先日、私はあるレンジフードのクリーニングを終えました。
それは前回の記事でもご紹介した、塗装が非常にデリケートな黒いレンジフードです。
【レンジフード掃除】拭くほど黒くなる?そのベタつき、実は油汚れではないかもしれません
汚れを落としたい。
でも攻めすぎると塗装が剥げる。
そのギリギリのラインを見極めながら作業し、
「今回はこれがベストだ」
そう判断して現場を終えました。
ところが翌日。
一本の連絡が入ります。
「フィルターを交換しようとしたら、手に油が付きました」
一瞬、頭の中が真っ白になりました。
え?
あれだけ確認したのに?
まさか見落としがあったのか――。
そして私は再び、その現場へ向かうことになりました。
私が見ていたもの
前回の現場で私が最も警戒していたのは、汚れではありません。
黒い塗装でした。
このタイプのレンジフードは、油を落とそうと強く攻めると塗装まで剥がれてしまうことがあります。
実際に過去には、
「綺麗になったけれど色が変わった」
というクレームになった経験もあります。
だから今回は、
「絶対に塗装を傷めない」
という一点に神経を集中していました。
周囲の状態もそれほど酷くありません。
中性洗剤で丁寧に拭き上げれば十分綺麗になるレベルでした。
私は慎重に作業を進め、
最後に仕上がりを確認し、
「よし」
と現場を後にしたのです。
盲点は、わずか数ミリの溝の奥にあった
ところが今回の原因は、私がまったく別の場所に注意を向けていたことでした。
写真の赤い矢印部分です。

ここはフィルターを引っ掛ける受け口になっています。
写真をご覧いただくと分かる通り、非常に狭い溝です。
この部分の奥にだけ、過去に蓄積された古い油がコッテリと残っていました。
フィルター本体は綺麗になっている。
周囲も綺麗になっている。
ところが溝の奥だけが生き残っていた。
まるで敵が最後の砦に立てこもっていたような状態でした。
周囲の状況からは想像しにくい汚れ方だっただけに、完全に盲点でした。
「交換するなら言ってほしかった…!」
正直な本音を言います。
連絡を受けた瞬間、
「フィルター交換するなら先に言ってほしかった……!」
と思いました。
もし事前に、
「クリーニング後に新品フィルターへ交換します」
と聞いていたらどうだったでしょう。
私は間違いなく、この受け口の溝を最優先でチェックしていました。
新品フィルターは真っ白です。
少しでも油が残っていれば、すぐに手やフィルターへ付着してしまいます。
つまり今回は、
情報が一つあれば防げた可能性が高い案件でした。
しかし。
現場で起きたことは最終的に私の責任です。
聞いていなかったことは理由にはなっても、言い訳にはなりません。
私は道具を積み込み、現場へ向かいました。
15分で決着
現場で問題箇所を確認すると、原因はすぐに分かりました。
狭い溝の奥に固着した古い油。
周囲の塗装に影響を与えないよう慎重に処理しながら、奥に潜んでいた汚れを取り除いていきます。
作業時間は約15分。
問題の油を完全に除去しました。
そして担当者様へ一言。
「こちらの確認不足で、お手数をおかけしました」
仕上がりを確認していただくと、
「これなら大丈夫ですね」
と笑顔で納得してくださいました。
結果として、嫌な空気になることもなく無事に解決。
ホッと胸をなで下ろしました。
ベテランでも見落とすことはある
30年以上この仕事を続けていますが、現場は本当に奥が深いです。
今回改めて感じたのは、
「周囲が綺麗だからといって、すべてが綺麗とは限らない」
ということ。
特にレンジフードは、
- 溝
- レール
- フィルター受け
- 折り返し部分
など、油が逃げ込む場所が数多くあります。
しかも今回のように、
周囲は綺麗なのに一点だけ残っている
というケースも珍しくありません。
経験があるからこそ見える部分もありますが、
経験があるからこそ思い込みも生まれます。
今回の手直しは、そんなことを改めて教えてくれました。
まとめ:仕事は終わった後まで続いている
今回の現場で学んだのは、
「作業中」だけでなく、
「作業後にお客様がどう使うか」
まで想像することの大切さです。
新品フィルターへ交換する。
部品を外して点検する。
普段は触らない場所を触る。
そんな未来まで考えて初めて、本当の意味で仕事が完了するのかもしれません。
少し悔しい思いもしましたが、15分の手直しで大きな学びを得ることができました。
そして何より、
すぐに駆け付けて対応したことで、お客様との信頼関係はむしろ強くなったように感じています。
現場には今日も「まさか」が潜んでいます。
だからこそ面白い。
明日もまた、一つひとつ丁寧に向き合っていこうと思います

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