あれほど言ったのに!この「知らなかった」では済まされない痛すぎる7万円
ハウスクリーニングの仕事は、美しく仕上げてお客様を笑顔にすること。
しかし、一歩間違えれば、取り返しのつかない損害を生んでしまいます。
今回、私たちが仲間から受け取ったインシデントレポートは、まさに「知らなかった」「いつもの手順でやった」では済まされない、痛烈な反省事例となりました。
以前から強アルカリ洗剤の危険性を訴えていたにも関わらず、現場で起きたのは、剥離剤による洗面台補修塗装の完全剥離。
見た目は普通の洗面台に隠されていた7万円の補修跡を、たった一度の「つけ置き」で台無しにしてしまったのです。
作業者のミスだけで終わらせるわけにはいきません。
この失敗は、「情報の非対称性」と「プロとしての素材知識の欠如」が引き起こした悲劇です。
この経験を教訓として、二度と高額な損害を出さないためのルールを、ここに改めて宣言します。
1. 悲劇の現場で何が起きたか?(トラブル発生の詳細)
この出来事は、私たちプロの清掃員が日々行う、あまりにも「日常的な作業」の中で起こりました。
だからこそ、そのリスクを見過ごしていたことが、本当に悔やまれます。
発生したインシデント
普段の清掃作業で、浴室や洗濯機パンの小物を洗うために、洗面台をバスタブ代わりに使うのは「いつもの習慣」でした。
この「習慣」が、今回はすべて裏目に出たのです。
同僚からの反省の言葉(抜粋)
「カビクリーナーの量が少なかったので、オールゴーをある程度入れました。しばらくして様子を見ると白いモロモロが浮いていて、水を抜くと排水口の周囲が剥げていました。」
「社長にすぐに電話して対策を仰ぎましたが、『担当者に説明するのがいいと思います』と言われましたので電話しました。担当者さんが来られて、『この洗面台ヒビが入ってたので上から塗ってるんですよ。2日かかったんやけどなあ』と言われ、その時初めて補修箇所だと知りました。」
「原因は、陶器の上に補修で塗った洗面台にたまたまオールゴーを使ったことと思われます。塗った素材が剥離されたのだと思います。オールゴーはすごい力なので使用は慎重にしなければならないと再認識させられました。」
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この連絡を受けたとき、背筋が凍る思いでした。
私の過去の経験からも、コンロの五徳を苛性ソーダにつけ置きして素材が白変色するリスクがあることは知っていました。
住居内の設備をアルカリ性の強い洗剤に長時間浸すのは、「いつか事故が起こる」とわかっていたのに、徹底されていなかった。
2. 7万円の損害を生んだ二つの核心的な原因
「洗剤の力を過信したプロの慢心」と「隠された現場情報」。
この二つが重なったとき、悲劇は必然となってしまいました。
核心原因①:プロとしての洗剤と素材の知識不足(自責点)
私たちの職業は、洗剤という化学の力を借りて仕事をしています。
その「力の性質」を知らないまま使うのは、あまりにも無責任でした。
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「剥離剤」の目的を軽視した:
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剥離剤(オールゴー)は、フローリングのワックスや、塗装された塗膜といった「有機物」を溶解・除去するために作られています。これは、汚れを落とす洗剤とは全く違う、化学的な「破壊力」を持つ特殊溶剤です。
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今回、作業者が知らず知らずのうちに、洗面台の「7万円分の補修塗装」に対して、その破壊力を直接向けてしまったのです。陶器本体は無事でも、その上のデリケートな化粧層はひとたまりもありませんでした。
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つけ置きはリスクの最大化:
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私たちは知っています。強アルカリ性の洗剤を長時間設備につけ置くことは、素材の耐性を超える行為だと。洗面台や浴槽を容器として使うことは、汚染だけでなく、変色や変質のリスクを自ら最大化する「プロにあるまじき行為」です。
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核心原因②:現場の情報共有の欠如(他責・要改善点)
作業者がインシデントを起こす背景には、「現場情報の非対称性」が必ず存在します。
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元請け側が知っていた情報:「この洗面台はヒビが入ったから、7万円かけて再塗装(補修)した」
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作業者が知っていた情報:「この洗面台は見た目がピカピカで新品同様だ」
