私たちは日本語で「許して」と一言で言いますが、英語には色々な「許し方」があります。
特に、ただ単に「It’s okay.(大丈夫だよ)」と言うだけでなく、もっと気持ちを込めて伝えたい時ってありませんか?
今回は、「pardon」と「cover over」の 2つの「許し」のニュアンスを拝借して、もっと簡単な「許して」の表現を探ってみたいと思います。
この二つの単語そのものは実際の会話には使わないでしょう。多分。もっと簡単なフレーズを探るヒントにしているだけです。英会話ワンランクアップのために。
というようなことを英会話学習のために気づいたことをひたすら投稿しています。学習者目線ですが、きっと何かでお役に立てるはず。
ちなみにさっきはこんなことを投稿しました。
「誰が?」と「誰の?」で迷わない!関係代名詞の超シンプルな見分け方
本題に入る前に、なぜこんなことを投稿したのか、自分のために書き残します。お時間なければ読み飛ばしていただいていい内容です。
投稿のきっかけ
ある有名な本の一文で次のような英文がありました。
「God pardons or covers over the sins of those who put faith in him.」
この文でpardonとcoverではざっくり同じ意味のような気がしますし、なぜ二つ並べて書かれているのか?
微妙な意味の違いがあるはず。はっきりさせたい、と思ったのがきっかけです。
確かに、その文脈ではpardonとcover overは非常に似た意味で使われています。
◆pardon と cover overの類似性
- pardon: 罪や過ちを許すこと、帳消しにすること。
- cover over: 罪を隠すこと、見えないように覆い隠すこと。
この二つは、罪がもはや存在しない、あるいはその影響が取り除かれるという点で同じような効果を表しています。
◆pardon と cover overの違い
- pardonは、司法的な意味合いで「罪を許す」「無罪とする」というニュアンスが強い。
- cover overは、文字通り「覆い隠す」ことで、「見過ごす」「なかったことにする」というニュアンス。
では、ここまで分かったところで、本題に入ります。
「Pardon」「正式な許しを伝える」から似たフレーズを探る
「Pardon」は、相手の過ちを正面から受け止めた上で、もう責めない、という意思を明確にする「許し方」。
まるで、裁判官が「無罪」を言い渡すような、少し重みのあるニュアンスがあります。
では、どのような表現に置き換えられるか。
こんな時に使ってみることができます。
- 相手が真剣に謝ってきたとき
- 「遅れてごめん!」→ “I’m so sorry I’m late!”
- 「もう気にしなくていいよ。We’re good.」
- (もう大丈夫だよ。この件は終わり。)
- 相手が深く反省しているとき
- 「大失敗しちゃった…」→ “I messed up badly.”
- 「大丈夫。I’ll let it slide.」
- (気にしないで、今回は大目に見てあげるよ。)
このフレーズも初めて見るのではないでしょうか。slide の語源が興味深いです。
「slide」の語源と意味
もともと「slide」は、古英語の「slidan」に由来し、「滑る」「滑り落ちる」といった物理的な動きを表す。
↓
この「物理的な滑り」が、比喩的に「物事をスムーズに、あるいは抵抗なく進める」という意味で使われるようになる。
それで、
「let it slide」の成立
このフレーズは、19世紀半ばにアメリカで使われ始めたとそうな…
「I’ll let it slide.」は、直訳すると「それを滑らせておく」
この「滑る」は「見て見ぬふりをする」「罰せずに通り過ぎさせる」といった意味合いで使われるわけですね。
- 物理的なイメージ: 誰かのミスや過ちが、目の前をスッと滑り抜けていくような感じ。そのミスを捕まえたり、咎めたりせずに、そのまま通り過ぎさせてあげる、というニュアンスです。
つまり、問題や違反を「滑り落ちるようにそのままにしておく」「問わないでおく」といった意味で、「大目に見る」「見過ごす」という表現になりました。
この語源を知ると、「許す」という行為が、相手の過ちを正面から捉えるのではなく、あえてスルーするという、少し異なるニュアンスを持っていることが分かりますね。
「Cover Over」「そっと見守る許しを伝える」から探る
「Cover over」は、相手の失敗や恥ずかしい部分を、なかったことにしてあげる「許し方」。
つまり、相手のプライドや気持ちを大切にする、優しさが詰まったニュアンスです。
こんな時に使ってみることができる
- 相手が人前で失敗したとき
- 「ああ、恥ずかしい…」→ “How embarrassing…”
- 「大丈夫、let’s just forget this ever happened.」
- (大丈夫、このことはなかったことにしよう。)
- 相手のミスにそっと気付いたとき
- 「ごめん、プレゼンの資料間違えた…」→ “I’m sorry, I made a mistake in the presentation.”
