「風呂場の換気扇は、ホコリと湿気で想像以上に汚れています。
特にカバーがビスで固定されている旧型の換気扇は、分解洗浄の『ラスボス』と言えるでしょう。
今時の風呂場の換気扇は手で簡単に外れるタイプになってきましたが、まだまだビスを外して分解するタイプのものも結構あります。
たとえばこんなタイプ。

一見外すのは簡単に思えますが、なかなか大変です。
実は先日、私もこの『難攻不落』なビス式換気扇に挑み、長すぎるビスが途中で回らなくなり、あえなく断念しました。
一般的な分解手順では歯が立たない、この厄介な換気扇を完全に綺麗にするには、『モーターごと引っ張り外す』という最終手段が必要です。
本記事では、私自身が身につけるべきスキルとして再挑戦し、成功させた完全分解洗浄の全手順を公開します。
ただし、この作業は感電や破損のリスクを伴うため、『他の方法ではもうどうにもならない』時に限定してください。
危険を回避するための最重要ポイントと、作業を成功に導くための必須道具まで、失敗から学んだ極意を全てお伝えします。」
🛠️ 本文構成の続き:安全第一!分解洗浄を始める前の準備と覚悟
リード文で覚悟を決めたところで、いざ作業に取り掛かります。
しかし、このタイプの換気扇の分解洗浄は、単に汚いだけでなく、感電や器具の破損のリスクが常につきまとうことを忘れてはいけません。
まずは、最も重要な準備と、過去の失敗から学んだ「壁」の正体を明確にします。
⚠️ 【最重要】まずやるべきこと:絶対に電源を切る
この作業は、モーターや配線部分を触るため、感電・ショートの危険性が非常に高いです。
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分電盤(ブレーカー)を確認する:
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換気扇専用のブレーカーがあればそれを落とします。
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専用ブレーカーがない場合は、「浴室・脱衣所」または「照明」など、換気扇につながる系統のブレーカーを落としましょう。
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**スイッチを切るだけでは不十分です。**必ずブレーカーを落としてください。
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道具を揃え、作業スペースを確保する:
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浴室の床に傷がつかないよう、バスタブや床に養生用のシートやタオルを敷きましょう。
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外した部品やビスを一時的に置くためのバケツやトレイを用意します。
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1. 分解の最初の壁:カバーのビスが外せない!
通常の換気扇であれば、カバーを留めているビス(通常2~4本)を外すだけで、カバーがパカッと外れるはずです。
しかし、この難易度の高いタイプでは、最初の段階で早くも壁にぶつかります。
1-1. なぜ、カバーのビスが長くて回らないのか?
私が一度断念した原因は、この「長すぎるビス」にありました。
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長すぎるビスと湿気: 浴室という環境で長期間使用されているため、ビスのネジ山だけでなく、ビスがねじ込まれているプラスチック側の受け部分や金属にサビや石鹸カスが固着している可能性が高いです。
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ネジ山の劣化(バカになる): 無理に力を加えると、プラスチックの受け側が削れてしまい、ビスが空回りして永遠に外れなくなる**「ネジ山がバカになった」状態**に陥るリスクがあります。
もし、力を入れても「ギーッ」という音とともに全く回らない、または空回りする手ごたえがあれば、すぐに無理な分解は諦める判断も重要です。
1-2. ビスを外すための道具とコツ
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長めのドライバー(細い電動ドライバー): 天井近くの作業になるため、手の届きやすい長さとトルクのある道具が必須です。
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最後の手段:潤滑剤のごく少量塗布
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どうしても回らないビスには、KURE 5-56などの潤滑剤をごく少量だけネジ山に垂らします。ただし、プラスチックを痛める可能性があるため、これは本当に最終手段としてください。
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2. 誰も教えてくれない!モーターごと外す「極意」
最初のカバーのビスが外せたら、次は経験者が教えてくれた「天板ごと外す」プロセスに移ります。
2-1. 天板を固定するビスを見つける
カバーのビスを外し、側面の爪を外してもファンがびくともしない場合、ファンが取り付けられている「天板(モーターユニット)」自体が天井にビスで固定されています。
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天板の外周部をよく観察すると、天井裏に固定されているビスが見つかります。通常は1本か2本です。
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このビスを外すと、ファンがグラグラと動き出すはずです。
2-2. 垂直にゆっくりと引っ張り下ろす
グラグラした状態になったら、いよいよモーターごと外します。
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配線を確認しながら: モーターの裏には電源につながる配線があります。この配線をちぎったり、コネクタを傷つけたりしないよう、配線の長さを確認しながら慎重に真下に引っ張ります。
