【現場実録】洗浄後に現れた5cmの円形跡から学んだこと ――それは本当に清掃業者の責任なのか?

【現場実録】洗浄後に現れた5cmの円形跡から学んだこと

――それは本当に清掃業者の責任なのか?

「この床の跡、心当たりありませんか?」

清掃業者として仕事をしていると、誰しも一度は経験するであろう一言です。しかもそれが作業完了後、写真だけで送られてきたとしたら――胸がざわっとする方も多いのではないでしょうか。

今回は、私自身が実際に経験した「床洗浄後に見つかった5cmほどの円形跡」をめぐるやり取りと、そこから学んだことを記録として残します。結論から言えば、この件は清掃が原因ではありませんでした。しかし、それ以上に大きな学びがありました。

同業の方、特にこれから現場経験を積んでいく方の参考になれば幸いです。


1. 担当者から届いた一枚の写真

作業翌日、現場担当者様から連絡が入りました。

「ベランダ前の床に、写真のような跡が残っているのですが、何か心当たりはありませんでしょうか。直径5cmほどの円形です」

添付されていた写真には、新しく張り替えられたばかりの床材に、確かに円形の凹みのような跡が写っていました。場所は掃き出し窓の前。清掃後というタイミングもあり、真っ先に疑われやすい状況だったと思います。

ちなみに、今回の担当者様は新しく現場を担当されることになった方でした。


2. 私が「心当たりはありません」と言い切れた理由

このような連絡を受けたとき、感情的にならず、事実として判断できるかどうかが重要です。私が迷いなく否定できたのには、日頃から徹底している自分なりのルールがありました。

① ツールボックスを室内に持ち込まない

床を守ることを最優先にしているため、重いツールボックスや硬い備品は室内に一切置きません。5cmほどの円形の凹みを作るには、かなりの重量が一点にかかる必要がありますが、その条件を満たす物自体、室内に存在しませんでした。

② 使用している道具の形状と一致しない

脚立や機材の脚は、幅広のゴム製です。仮に体重がかかったとしても、写真のようなくっきりした円形の凹みができる構造ではありません。

「いつもの道具を、いつもの手順で使った」
この積み重ねが、冷静な判断の根拠になりました。


3. 写真から見えてきた“本当の原因”

送られてきた写真をよく観察すると、ある特徴に気づきました。

  • 表面が削れていない
  • 色の剥がれがない
  • エッジが立っておらず、なだらか
  • 継ぎ目をまたいで歪みが出ている

これらから考えられるのは、表面の傷ではなく、下地側の凹みが床材に表れている状態です。

床材を、スポンジの上にピンと張った布に例えると分かりやすいかもしれません。普段は目立たなくても、上から体重がかかった瞬間に、下の凹みが浮き出てくる。

張り替え直後の床では、

  • 歩行による荷重
  • 室温や湿度の変化

といった“きっかけ”で、下地の不陸や空きが後から表面化することがあります。内装現場では、決して珍しい現象ではありません。

特に今回は、下地トラブルが出やすい掃き出し窓の前という位置関係も、状況証拠として一致していました。


4. 新人担当者とのやり取りで意識したこと

今回ご連絡をくださった担当者様は、現場経験の浅い方でした。だからこそ、

  • 原因を断定しない
  • 関係者全員に確認を取る

という行動を取られたのだと思います。これは決して間違いではなく、とても誠実な対応です。

その上で、私が返信時に意識したのは次の点でした。

  • 「やっていない」と感情で否定しない
  • 自分の作業ルールを根拠として伝える
  • 相手が次の判断に進みやすい材料を渡す

新人担当者を論破する必要はありません。次に相談しやすくなる説明をすることが、結果的に自分を守ることにもなります。

追記:この件はあっさり納得してくれました。下記のような返信があったからです。

「M様

H住建のTです。
ご返信ありがとうございます。
本件承知いたしました。

引き続きよろしくお願いいたします。」


5. 今回の件から学んだこと

今回の件は、私にとっても大きな学びになりました。

  • 作業前に既存の違和感を見逃さないこと
  • 気になる点は、完了報告時に先出しすること
  • 自分の作業ルールを言語化しておくこと

もし作業中に違和感のある跡を見つけたら、その場で写真を撮り、「既存の跡がありました」と伝えておく。これだけで、後日のトラブルは大きく減らせます。

▼関連してこちらの記事もおすすめ

【現場実録】洗浄後に現れた5cmの円形跡から学んだこと ――それは本当に清掃業者の責任なのか?


6. 清掃業者は「守る側」の仕事

清掃業者は、家を壊す人ではありません。空間を整え、次に使う人を守る側の仕事です。

身に覚えのない指摘を受けたときこそ、

  • 慌てず
  • 感情的にならず
  • 事実と経験で対応する

それが、プロとしての姿勢だと改めて感じました。

今回の経験が、同じような場面に直面した方の参考になれば幸いです。
スポンサーリンク


コメント

タイトルとURLをコピーしました