「自転車は原則、車道を走る。 」
これは、今や多くの自転車利用者が知っているルールです。
しかし、交通量の多い道、幅の狭い車道、路駐の車を避ける瞬間—「車と接触するくらいなら、歩道を走りたい」と、車道走行に恐怖を感じたことはありませんか?
そう思って歩道に移動しても、今度は歩行者から「ここは車道じゃないぞ!」と指摘されることもあります。
結局のところ、自転車はどんな時に歩道を走って良いのでしょうか?
この記事では、警視庁の公式情報を基に、「車道走行が危険な場合」に自転車の歩道通行が例外として認められる明確な条件を解説します。
そして、歩道を通行する際に必ず守るべき歩行者優先のルールについても具体的に再確認し、安全で快適な自転車ライフをサポートします。
1. 「車道が原則」が生まれる背景と、利用者のジレンマ
道路交通法上、自転車は軽車両にあたり、原則として車道の左側を通行することが義務付けられています。
これは、自動車と歩行者という「強者」と「弱者」が混在する道路において、最も事故リスクが低いとされる交通整理の原則です。
しかし、ご指摘の通り、車道は自動車が主体です。
車道の幅が狭い場合や交通量が多い場合、車と同じ速度で走れない自転車は自動車に追い越され、接触事故の危険に常に晒されます。
この「車道走行の危険性」こそが、多くの自転車利用者が「法律に厳密にとらわれすぎると息苦しい」と感じる理由であり、歩行者と自転車のトラブルの根源となっています。
だからこそ、法律は「原則」を定めつつ、「例外」の規定を設けているのです。
2. 自転車が歩道を通行できる2つの「例外規定」
警視庁の定める「自転車安全利用五則」では、「車道が原則、左側通行、歩道は例外、歩行者優先」と明記されています。
この「歩道は例外」として通行が認められる条件は、大きく分けて以下の2つです。
【例外1】運転者側の条件(誰でもOKではない)
運転者の安全を確保するために、年齢や身体能力によって車道走行を免除されるケースです。
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13歳未満の子ども
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70歳以上の高齢者
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身体の不自由な人
【例外2】道路・車道の状況による条件(危険回避のための例外)
最も判断が難しいのがこの例外規定です。
一般の成人が自転車を運転する場合でも、車道側の状況が安全を確保できないほど危険な場合は、歩道を通行できます。
道路交通法上、「普通自転車の通行の安全を確保するためにやむを得ないと認められるとき」と規定されており、具体的な例としては以下の状況が該当します。
要するに、「車道が狭い」「交通量が多い」といった状況で、自動車との接触リスクがある場合は、安全を確保するために歩道に退避することが認められていると理解できます。
3. 歩道通行時の「歩行者優先」ルールを再確認する
例外規定によって歩道を通行する場合、立ち位置は完全に逆転します。
歩道上の強者は自転車、弱者は歩行者となるため、自転車には以下の2つの義務が課せられます。
義務1:車道寄りの部分を「徐行」する
自転車が歩道を通行する際は、原則として車道寄りの部分を走らなければなりません。
さらに重要なのが「徐行(じょこう)」の義務です。
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徐行とは:
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すぐに停止できる速度で走行すること。具体的には、人が早足で歩く程度の速度(時速4~5km程度)を目安とされています。
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歩行者との接触を避けるため、いつでも止まれる状態でゆっくりと走行しなければなりません。
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幅の広い歩道であっても、「すれ違えるから大丈夫」という考えではなく、あくまで歩行者が優先であることを示す速度と姿勢が必要です。
義務2:歩行者の通行を妨げる場合は「一時停止」する
歩行者の通行を妨げたり、妨げる恐れがある場合、自転車は一時停止をして道を譲らなければなりません。
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一時停止が必要な場面の例:
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前方に歩行者が多く、徐行しても安全な間隔(おおむね1m以上)を確保できない場合。
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歩行者を避けるために車道側に出ようとするが、自動車の往来で危険な場合。
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「道を譲る仕草」とは、自転車を降りて歩行者になるか、一時停止して道を空けることを指します。
歩行者にストレスを与えないことが、トラブルを避ける賢明な行動と言えます。
4. まとめ:ルールを理解し、快適な自転車ライフを
「自転車は歩道を通るな」という発言は、「車道が原則」という大原則だけを切り取ったものであり、すべての状況に当てはまるわけではありません。
私たちは、以下のポイントを理解することで、心置きなく安全な道を選べるようになります。
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車道走行が危険な状況では、歩道通行は「例外」として認められている。
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歩道では「歩行者優先」であり、車道寄りを徐行し、邪魔になる場合は一時停止の義務がある。
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無駄な言い争いは避け、歩道では常に謙虚に、歩行者に道を譲る姿勢を見せる。
このようにモヤモヤしていたルールを言語化し、正しく理解することで、息苦しさを感じることなく、安全で快適な自転車ライフを送れるようになります。
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