You should understand her feelings.

  • You shouldn’t be so upset.

この瞬間、英語ではこう聞こえます。

「あなたがどう感じるべきか、私が決める」

たとえ善意でも、
相手の心のハンドルを奪う形になる。

だから、

言っている内容は正しいのに、
なぜか偉そう・冷たい

という印象になるのです。


5. must にすると、さらに一段強くなる

ちなみに must は、should よりさらに強烈です。

  • You must calm down.

  • You must understand me.

これはもう
👉 命令・支配の領域

日常英会話では、
よほどの上下関係や緊急事態でない限り避けたほうが安全です。


6. じゃあ、何と言えばいいのか?

should を使わずに、
主導権を相手に残したまま伝える言い方があります。

✔ やわらかい提案

  • You might want to take a break.

  • It might be a good idea to apologize.

✔ 感情を尊重する言い方

  • I understand if you’re upset.

  • It’s up to you, but…

✔ 自分の視点に戻す

  • If it were me, I’d apologize.

  • I feel like taking a break might help.

これらはすべて、

判断はあなたにありますよ

というサインを含んでいます。


7. 英語は「優しさ」より「立ち位置」を見ている

ここが、日本語話者が一番誤解しやすい点です。

英語では、

  • 優しい言葉かどうか
    ではなく

  • 誰が決めているか

が、まず聞かれます。

You should は、
内容以前に 立ち位置が前に出る表現

だからこそ、
人間関係の話題では慎重に使う必要があります。


8. 前回の記事とのつながり(軽く)

前回の記事では、
「許しは要求(Demand)ではなく、贈り物(Gift)」
という話をしました。

それは権利(Right)?それともお願い(Gift)? ― 英語で謝るときに“主導権”を間違えると、なぜ不自然になるのか

should も同じです。

  • should → 正しさを提示する立場

  • 提案表現 → 相手に選択を残す立場

英語は、
主導権をどちらが握っているかを、文法で示す言語なんです。


結び:should をやめると、英語は一気に楽になる

You should を完全に封印する必要はありません。
ただ、

これは「正解がある場面」か?
それとも「相手の気持ちの話」か?

この一瞬の判断ができるだけで、
英語は驚くほど自然になります。

次に英語でアドバイスするとき、
should が口に出そうになったら、
一拍置いてこう考えてみてください。

今、ハンドルを握るのは誰だろう?


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