ネジ式で外れない?古い換気扇のファンを安全に分解清掃する手順

ハウスクリーニングのプロであれば、築年数の古いマンションで「外蓋を外したものの、ファンがネジでガッチリ固定されていて分解できない…」

と一瞬戸惑う換気扇に出会うことがあります。

特に築30年を超える物件では、一般の入居者の方がファンまで外して掃除していることは稀で、内部は手強い油でギトギトです。

「分解しにくい」と諦めてしまうのは早計です。

この記事では、見た目は複雑なネジ止め式の古い換気扇ファンを、配線や部品を傷つけることなく安全に分解し、完璧に清掃・復旧させる具体的な手順を解説します。

実際の作業経験に基づき、電装部品の取り扱いから効率的なつけ置き洗浄術、そして絶対に避けるべき洗浄リスクまで、プロの技術をすべて公開します。

この難易度の高い清掃をマスターし、顧客満足度を向上させましょう。


🛠️ 築古物件の壁!分解が困難な換気扇ファンを攻略する

今回の事例は、築年数の古い1Kの賃貸マンションのキッチン換気扇です。

外蓋(カバー)はバネを外すだけで簡単に取れましたが、奥には誰も掃除した形跡のない、油でギトギトになったファンが見えました。

このタイプのファンはネジでがっちり固定されており、業者でも慣れていないと躊躇しがちです。

結論から言えば、必要なネジを一つ一つ慎重に外していくことで、ファンまで分解・清掃が可能であり、復旧も問題なく行えます。


🔩 特殊なネジ止め式換気扇ファン:分解ステップ

分解を始める前に、必ず換気扇の電源を切ることが絶対条件です。

ステップ1:外蓋の金具とネジの取り外し

外蓋を外し、ファンが見える状態にします。

このとき、外蓋のバネをつける金具を止めている2つのネジを最初に外します。

これにより、金具が本体から切り離されます。

ステップ2:電装ボックス(ホームベース型金具)の切り離しと注意点

次に、ホームベースのような形をした金具を止めているネジを外します。

このネジを外すと、電装が入っている小さな箱(電装ボックス)が配線で上から吊り下がっている状態になります。

⚠️ 重要!配線損傷リスク この電装ボックスを無理に引っ張り過ぎるのは厳禁です。配線が切れる恐れがあるため、吊り下がっている状態を維持したまま、次のステップに進みます。

ステップ3:中蓋(ファンカバー)の分離

電装ボックスが吊り下がっている状態で、中蓋についている残りの2つのネジを外します。

ネジが全て外れると、中蓋は完全にフリーになります。

これを少しずつゆっくりと、左右、手前、奥という順番で落とすように調整しながら外していくと、中蓋が完全に分離します。

ステップ4:シロッコファン本体の取り外し

中蓋が外れれば、シロッコファン本体が見えます。

後は、ファンが止まっているボルトネジを、プライヤーやレンチなどで反時計回りに回して外すだけです。

✅ ワンポイントアドバイス ボルトネジを外す際、中のワッシャーが2つあります。このワッシャーをなくさないように細心の注意を払って保管してください。復旧時にワッシャーの欠損があると、ファンの回転が不安定になることがあります。


🧴 プロが推奨するファン洗浄術:つけ置き洗いの最適解

分解したファンや中蓋の清掃は、熱とアルカリ洗剤を活用したつけ置き洗いが最も効率的でコストパフォーマンスに優れています。

  1. 準備: バケツまたはシンクにファンを入れます。

  2. つけ込み: 熱湯をヒタヒタになるまで注ぎ込みます。

  3. 洗剤投入: 適量の強アルカリ洗剤を投入し、約2時間ほどつけ置きします。熱湯を使うことで、固まった油が柔らかくなり、洗剤の効果が最大限に発揮されます。

  4. 仕上げ: 時間が経ったらファンを取り出し、水道の水を流しながらブラシで擦るだけで、おおよその汚れが綺麗に落ちます。

⚠️ 注意!洗浄時のリスクとやってはいけないこと

苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)など強すぎるアルカリ洗剤の使用は避けてください。

作業経験上、強すぎる洗剤は、ファンの素材(アルミ製など)が白く変色したり、最悪の場合、部品がバラバラに破損したりするリスクがあります。コンロの五徳洗浄でも変色リスクがあるため、換気扇ファンへの使用は強くおすすめしません。


🔧 換気扇の復旧(組み立て)は「逆の手順」で

洗浄し、乾燥させたファンと中蓋の復旧作業は、基本的に分解した時の逆の手順でネジをつけていくだけです。

  • 復旧手順: ファン本体 → 中蓋 → 電装ボックスの固定(ホームベース型金具) → 外蓋の金具 の順で、外したネジとワッシャーを確実に元の位置に戻します。

ネジの取り外し時に注意していれば、それほど難しい作業ではありません。


✨ まとめ:ネジを恐れず、丁寧な作業で完璧な仕上がりを

「この古い換気扇はファンまで外せないかもしれない…」。

あの時、一瞬そう諦めかけた自分を奮い立たせてくれたのは、「お客様の期待に応えたい」というプロとしての使命感でした。

外蓋を取った奥で、長年の油汚れと共に固く止まっていたネジ式ファン。確かに分解は手間がかかりますが、一つ一つ、ネジ穴を潰さないよう、まるで美術品を扱うかのように慎重にドライバーを回していく。

その丁寧な作業こそが、複雑に見える作業をクリアし、最終的な復旧を確実にする唯一の道なのです。

そして、熱湯とアルカリ洗剤に浸したファンから、見る見るうちに油が溶け出し、輝きを取り戻した瞬間。

あの達成感と喜びは、この仕事を続ける大きなモチベーションになります。

もしあなたが、古くて分解しにくい換気扇に直面し、戸惑っているなら、思い出してください。

難しいからこそ、プロの価値があるのです。

適切な道具と手順、そして何より丁寧な心を持って挑めば、必ず美しい仕上がりを提供できます。

ネジを恐れず、自信を持って作業にあたりましょう!


❓ 換気扇分解清掃に関するQ&A

Q1: 復旧時、ネジが余る・足りなくなるのを防ぐには?

A: 外したネジを場所ごとに分けて整理することが極めて重要です。養生テープに外した順番で貼っていく、または「外蓋用」「電装ボックス用」「中蓋用」などと区別できる小さな容器に分けて保管しましょう。

Q2: 強アルカリ洗剤とは具体的に何か?

A: ハウスクリーニングでよく使われる、pH値が12.5以上の洗剤を指します。具体的には、水酸化カリウムや比較的低濃度の水酸化ナトリウムが含まれる業務用クリーナーです。素手での作業は皮膚を傷つけるため、保護手袋は必須です。

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