「ワックスが乾くまで現場を離れられない」
「特に冬場は寒くて窓も開けられず、乾燥待ちで1時間以上も時間を取られてしまう」
— ハウスクリーニングの現場で最もストレスとなるのが、このワックスの乾燥時間ではないでしょうか。
本記事は、その悩みを根本から解決します。
気温が低く湿気もこもりやすい冬の悪条件下でも、フローリングワックスを20分で表面乾燥させる具体的な時短ノウハウを公開します。
鍵は、当ブログでの過去の実績(夏場の10分乾燥)から導き出された「エアコンによる温度管理」と「サーキュレーターを使った強制送風」の組み合わせです。
もう、乾燥待ちで残業する必要はありません。
プロとして仕上がりを確認し、最短で次の現場に向かうための実践テクニックをご覧ください。
記事の結論:冬場でも20分乾燥は可能!
結論からお伝えします。
冬場に窓を閉め切った状態ではワックスの乾燥に1時間以上かかることもありますが、以下の2つの要素を同時に実行すれば、20分程度で軽歩行が可能な表面乾燥の状態にすることができます。
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エアコン(暖房)で室温を上げる
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サーキュレーターや扇風機で強制的に風を送る
この組み合わせは、乾燥に最適な「温度」と「気流」を作り出し、冬の現場作業効率を劇的に改善します。
1. なぜWaxは乾かないのか?乾燥の基本原理
ワックスが乾く、すなわち塗布した液剤から水分や溶剤が蒸発するプロセスは、「温度」「湿度」「気流」の3大要素に支配されています。
乾燥を妨げる要素
多くの方が陥りがちな失敗として、清掃後に窓を閉め切った状態でワックスを塗布する「塗り逃げ」があります。
風通しがなくなると、ワックスから蒸発した水分が部屋にこもり、乾燥時間が極端に長くなってしまうのです。
寒い季節であれば、下手したら1時間以上も待つことになります。
2. 夏場の「10分乾燥」から学んだこと
私たちは以前、大阪市内の現場で、ワックスの乾燥時間短縮のテストを行いました。
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作業環境: 6月、気温27℃、湿度51%(曇りの日)
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工夫した点: ベランダの窓と玄関を全開にし、部屋に強い風の通り道を作った。
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結果: 驚くことに、わずか10分で表面が乾燥しました。
この実績から学んだ最も重要な教訓は、「気流(風)こそが乾燥の最重要ファクターである」ということです。
適切な温度があれば、あとはワックス表面に停滞している湿気を、いかに効率よく吹き飛ばすかが鍵となります。
3. 【冬場の必須テクニック】20分で乾かす「エアコン+強制送風」術
窓を開けられない冬場や、風のない日でもこの「気流」を人為的に作り出すための具体的な手順を解説します。
(1) 温度を確保:エアコンの設定と使い方
冬場は室温が低いため、乾燥の初期段階でワックスの水分蒸発を促す必要があります。
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設定温度: 最低でも25℃以上に設定してください。理想は28℃前後です。
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風量: 風量は「強」に設定し、室内の空気を対流させます。
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注意: エアコンの風がワックスに直接当たると、乾燥ムラやホコリの付着を招く可能性があるため、エアコンの吹き出し口の向きは極力ワックス面から逸らします。
(2) 風の作り方:サーキュレーターの配置術
ワックスの表面に新鮮な(湿気の少ない)空気を送り込み、蒸発した湿気を回収する「強制送風」が成功の鍵です。
強制送風は、単に床を冷ますのではなく、ワックス表面の飽和した湿気層を吹き飛ばすことを目的としています。
エアコンで温められた空気とファンが生み出す気流の相乗効果で、20分乾燥を実現します。
4. 【失敗しないために】ワックス塗布・乾燥に関する絶対条件
20分で乾燥させる時短テクニックを成功させ、かつ仕上がりでクレームを出さないために、プロとして必ず守るべき絶対条件と注意点があります。
必須条件1:塗布量を守る(薄塗りは厳禁)
乾燥時間を短くしたいからといって、ワックスをメーカー推奨量よりも極端に薄く塗ることは絶対に避けてください。
ワックスは、規定の塗布量があって初めて、本来の性能(光沢、耐久性、保護能力)を発揮します。
薄く塗りすぎると、性能が半減し、結果的に耐久性に関するクレームや再作業につながります。
あくまで「規定量を塗った上で、乾燥方法を工夫する」のがプロの時短術です。
必須条件2:「乾燥」の定義を明確にする
この記事で述べた「10分/20分乾燥」とは、「表面乾燥(タックフリー)」の段階を指します。
20分後に確認作業で立ち入ることは可能ですが、お客様には家具や荷物を戻すのは完全硬化後(通常1時間以上後、または翌日)であることを必ず伝達してください。
必須条件3:送風時のムラを防ぐ
サーキュレーターなどで強制送風を行う際、風がワックスの一点に集中し続けると、その部分だけが極端に早く乾き、仕上がりにムラやスジ(筋)が残る原因になります。
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対策: 首振り機能を活用し、風を分散させるか、ファンを壁に向けて間接的に気流を作るなど、ワックスの表面を均一になでるような送風を心がけてください。
必須条件4:軽歩行時はスリッパを使用する
乾燥後の仕上がりを確認する際は、素足や靴下ではなく、必ず清潔なスリッパを履いてください。
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素足や靴下: ワックスのデリケートな表面に足の油分や細かい繊維、凹み跡(圧痕)を残すリスクがあります。
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スリッパ: 体重が分散され、底が平滑なため、乾燥被膜へのダメージを最小限に抑えられます。
まとめ:乾燥後の点検こそがクレームを防ぐ
フローリングワックスの乾燥時間を短縮する最大の目的は、「作業終了後に仕上がり状態をしっかり確認する時間を確保し、クレームを未然に防ぐこと」にあります。
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時短の核心: 「エアコンで温め」+「サーキュレーターで強制的に気流を作る」
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目標時間: 冬場でも20分で表面乾燥を実現
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最終ステップ: 乾燥後、30分程度の時間を確保し、光に反射させてワックスの塗りかすれ、髪の毛、ホコリの混入がないかを徹底的に点検してから現場を退去してください。
「塗り逃げ」をやめ、この強制送風テクニックを取り入れることで、冬場のハウスクリーニング作業の質と効率は格段に向上します。
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