- 「大丈夫。No one noticed a thing.」
- (大丈夫、誰も気づいてないよ。)
「なかったことにする」という権威制だけでなくて、誰も気づいていないさ、という発想もなかなか賢いですね。
No one noticed a thing.」が便利な理由
このフレーズは、誰かが失敗やミスをした後に、その人を安心させるために使えます。
- 意味: 誰も何も気づかなかったよ。
- ニュアンス: 心配しなくていい、誰もあなたのミスには気付いていないから大丈夫だよ、と相手を励ましたり、安心させたりする時に使います。
以下のように、さまざまなシチュエーションで是非。
1. プレゼンテーションやスピーチの後のミス
- 状況: プレゼンでうっかり資料を間違えた時。
- 英会話例:
- A: “I’m so embarrassed! I mixed up two of the slides.”
- B: “Don’t worry, no one noticed a thing. The presentation was great.”
- (大丈夫だよ、誰も何も気づかなかったから。プレゼン素晴らしかったよ。)
2. 公の場でのうっかりミス
- 状況: レストランでうっかりフォークを落としてしまった時。
- 英会話例:
- A: “Oh no, I dropped my fork. So clumsy.”
- B: “It’s fine, no one noticed a thing. Just get another one.”
- (大丈夫だよ、誰も何も気づいてないから。別のをもらってきて。)
3. 些細な失敗や間違いを慰める時
- 状況: 料理の味付けを少し間違えた時。
- 英会話例:
- A: “I think I put too much salt in this soup.”
- B: “It tastes perfect. No one noticed a thing.“
- (完璧な味だよ。誰も何も気づかないって。)
このように、「No one noticed a thing.」は相手の失敗を軽く流し、ポジティブな気持ちにさせるために頻繁に使われます。
ぜひ、日常会話で活用してみることができるでしょう。
ということで、
もう一度、根底の考えの詳細をまとめてみます。
「許し」のニュアンスを日常に活かす方法
pardonとcover overは、神様の赦しのような厳粛なシーンで表現する言葉ですが、その根底にある「過ちをどう扱うか」という考え方は、私たちの人間関係にも応用できます。
pardon(許しを宣言する)
pardonは、過ちを認めた上で、それを正式に「もういいよ」と帳消しにするイメージ。
これは、相手の過ちを正面から受け止め、関係を修復したいときに使えます。
- 例: 友人があなたの誕生日をうっかり忘れてしまった時、落ち込んでいる彼に「気にしないで。もうこのことは終わりだよ」と伝えることは、pardonに近い行為です。相手のミスを認識しつつも、それに対して責任を問わない、という意思を明確に示しています。
cover over(過ちを覆い隠す)
cover overは、相手の過ちを人目に触れないようにする、あるいはなかったことにするイメージ。
これは、相手のプライドを守りたい、あるいは事を荒立てたくない時に有効です。
- 例: 友人がみんなの前で恥ずかしい失敗をした時、その話題には触れずに、さも何もなかったかのように振る舞い、話を別の方向に変えることは、cover overに近い行動です。失敗をなかったことにすることで、相手が傷ついたり、居心地の悪い思いをしたりするのを防いでいます。
これらの違いを意識することで、「許す」という言葉一つでは表現しきれない、より繊細な感情や思いやりを伝えることができるようになります。
それは、単に語彙が増えるだけでなく、相手の立場に立ったコミュニケーションを築く上でも役立つこと間違いなしです。
では全体をまとめます。
まとめ
- Pardon: 過ちを正面から受け止め、関係を修復したいときに使う「正式な許し」
- Cover over: 相手の気持ちやプライドを守りたいときに使う「優しい許し」
この二つのフレーズは会話で使うことはないと思いますが、根底にある考えを応用すると、あなたの「許し」の英語はぐっと豊かになります。
という学習ノートレポートでした。
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