「掃除したのに!」と言われる場所はココ。風呂・キッチン・洗面台の”見落としやすい”汚れと傷の見分け方
「完璧に仕上げたはずなのに、なぜかクレームが来た…」
ハウスクリーニングの現場で、特に神経質な入居予定者からの指摘は尽きません。
彼らが指摘する箇所は、実はプロが見落としやすい「汚れ」と「傷・経年劣化」の境界線にあることがほとんどです。
この記事は、あなたの同僚が実際に経験した風呂場、キッチン、洗面台の具体的なクレーム事例を徹底的に分析し、クレームを未然に防ぐための10の具体的な防止策と最終チェックリストとしてまとめました。
本記事を読むことで、以下のことが可能になります。
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クレーム率を半減させる:入居者目線の「見落としやすい場所」を事前に把握できる。
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作業品質の向上:「落ちる汚れ」と「落ちない傷」を見分け、適切な対応(清掃または事前報告)ができる。
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プロとしての信頼獲得:クレームを恐れず、自信を持って業務を遂行できる。
「掃除したのに!」と言われる場所をゼロにし、神経質な入居者すら納得させるプロの技術と心構えを、今すぐ手に入れましょう。
🛁 第1章:クレームになりやすい3大場所と事例
ハウスクリーニングのクレームは、主に「水回り」に集中します。
特に、風呂場、キッチン、洗面台は入居者が入念にチェックする場所であり、「汚れ」と「経年劣化による傷」の判断が難しい箇所が多いため、クレームの温床となりがちです。
1-1. 風呂場のクレーム事例
風呂場は、湿度が高く、石鹸カス、水垢、カビ、そしてパーツの傷みが複雑に絡み合うため、最もクレームが多い場所です。
1. ドアのアクリル部分の「焼け跡」または「垂れ跡」
素人目には汚れに見えますが、洗剤で擦っても取れない場合、それは残念ながら汚れではなく、材質そのものの変質です。
これは、過去の入居者が使った強い洗剤などが乾燥せずに垂れたり、熱いシャワーが集中したりしたことで、アクリル板の表面が化学的に変質し、白く焼け付いた状態です。
2. 排水口パーツの「茶色い変色」
完全に落とせていなかった場合、清掃技術不足として指摘を受けます。
特にプラスチック製のパーツは、皮脂や石鹸カスを栄養源とする雑菌やカビによって容易に着色します。
3. 床の隅やパッキンに残るわずかな「石鹸カス」
浴室清掃後、最後の点検で「まあいいだろう」と見逃しがちなのが、床と壁の境目、特に隅のパッキン部分に残る、乾燥した後の白い粉状の石鹸カスです。

濡れている間は見えませんが、乾燥すると「清掃のやり残し」として非常に目立ちます。
🔥 教訓: 濡れている状態で目視チェックを完了すると、乾燥後の残留を見落とします。わずかな汚れでも決して残さないよう、乾燥後の再チェックを義務付けてください。
1-2. キッチンのクレーム事例
4. ガステーブル天板下の排気口内部の汚れ
外側の目立つ部分だけを清掃し、内部の構造体まで分解清掃を省略することは、多くの現場で時間短縮のために行われがちです。
しかし、神経質な入居者は「覗き込める場所=清掃範囲」と捉えます。
1-3. 洗面台のクレーム事例
5. 洗面ボウルと壁面の「コーキングの黒ずみ」
洗面台と壁や鏡の接合部のシリコンコーキングに、わずかな黒いカビが残っている事例です。

目立たないからとカビキラーの処理を省略すると、しぶといカビが残存し、入居者の満足度を大きく下げます。
🛠️ 第2章:事例から学ぶ!クレームを「防ぐ」具体的な作業改善策
これらの事例を踏まえ、クレームを「ゼロ」にするための具体的なアクションプランとプロのノウハウをご紹介します。
2-1. 【重要】「傷」と「汚れ」の判断と報告フローの徹底
「落ちないもの」を無理に落とそうとすることが、新たな傷や材質の劣化を招き、クレームを悪化させます。
💡 プロの対応策:清掃前にクレームを回避する
🔥 判断基準: 跡に水や洗剤をかけても、その濃さや形状が全く変化しない場合、それは「変質・傷」と判断し、清掃を中止してください。無理な清掃は新たな傷に繋がります。
2-2. 排水パーツの変色:諦める前に試すべき「積極的な清掃」
排水パーツの変色は、まず清掃で落とせる可能性を探るべきです。
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カビ・雑菌の除去(漂白): 塩素系漂白剤(カビキラーなど)を噴霧し、10~30分間しっかりと放置パックします。
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固着汚れの除去(研磨): 漂白でも落ちない場合は、100均の多目的クレンザーなどを硬めのスコッチにつけ、材質を傷めない範囲で擦ります。多少の傷がついても綺麗に見える方が喜ばれることが多いため、積極的な対応を検討します。
2-3. 風呂場の石鹸カス対策:乾燥後の「酸性フィニッシュ」
アルカリ性の石鹸カスを完全に除去するには酸性洗剤が必須です。
2-4. キッチン排気口の徹底清掃と分解ノウハウ
排気口内部のカスを除去するには、ガステーブルの天板を外す作業が必須です。
💡 プロのテクニック:コネクタ(オス)の安全な外し方
天板を外す際、配線コネクタが繋がっている場合があります。無理に引き上げると断線や基盤破損の原因となります。
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観察: コネクタのロック用の小さな「ツメ」を見つける。
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押して抜く: ツメを指や細い工具で優しく押し込みながら、オス側のコネクタを真横に水平に引き抜く。
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固定: 基盤(メス側)が動かないよう、もう一方の手でしっかりと押さえて固定しながら作業すること。
2-5. 洗面台コーキングの「カビ撲滅」対策
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カビキラーの「ラップパック」徹底: 目立たないカビでも、カビキラーを噴霧し、その上からラップでパックして30分以上放置し、液剤をカビの根まで浸透させる。
