「あぁ、これじゃあ後で泣きを見るのは自分だな……」
ハウスクリーニングの現場に立ち続けて30年。先日、賃貸マンションの退去清掃に入った際、思わず現場で独り言が漏れました。
そこにあったのは、同僚が1ヶ月前に「終わらせたはず」のフローリング剥離。
一見きれいに見えますが、プロの目で見れば一目瞭然。
古いワックスが中途半端に残り、これでは何度上塗りをしても「汚い仕上がり」にしかなりません。
結局、私は自分の作業時間を削ってでも、もう一度ゼロから剥離をやり直しました。
なぜ、そこまで「完全な剥離」にこだわるのか?
なぜ、最近のフローリングには「ワックスを塗らない」選択肢を勧めるのか?
今回は、30年間現場の第一線でワックスと格闘し続けてきた私が、AIの模範解答よりも「現場で役立つ」、失敗しないワックス剥離の真実と、一発で艶を決めるプロの思考法をお伝えします。
「ワックスを塗ったのにムラがひどい」「剥離作業が全然終わらない」と悩んでいる方は、ぜひ私の失敗と経験を盗んでいってください。
1. 百聞は一見にしかず。これが「中途半端な剥離」の正体
まずはこちらの写真を見てください。現場のリアルな現実です。

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黄色の矢印(奥側): 同僚が「剥離完了」とした状態。
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赤い矢印(手前): 私が追加で手を加え、完全にワックスを除去した状態。
一目瞭然ですよね。奥側は一見きれいですが、まだ古いワックスの層がうっすら残っています。実は、剥離作業で一番怖いのは「中途半端に残ること」なんです。
この状態で新しいワックスを塗るとどうなるか。
古いワックスの凹凸に新しい液が入り込み、乾燥したときには**「ムラ」や「くすみ」**となって浮き出てきます。
お客様から「せっかく頼んだのに、なんか仕上がりが汚いね」と言われるのは、100%この中途半端な剥離が原因です。
結局、クレームの矢面に立つのは、最後に仕上げた人間です。
だからこそ、私は1時間のロスを承知で、赤い矢印の状態まで追い込みました。
2. 30年選手の提言:そもそも「ワックス」は必要なのか?
今のフローリング材は、正直言って**「ワックス不要」**な材質がほとんどです。
それでも多くのお客様がワックスを希望されます。
理由は単純、「光沢が出て、いかにも掃除しました!という感じが出るから」です。
でも、ちょっと待ってください。 ワックスは塗った瞬間がピークです。
1年も経てば、生活の中でこぼした水の跡や、歩行による摩耗で「水滴跡のような剥げ」が目立ち始めます。
そうなると、掃除機をかけても拭き掃除をしても、もう不潔感は拭えません。
「汚くなったからまた塗る」 この繰り返しが、厚塗りのテカテカ層を作り、最終的に手遅れなレベルの汚れを抱き込むことになります。
私の今のスタンスはこうです。 「フローリングを本当に綺麗に保ちたいなら、ワックスを塗らない方向で仕上げる」
それが、床にとっても、住む人の将来にとっても一番のメンテナンスだと断言します。
3. プロの技術:ワックスは「一発」で決める
どうしてもワックスを塗る必要があるなら、私の流儀は**「一発仕上げ」**です。
巷のハウスクリーニング本やAI先生の回答を見ると、「薄く何度も塗り重ねましょう」なんて書いてあります。
でも、現場でそんなことをしていたら時間がいくらあっても足りません。
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完璧な下地(剥離)を作る
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一発で均一に塗り広げる
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塗り逃げても乾燥後に自信が持てる「コツ」を掴む
きっちり古いワックスが取れていれば、一層塗るだけでここまで光ります。

重ね塗りの乾燥を待つ時間をかけるくらいなら、その時間を「剥離」の精度を上げるために使うべき。
それが、30年かけて辿り着いた、最も効率的で美しい「時短の極意」です。
まとめ:結局、最後にモノを言うのは「下地」への誠実さ
今回はフローリングのワックス剥離をテーマにお伝えしましたが、これは掃除のあらゆる場面、ひいては仕事のすべてに通じることだと思っています。
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「中途半端な剥離」は、後の工程をすべて台無しにする。
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「一発で決める」ためには、塗る技術より「剥がす根気」が必要。
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今の時代、あえて「塗らない」という選択肢を提案するのもプロの役目。
同僚の作業を見て「二度手間だ」とボヤきたくなることもあります。
でも、そこを誤魔化さずに「赤い矢印」の状態までやり切る。
その積み重ねが、お客様からの「ありがとう」に繋がり、気づけば30年という月日が流れていました。
ハウスクリーニングを辞めたいと思う瞬間は、誰にだってあります。
でも、中途半端な仕事を積み重ねてクレームに怯えるより、目の前の床を「これ以上ない」という状態まで磨き上げて、自信を持って現場を後にする。
この**「やり切った感」こそが、仕事を長く楽しく続ける一番の秘訣**です。
もし、あなたが今フローリングの仕上がりに悩んでいるなら、もう一度だけ「剥離」を見直してみてください。きっと、一発で決まる快感に出会えるはずです。
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