このギャップが問題です。補修箇所は、オリジナルの陶器よりも遥かにデリケートです。担当者がその事実を作業指示書に記載するか、現場にテープ一本でも貼って知らせてくれていれば、この事故は100%防げたはずです。
私たちは、気づかずにいつものように洗剤やスポンジを使って擦り、清掃してきましたが、今回の件で、「見えない背景」の重要性を痛感しました。
トイレの便器内の水位線下の塗装も同様に弱く、硬いもので擦るのはNGです。
デリケートな箇所は、想像以上に多いのです。
3. 【絶対厳守】二度と失敗しないための教訓と対策
この痛烈な失敗から得られた教訓に基づき、今後の作業ルールを以下の通りに、感情を込めて徹底します。
🎯 ルール 1:つけ置き場所を「専用BOX」に限定する
いい加減にしろ! 洗面台、浴槽、シンクを容器代わりにする行為は、設備損傷リスクと汚染リスクの塊です。
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小物類のつけ置きは、専用のバケツやプラスチック製BOXを使用し、いかなる理由があろうと設備内でのつけ置きを禁止とします。
🎯 ルール 2:剥離剤(強アルカリ性)の使用厳禁ルールを再徹底
劇薬だと認識しろ! 剥離剤は、汚れ落としではなく「素材を剥がし取るための薬品」です。
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住居内の備品に対して、絶対に剥離剤を使用しないこと。用途外使用は、今回のように高額な損害を招きます。
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洗剤不足の際の安易な混合も、効果が予測不能で危険なため厳禁とします。
🎯 ルール 3:デリケートな箇所は清掃方法を弱める
「プロの判断」とは「やりすぎない勇気」だ! 見た目が新品同様でも、補修塗装されている可能性を常に疑え。
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補修や再塗装の可能性がある箇所は、強い洗剤(アルカリ/酸)や硬いスポンジ(メラミン含む)の使用を避け、中性洗剤と柔らかい布での清掃に留める。「そこそこでやめる」という判断を、リスク回避として積極的に行います。
🎯 ルール 4:情報提供を元請けに強く要請する
コミュニケーションが最重要だ!
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「補修箇所」「デリケートな素材」がある場合は、必ず事前に書面や口頭で情報提供し、現場に明示(テープ貼りなど)するよう、現場担当者を通じて管理会社に強く要請します。
【まとめ】失敗は最大の教訓。今、作業への意識を変えよう
今回のインシデントは、私たちに「いつもの清掃手順」に潜むリスクの大きさを教えてくれました。
7万円の補修費用という代償はあまりにも痛いですが、この経験は金銭には代えがたい教訓となりました。
「大丈夫だろう」は危険信号。 洗剤を使う際は、それが「何を破壊するための力」を持っているのか、常に意識すること。
そして、見えないリスクはコミュニケーションで埋めること。
私たち作業者が、設備への敬意と確かな知識を持って作業に取り組むことで、この失敗を未来の成功に変えていきましょう。
❓ FAQ:洗剤と洗面台に関する疑問を解消
Q1. 洗面台や浴槽で強アルカリ洗剤を使用すると、どんなリスクがありますか?
A1. 陶器やFRP素材自体はアルカリ性に比較的耐性がありますが、以下のリスクがあります。
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変色・変質: 長時間つけ置きをすると素材自体が白く変色したり、FRPなどが劣化したりする可能性があります。
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ひび割れ: 洗剤の浸透や化学反応により、表面の微細なひび割れ(クラック)が進行する可能性があります。
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補修塗膜の剥離: 今回の事例のように、補修や再塗装がされている場合、塗膜は剥離剤を含む強アルカリ洗剤に耐性がなく、即座に剥がれます。
Q2. トイレの便器内の水の溜まっている箇所の塗装とは何ですか?
A2. 陶器製の便器の場合、水を溜めている内側の部分は、水の浸透を防ぐために特殊なコーティング(塗装)が施されていることがあります。このコーティングが非常にデリケートで、硬いブラシや研磨剤入りの洗剤で強く擦ると傷がつき、今回の洗面台と同様に剥がれてしまうリスクがあります。清掃の際は、柔らかいブラシや中性洗剤の使用が推奨されます。
Q3. どうしてもつけ置きが必要な場合、何を使えば安全ですか?
A3. 専用のバケツやプラスチック製BOXを使用し、中性洗剤またはパーツの素材に適した洗剤(カビ取りなら塩素系漂白剤など)を使いましょう。設備本体(洗面台など)を容器として使うことは、汚染リスク・素材損傷リスクの両面から避けてください。
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