初めて挑む!天井エアコン洗浄(東芝製)で失敗しないための7つの秘訣と配線接続のコツ

ハウスクリーニング歴30年以上。

住宅清掃のエキスパートとして数多くの現場をこなしてきましたが、天井埋め込み型(カセット型)エアコンの「本格的な分解洗浄」は、私にとっても初めての挑戦でした。

「天井エアコン洗浄は難しい」「専門性が高い」と言われる中で、今回の現場は大阪市内のホテル。

海外のお客様からの衛生クレームがきっかけで、東芝製カセット型エアコン2台の徹底洗浄を依頼されました。

YouTubeには機種ごとの分解方法はありますが、この作業で本当に難しいのは「慣れていない作業員が、どの工程で失敗し、どう時間を使うか」です。

本記事では、30年のベテランである私が実際に現場で直面し、特に苦戦した「ネジの管理」や「ショートさせかねない配線接続」の具体的な克服方法を、東芝製エアコンを例に解説します。

これから天井エアコン洗浄に挑むあなたが、安全かつスムーズに作業を完了するための7つの秘訣と決定的なコツを、私の実体験から全てお伝えします。


1. なぜ、ホテルの天井エアコン洗浄が必要になったのか?(依頼の背景)

今回の作業は大阪市心斎橋にある、海外の客が多く泊まるホテルの1階食堂でした。

この食堂には天井から吊り下がるタイプの東芝製エアコンが2台設置されています。

エアコン清掃の依頼が来た経緯は、非常に現代的な課題を象徴していました。

「外国人のお客様からの、衛生面に関するクレーム」です。

最初に下から見上げた際、カバーや送風口は想像以上に埃まみれ、送風口の内部は明らかにカビだらけでした。

外国からのお客様がこのようなエアコンの真下で食事をしていることから、衛生的な視点で厳しい指摘が入ったのです。

この背景から、今回の作業は単なる清掃ではなく、ホテルのブランディングと衛生管理に直結する重要な専門作業であると認識を新たにしました。


2. 天井埋込型エアコン洗浄は本当に「専門作業」である理由

ハウスクリーニング歴が長くなると、「家の掃除」という印象から専門性がないと見られがちですが、天井埋め込み型エアコンの分解洗浄は明らかに専門的なスキルと知識を要します。

これは、誰でもできる作業ではなく、電気系統の知識と、機種ごとの構造理解が必須だからです。

特に今回は、私のようにハウスクリーニング経験は豊富でも、この分野がまだ慣れていない作業員がどのようなところで「本当に専門性が必要か」と痛感したかを、具体的に解説していきます。

今回の機種情報:東芝製カセット型(天井吊り下げタイプ)

今回作業したのは、埋め込み型というよりは、厳密には天井から吊り下がっているタイプの東芝製カセット型エアコンでした。

この構造は、機器の重量を支えつつ、複雑な電気配線が収められています。


3. 【写真で解説】分解時に初心者が「必ず」苦戦する3つの関門

YouTubeには機種ごとの分解情報がありますが、映像では伝わりにくい「現場で起こる本当の難しさ」に焦点を当てます。

関門1:数が多いネジと「種類の異なる金具」の管理法

東芝製エアコンは、分解していくとネジの数が非常に多く感じました。

幸い、本体カバーを固定しているネジの多くは同じ大きさでしたが、それでもネジの種類や場所を記憶するのは至難の業です。

しかし、最も注意が必要なのは、本体カバーの固定に使われている4隅の金具です。

  • 本体を吊り下げている部分をカバーに固定している金具は、4つ全てが同じものではありませんでした。

  • よく見ると、金具にはそれぞれ切り込み(位置決め)が入っており、「そこにしか入らない」設計になっています。

  • つまり、これらはそれぞれが別物であり、仮に1個でも紛失したり、位置を間違えて取り付けようとすると、カバーが適切に固定できず、最悪の場合、落下のリスクすら生じます。

💡 秘訣1:金具管理は「外す前の写真」と「配置図のメモ」で徹底する

本体カバーの金具を外す前に、4隅のどの位置にどの金具がついているかを写真に撮り、簡易的な配置図(例:右上はA、左下はBなど)をメモに残すことが、後の復旧作業の時間を大幅に短縮し、ミスを防ぐ唯一の方法だと痛感しました。