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垂直に、無理な力をかけずに: 少しずつ引っ張ると、モーターユニットがごそっと天井から外れて落ちてきます。これが分解洗浄のための作業台となります。
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配線・コネクタのマーキング: もし、洗浄のために配線のコネクタを外す必要がある場合は、必ずスマートフォンで接続前の状態を撮影し、必要であればマスキングテープなどで印をつけておきましょう。復旧時のミスを防ぐために重要です。
3. 【難関】ファンをモーターから分離する
モーターユニットが手元まで降りてきたら、いよいよファンを取り外します。
3-1. 超短いマイナスドライバーが必須となる理由
ファンは、モーターユニットの裏側からビスで固定されていることがほとんどです。

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このビスを外すスペースが非常に狭く、通常のドライバーや電動ドライバーではビットの長さが邪魔になって入りません。
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**長さがほとんどない「超短いマイナスドライバー(スタビードライバーの小型)」**がここで初めて活躍します。これがないと、ファンを取り外すことができません。
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ファンがモーターシャフトに固着している場合は、モンキーレンチなどを使ってナットを緩める必要があります。
3-2. 固着したファンを慎重に外す
ビスまたはナットを外した後も、ファンがシャフトに固着していることがあります。無理にこじるとファンが割れる可能性があるため、ゆっくりと揺らしながら引き抜いてください。
4. 洗浄と復旧の極意:分解は難しく、洗浄は楽に
モーターユニットを天井から外し、ファンを分離できれば、分解の難関は突破です。最大の目的である「洗浄」は、この状態になれば非常に楽になります。
4-1. カリカリ汚れの正体と洗浄方法
分離したファンやカバーには、ホコリが湿気と石鹸カス、カビと混ざり合って固まった「カリカリの頑固な汚れ」が付着しているはずです。
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洗剤の選定: 換気扇の汚れはカビとホコリが主なので、中性洗剤やカビ取り剤(塩素系)で十分対応できます。ただし、塩素系洗剤を使う際は、素材を痛めないよう、長時間つけ置きしすぎないように注意が必要です。
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物理的な除去: 固着したカリカリ汚れは、歯ブラシやヘラなどを使って物理的に削り落とす必要があります。
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乾燥の徹底: 洗浄後は、水気を丁寧に拭き取り、完全に乾燥させてください。特にファンの軸受部分や、モーターユニットのプラスチック内部に水分が残っていると、故障や異音の原因になります。
⚠️ 注意: モーターユニット本体は、絶対に水で濡らさないでください。 故障の原因になります。濡れた場合は、即座に拭き取り、数日間乾燥させる必要があります。
4-2. 組み立てのコツと「カチッ」という感触
洗浄と乾燥が終わったら、分解とは逆の手順で組み立て、換気扇を天井に戻します。
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ファンとモーターの接続:
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超短いマイナスドライバーを使い、ファンをモーターシャフトにしっかりと固定します。この時、緩みがないか確認してください。緩みは動作時の異音に直結します。
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モーターユニットとカバーの結合:
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分解時に外した天板の裏側のビスを使って、カバーとモーターユニットを結合します。
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天井への復旧:
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配線を傷つけないよう注意しながら、モーターユニットを垂直に押し上げます。
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天井の開口部に押し込むと、側面の爪が**「カチッ」**という音を立てて定位置に収まるはずです。この音が、しっかりと装着されたサインです。
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最終固定:
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天板を固定していたビスと、カバーを固定していた長ビスの全てを元通りに取り付けて完了です。
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5. まとめ:このスキルを身につけて得られるもの
今回の「モーターごと外す」分解洗浄は、通常の清掃に比べ手間も時間もかかり、難易度は高い作業でした。
私が途中で諦めかけた経験からも、この作業は決して簡単なものではないと断言できます。
しかし、一度この難攻不落な換気扇の分解を成功させると、清掃スキルが格段に向上し、換気扇の構造に対する深い理解が得られます。
分解と取り付けにかかった時間は、慣れていない場合は合計で1時間~1時間半程度を見ておくと良いでしょう。
5-1. 難攻不落の換気扇を攻略するための必須道具リスト
このスキルは、「誰にも外せなかった換気扇を綺麗にする」というプロとしての自信と、いざという時の解決能力を身につけるための大きな一歩となるはずです。
🛁 おわりに
今回ご紹介した手順が、同じタイプの換気扇に悩む方や、ハウスクリーニングのスキルアップを目指す方の参考になれば幸いです。
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