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最終手段:目地隠し(コーキング補修): カビキラーを数回試しても落ちないカビは、材質の内部まで侵食しています。この場合は、目地隠し(防カビ剤入りのコーキング補修材)で上から薄く塗布し、美観を完璧にしてクレームを回避します。
🛡️ 第3章:【プロの心構え】クレームが来た時の対応術
どんなに完璧に作業しても、クレームはゼロにはなりません。
重要なのは、クレームをどう受け止め、どう対応するかです。
3-1. クレーム対応のコツは「潔さ」と「迅速さ」
クレームを言われた瞬間、「一生懸命やったのに!」と感情的になるのは自然なことです。
しかし、プロとして、この瞬間こそ冷静で誠実な対応が求められます。
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潔く、言い訳をしない: 指摘を受けたら、まずは**「ご指摘いただきありがとうございます。すぐに確認し、対応させていただきます」**と受け止め、言い訳は一切しない。
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現地確認は迅速に: 再清掃の要望には、可能な限り早くスケジュールを調整し、迅速に現場へ向かう。迅速な行動が相手に安心感を与え、トラブルの鎮静化に繋がります。
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「経年劣化」は管理会社を通して伝える: 清掃ではどうにもならない『傷や経年劣化』について指摘を受けた場合は、入居者に直接反論せず、必ず管理会社やオーナーを通す形で説明を依頼してください。
3-2. インシデントレポートの作成:クレームを成長の糧に
クレームは最大の作業改善の機会であり、あなたが一つ上のレベルのプロフェッショナルになるための貴重な教材です。
クレーム対応が完了した後、その経験を必ずインシデントレポートとして記録し、今後の作業フローに反映させてください。
このレポートの蓄積こそが、あなたの現場での判断力を高め、クレームを寄せ付けない真のプロフェッショナルを育てます。
💡 まとめ:クレームを防ぐプロの心得
本記事で解説した事例と対策は、単なる清掃技術に留まらず、プロとして「入居者の目線」と「物件の限界」を理解し、適切に対処するための心構えです。
ハウスクリーニングのクレームを回避し、お客様の満足度を最大化する鍵は、以下の3つの心得を徹底することにあります。
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落とせないものは事前に報告: 傷、焼け跡、材質の変質は、清掃前に写真付きで報告し、清掃の限界(免責事項)として理解を得ましょう。
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見落としやすい場所を徹底: 風呂場の隅の石鹸カス(乾燥後チェック)、キッチンの排気口内部(分解清掃)、洗面台のわずかなカビなど、細かい箇所まで手を抜かない姿勢がクレームを遠ざけます。
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クレームを成長の糧に: クレームが来たら、言い訳せず潔く迅速に対応し、インシデントレポートで記録。その経験を次の現場の「最終チェックリスト」として活かすことで、あなたのスキルと信頼度は飛躍的に向上します。
このチェックリストと心構えを活用し、あなたのハウスクリーニング業務の品質をさらに高め、クレームが来ないプロフェッショナルを目指してください。
❓ Q&A:ハウスクリーニングのクレームに関するよくある質問
Q1. 鏡のウロコ取りをしても「まだ残っている」と指摘されたら?
A. 鏡のウロコ(水垢)は、長期間放置されるとガラス表面を侵食し、シミのように素材内部に食い込む場合があります。これは清掃範囲を超えた「傷」や「腐食」と見なされるケースが多いです。
再清掃の前に、まずは「清掃の限界」について管理会社を通じて説明し、どこまでが清掃で除去可能な範囲かを理解してもらう必要があります。
無理な研磨は鏡を傷つけるリスクがあるため、プロとして潔く限界点を報告することが大切です。
Q2. 強酸性の洗剤を使う際の最も重要な安全対策は?
A. 最も重要なのは、「塩素系洗剤(カビキラーなど)」と絶対に同時に使わないこと(混ぜるな危険)です。酸性洗剤と塩素系洗剤が混ざると、有毒な塩素ガスが発生し、生命に関わる危険があります。
また、保護具の着用(防護メガネ、マスク、耐薬品性手袋)は必須です。
加えて、酸に弱いメッキ部分、大理石、コンクリート、タイル目地などへの飛散・接触を避けるための厳重な養生も徹底してください。
Q3. 清掃後に「変な臭いがする」とクレームが来たら?
A. 臭いのクレームは、主に以下の原因が考えられます。
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排水管の奥の汚れ: 排水口を清掃しても、その奥のトラップや配管に残ったヘドロや雑菌が原因で臭っている場合(高圧洗浄が必要なケースが多い)。
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洗剤の残留臭: 強いアルカリ性洗剤や漂白剤の匂いが十分に換気・拭き取りされずに残っている場合。
まずは臭いの原因が「排水」か「洗剤」かを確認し、洗剤の残留であれば中性洗剤での水拭きや換気を徹底して対応します。
排水が原因であれば、管理会社に報告し専門業者(高圧洗浄など)の対応を促します。
現実問題として、ハウスクリーニングの作業者がどんなに手を尽くしても、神経質な人はなんだかんだとクレームを出してきます。
要望が掃除の範囲で改善可能であれば手を尽くしますが、細かいことを言い出したらキリがないですね。
でも、新しい入居者がどういう箇所が気になるのか作業員が十分把握していれば、そのためにクレームの体験をインシデントレポートにしてストックしておけば、今後の作業改善に役立ちます。
それで、今回の記事では本日同僚が経験したことを書いていきたいと思います。
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