ハウスクリーニングで空室に入り、いざキッチンや洗面台を使おうと思ったら、「元栓は開いているはずなのに水が出ない!」。
そんな状況に直面したことはありませんか?
結論からお伝えすると、空室清掃時に水が出ない原因のほとんどは、メーターボックスの「元栓」に加え、設備ごとの「止水栓」が閉まっていることにあります。
経験者でも見落としがちなこの「二段階の壁」を知らないと、無駄な調査で時間を浪費してしまいます。
この記事では、元ハウスクリーニング業者の私が実際に遭遇した経験に基づき、水が出ない時の緊急確認手順と、もう二度と困らないための止水栓の基礎知識を解説します。
1. なぜ?元栓を開けたのに水が出ない「二段階の壁」
空室の水道が開通しない原因は、水の供給ルートの途中に、以下の二段階のバルブが設けられているためです。
どちらか一方が閉まっているだけで、蛇口からは水が出ません。
-
【第1の壁】玄関外の「水道の元栓(メーターバルブ)」:建物全体への給水をコントロールするもの。
-
【第2の壁】設備ごとの「止水栓」:キッチンや洗面台など、特定の設備への給水をコントロールするもの。
清掃作業者はまず元栓の開放を確認しますが、特に空室では、以前の工事や清掃で「止水栓」が閉められたままになっているケースが多々あります。
以下の手順で、この二つの壁を順番にクリアしていきましょう。
2. 【第1の壁】玄関外の「水道の元栓」の確認
最初に、建物の共有部分にあるメーターボックスを開け、自室の元栓が確実に開いているかを確認します。
元栓の場所と開閉の向き
-
場所の特定: 集合住宅の場合、たいていは玄関横のパイプスペース内(PS)などに、複数戸の水道メーターと一緒に並んでいます。
-
注意点: 隣室のものと間違えないよう、メーターの番号や部屋番号を確認しましょう。
-
開閉の確認:
-
レバー式の場合は、レバーが配管と平行になっている状態が「開」です。
-
ひねるタイプ(バルブ式)の場合は、後述の通り反時計回りに全開になっているかを確認してください。
-
元栓は「全開」が鉄則!水漏れを防ぐ注意点
ひねるタイプの元栓を半開など中途半端な状態で使用すると、バルブ内部のパッキンに負荷がかかり、元栓自体から水漏れが発生するリスクがあります。
これは実際に私が経験したトラブルです。
中途半端な開度で作業中に水漏れが発生しましたが、元栓を反時計回りに回して完全に全開にしたところ、水漏れがピタッと止まりました。
作業中の不要な水漏れを防ぐためにも、必ず「開」の方向へ回しきって全開にしてください。
3. 【第2の壁】設備内の「止水栓」をチェック
元栓が全開になっているのに水が出ない場合は、100%この「第2の壁」、止水栓が閉まっています。
キッチンや洗面台など、水を出したい設備の下を覗いて、止水栓を探しましょう。
キッチン・洗面台の止水栓の場所と開け方
止水栓は、設備ごとのキャビネット内部に設置されています。
キッチンならこれです。

赤と青の二つの止水栓があります。青の方を開けると水が出てきました。
続いて、洗面台。

-
キッチン:シンク下の収納スペースの奥の壁際から出ている配管の根本。
-
洗面台:洗面ボウル下のキャビネット内、または扉を開けた奥。
止水栓の開け方
-
止水栓は通常、ハンドルやマイナスドライバーで回せる溝が付いています。
-
清掃作業で水だけを使う場合は、青い印や「C」(Cold/冷水)側の止水栓を確認します。
-
ハンドルを反時計回りに回して開きます。全開にすると水が出るはずです。
💡 ポイント 赤(湯)と青(水)の2本がある場合は、両方を開ける必要はありません。清掃作業で冷水のみを使うなら青側を開けてください。
4. プロとして知っておきたい「止水栓」の基礎知識
止水栓は、空室作業者にとって盲点になりがちですが、知識として身につけておくとトラブル予防になります。
止水栓はなぜ閉まっているのか?
止水栓は、設備を修理・交換する際、その設備だけへの給水を一時的に止めるために使用されます。空室で閉まっている主な理由は以下の通りです。
-
リフォーム/設備交換時: 前の入居者退去後のリフォームやハウスクリーニングで、業者が一時的に給水を止め、そのまま開け忘れた。
-
長期空室時: 長期間の空室期間に入る前に、管理会社などが万が一の水漏れ予防のために故意に閉めた。
Q&A:空室清掃でよくある水回りトラブル
5. まとめ:プロとしての時間の無駄を防ぐ教訓
ハウスクリーニングで「水が出ない」という単純なトラブルは、意外にも長年の経験者をも戸惑わせ、貴重な作業時間を奪います。
かつて、私も元栓が開いているのになぜ水が出ないのかわからず、無駄な時間を過ごしてしまいました。
ですが、今回の経験から得られた教訓は非常にシンプルです。
作業開始時の水回りチェックリスト
-
元栓(PSボックス内)が全開になっているか確認。(中途半端な開度は水漏れのリスク!)
-
水が出なければ、次に止水栓(設備下)を反時計回りに回して開ける。
水道トラブルは、清掃作業者にとって最も怖いリスクの一つです。
この「二段階の壁」の知識を持っておくだけで、現場での焦りや無駄な調査時間をゼロにできます。
この記事が、かつての私と同じように戸惑っている方の「時間の無駄」を防ぐ一助となれば幸いです。
スポンサーリンク


コメント