「あ、やってしまった……。」
ワックスが乾ききったフローリングのど真ん中に、無情にも一本の髪の毛。
ハウスクリーニングの現場で、誰もが一度は冷や汗をかく瞬間です。
先日、私もこの「絶望」を味わいました。
しかも、その現場の担当者さんは床の仕上がりに非常に厳しい、いわゆる「職人泣かせ」のプロ。
直接電話で相談できれば「こんな補修方法もありますよ」と提案もできるのですが、連絡ルートが限られていて勝手なことはできない……そんなピリついた状況でのリカバリー劇でした。
今回は、私が現場で同僚とインシデントレポートを飛ばし合い、さらにAIと真剣に向き合って(同僚には笑われましたが!)たどり着いた、綿棒と自分の息だけで傷跡を無効化するリペア技を公開します。
1. 除去の落とし穴:なぜ「削るだけ」ではダメなのか
髪の毛を見つけた時、ついカッターの刃先でコリコリと削りたくなるものです。
でも、削っただけではワックス層に「白ボケ」した凹凸が残り、そこだけが光を乱反射して「ここに傷があります!」と主張し始めます。
特に今回は部屋の中央。太陽の光が差し込むベストポジションでした。
こうなると、ただ取るだけではなく、周囲の景色と馴染ませるという別次元の作業が必要になります。
2. STEP 1:綿棒剥離で「最小限」に溶かす
ここで、私の道具箱から綿棒が登場します。
綿棒の先に少量の剥離剤を含ませ、髪の毛の上だけを優しくなぞります。
削るのではなく、ワックスを少しだけ「ふやかして」浮かす。
これで、傷の面積を最小限に抑えるのがプロの第一歩です。
3. STEP 2:ワックス塗布の「スタンプ術」
除去した跡にワックスを戻しますが、ボトルから直接つけるのは厳禁。私はよくマスキングテープの背などをパレットにして、ワックスを一滴落とします。
そこに綿棒をチョンとつけ、さらに別の場所で少し馴染ませてから床へ。
塗るというよりスタンプで足りない光沢を置いていく感覚です。
4. STEP 3:冬場の新常識「即温風・即トントン」
ここが、私がAIとの対話で見出した一番の収穫です。
冬の寒さの中、ワックスが馴染むのを20分も待っていたら現場が終わりません。
そこで、置いた直後のワックスに「はぁー」と温かい息を吹きかけます。
温風で一瞬だけ粘りを出した瞬間に、薬指の腹で真上から優しくトントン。
これで表面張力の盛り上がりが潰れ、境界線がボヤけます。
指先の脂分が絶妙な「ぼかし」の役割を果たしてくれるのか、肉眼ではほぼ判別不能なレベルまで馴染んでいきます。
5. 職人としての「落としどころ」
正直に言えば、この日は最終的に「板単位での剥離」を選びました。
なぜなら、担当者様がその箇所を注視していたから。
相談できない状況では「完璧に消えた」という事実以上に、「やり切った」というプロとしての姿勢を見せる必要があると判断したからです。
同僚からは「AIと真剣に向き合っておもしろかった」なんて言われましたが、現場での試行錯誤と最新の知見を掛け合わせるこのプロセスこそ、仕事の醍醐味だと思っています。
【結び】
ハウスクリーニングは、物理的な汚れ落とし以上に、相手のこだわりを汲み取り安心感を届ける仕事です。
「もしミスをしても、自分にはこの綿棒リペアがある」 そう思えるだけで、現場での攻めの姿勢が変わります。
私のこの泥臭い備忘録が、どこかの現場で誰かのピンチを救うきっかけになれば、これほど嬉しいことはありません。
さあ、明日も道具箱に綿棒を忍ばせて、現場へ向かいましょう!
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