📰 新聞集金スタッフが辞められない、最高の瞬間の話

1. ストレスは過去のもの?低ストレスになった集金業務の今

 

正直に言えば、昔の集金業務は精神的にきつい仕事でした。

理不尽な文句を言われる、居留守を使われる、時には罵倒されることも珍しくなく、毎月月末になると気が重くなるのが常でした。

しかし、今は状況が大きく変わっています。

顧客対応に関するマニュアルが整備され、何かトラブルが生じたり、ネガティブなやり取りになったりした場合は、その場をすぐに去り、店に報告すれば集金人の仕事はそれでお終いです。

私たちが顧客と直接、感情的な軋轢を抱える必要がなくなったのです。

これにより、集金業務は精神的な負担が格段に少ない仕事へと変化しました。

給料は決して多くはありませんが、この低ストレスな環境こそが、私が長く続けられている土台となっています。

2. 単調な業務を「スリリングな挑戦」に変える(修正箇所)

 

ストレスが減ったとはいえ、業務自体は「領収書を渡して、お金を受け取る」という単調なものです。

このルーティンを、私は**「人との対話力を磨くスリリングな挑戦」**に変えることを楽しんでいます。

特に集金業務で起こりがちなのが、お客様との**「支払方法の行き違い」**です。

「うちは口座振替(またはクレジットカード払い)にしたはずだ」

訪問時にこう言われることは珍しくありません。しかし、実はこれがトラブルの原因になることはありません。

多くの場合、口座振替やクレジットカード払いは、お申し込み後すぐに開始されるわけではなく、1〜2ヶ月の準備期間が入ります。その間は訪問集金が続くのですが、お客様はその仕組みをご存じないのです。また、カードの有効期限切れでお客様が新しいカードに切り替えた際にも、販売店での再登録手続きに時間がかかり、一時的に訪問集金に戻るケースもあります。

こうしたとき、集金人側は難しい説明をする必要はありません。**「ご登録の確認で、行き違いがあったかもしれません。本日は申し訳ありませんが、現金をいただきます。すぐに店に報告し、次回以降の支払い状況を確認してもらいます」**と伝えれば十分です。

難しい事務手続きや説明はすべて店側が引き受けてくれる。集金人の仕事は、**「現状を確認し、報告する」**ところまでで完結します。

この仕組みのおかげで、私たちは現場で感情的になる必要がなくなり、業務をこなす余裕が生まれました。だからこそ、私は「領収書と現金の交換」という作業を、あえて一言、心遣いを添える**「声かけ実験」**に変えることを楽しんでいます。

  • 「いつもきっちり小銭をご準備くださり、ありがとうございます」
  • 「残暑が厳しいですが、熱中症など大丈夫ですか?」
  • 「毎月、お顔を見るのが楽しみです」

こうした言葉を投げかけたとき、顧客がどんな表情を見せるか、どんな言葉を返してくれるか。まるで小さな**「声かけ実験」**です。この挑戦は、成功すれば顧客との間に温かい空気が生まれ、失敗しても業務に支障はありません。給料には反映されないけれど、この能動的な工夫こそが、私にとって何よりのスパイスになっています。

 

3. 初対面の新規顧客から受けた、給料を超える報酬

 

そんな私が先日、長年の集金人生の中でも最も心温まる「最高の瞬間」を体験しました。

8月分の集金で、初めて担当する新規顧客の領収証を見つけました。過去の経験から「また厄介な客かも」というネガティブな予感もありましたが、週末の夕方に訪問すると留守でした。郵便受けに「お伺いしたけど留守でした」の用紙を投函して引き上げました。

数日後、改めて訪問すると、愛想のいいご主人が出てきて開口一番、こう言いました。

「前に来てくれた時、すぐ店に電話したんですよ。行き違いになってすみません。実は、そのあと下であなたを見かけて、うちに来てくれたんじゃないかと思ったんですが、声をかけられなくて…」

私が何度か訪問する手間を気遣い、すぐに販売店へ連絡を入れていたというのです。そして、インターホンが急になると子どもがすぐに出られない事情まで、丁寧に説明してくれました。

私は丁重に感謝を伝えた後、集金を終えようとすると、ご主人は一言、こう付け加えました。

「いえいえ、こちらこそ何度もすみませんでした。よかったらこれ、どうぞ

そう言って差し出してくれたのは、一本の栄養ドリンクでした。

 

4. 「心遣いの連鎖」が仕事を面白くする

 

私はマンションの下で、すぐにその栄養ドリンクを飲みました。この時、心底から**「ああ、この仕事を選んでよかった」**と感じました。

今時、初対面の集金人に、金銭ではない温かい心遣いができる人がいるという事実に、心が洗われるようでした。この一瞬の感動は、その月のわずかな給料や、過去の嫌な体験のすべてを上回る、最高の報酬でした。

この経験から、私は確信しました。

仕事における「心遣い」は、自分と相手の双方にやる気を促進させる力がある、と。

私が試していた小さな「声かけ実験」が、巡り巡って相手の「心遣い」を引き出したのかもしれません。あるいは、私が何も言わなくても、最初から温かい気持ちを持った顧客だったのかもしれません。いずれにせよ、私はこの仕事の価値を、単なる「労働の対価(給料)」としてではなく、「人との交流で得られる温かさ」という側面から強く捉え直しました。

 

5. 給料を超える「やりがい」を見つける秘訣

 

給料が安いからといって、すぐに仕事を辞める必要はありません。この集金業務から学んだ、長く楽しく働き続けるための秘訣は、シンプルにこれに尽きます。

「与えられた業務+αの行動で、自分から仕事の面白さを作り出すこと」

今の仕事に満足していますか?もし「給料は不満だが、続ける理由は見当たらない」と感じているなら、ぜひ試してみてください。業務は機械的にこなしつつ、あなたなりの「ちょっとした一言」や「心遣い」を能動的に実践してみるのです。

その小さな行動が、いつか予期せぬ大きな喜びとなって返ってきたとき、あなたはきっと**「この仕事は、お金だけではない価値がある」**と確信するでしょう。来月、あの新規顧客のところへ集金に行くのが、今から楽しみでなりません。


[追伸] 長年の訪問で、友人のように話せるようになった顧客が何人かいることも、この仕事の大きな財産です。あなたも、ぜひ自分から行動を起こして、仕事の中の「最高の瞬間」を見つけてみてください。

 

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