関門2:指の怪我に注意!鋭利な配電基盤の蓋の外し方

続いて、配電基盤(電気基盤)の蓋を開ける工程です。

  1. まず、蓋のネジを外します。

  2. 次に、端の方に切り込みが入っている蓋を、うまくスライドさせて外す必要があります。

この工程がなかなか厄介で、私はここで苦戦しました。

蓋の端や切り込み部分が非常に鋭利になっている機種があり、不用意に力を入れたり焦ったりすると、指を深く怪我するリスクがあります。

💡 秘訣2:指先の感覚を頼りに「慎重にスライド」を試みる

力任せに引っ張るのではなく、指の腹でロックされているツメの位置を探りながら、そっと切り込みから外す「慎重さ」が求められます。

この部分は、怪我防止のためにも軍手ではなく、作業性の高い薄手の手袋で慎重に行うことをおすすめします。

関門3:超難関!ショートさせないための配線接続(裸線タイプ)

分解洗浄の工程で、経験豊富な私でも最も神経を使ったのが、電気基盤と本体を接続している配線作業です。

特にファンモーターなど、強い電流が流れる太い線は、ネジで直接締め付けるタイプの端子でした。

  • 写真がない場合の恐怖: この線にはそれぞれ色がついており、万が一、後でわからなくなって付け間違えると、ショート(短絡)を引き起こし、機器の故障や発熱・発火につながる重大な危険があります。

  • 今回の東芝製の特徴: 今回の機種は、線が剥き出し(裸線)のタイプで、それをよじって細くし、ネジの間にプスッと刺し込む必要がありました。

これは、V型の端子(Y型端子など)がついていれば、ネジで挟むだけで済みますが、裸線タイプの場合、復旧時に高い技術と集中力が求められます。

💡 秘訣3:必ず「外す前の写真」を撮る。色は生命線!

分解に入る前に、このファンモーターにつながる3つの配線については、「線の色と、ネジで締め付けている位置」を、必ず角度を変えて数枚、超接写で写真に記録しておかなければなりません。

これは安全と復旧速度の生命線です。


4. 【最重要】東芝製エアコンで失敗しないための「配線復旧の秘訣」

全てのパーツを洗浄し、いよいよ復旧作業に入ります。

裸線の配線を元通り、安全に接続するための決定的なコツをお伝えします。

秘訣4:ネジは「外れる寸前まで緩める」勇気を持つ

裸線をネジとネジの間にしっかり挿入するためには、ネジを十分に緩める必要があります。

  • ネジを落とすのが怖くて、少ししか緩めない作業員がいますが、これだと線がうまくネジの間に入っていきません。無理に押し込もうとすれば、配線が傷つき、接触不良の原因になります。

  • 正解は、ネジがポロリと落ちてしまう寸前まで、大きく緩めることです。

    • 大きく緩めることで隙間が広がり、よじって細くした裸線をスムーズに、かつ奥まで差し込むことができます。

秘訣5:熱を持つ原因!「ゴムとネジの接触」を避ける方法

裸線をネジの間に入れ込んだ後、ネジを締め付ける際にもう一つ、決定的な注意点があります。

  • 線のカバー(色付きのゴムやビニール)と、ネジ自体を接触させてはいけません。

    • なぜなら、ネジと被覆(ゴム)が接触した状態で強い電流が流れると、抵抗により熱を持つ可能性があるからです。

このため、ネジを締め付ける際は、線がしっかり導体(金属)部分で締め付けられており、かつ線の色付きのカバー部分がネジと接触しないように、線の位置を微調整しながら締め付ける必要があります。

この微妙な力加減と位置調整は、非常に集中力を要する作業でした。


5. 洗浄作業の実際と「モーター養生」の注意点

困難な分解と配線作業を終えれば、洗浄はまさに「楽勝」です。

モーターを取り外さずに洗浄した理由

YouTubeなどを見ると、プロの業者はモーターまで外して徹底洗浄するケースが多いようですが、今回はそこまでしませんでした。

  • 外したドレンやファンを洗浄した後、垂れ下がった線は上部にテープで貼り付けました。

  • 真ん中のファンモーターは濡れてはならないため、タオルを何重にも巻き付け、その上から養生テープで水を完全にシャットアウトする養生を徹底しました。

洗浄キットのカバーを装着し、洗剤を吹き付けポンプで洗い流しました。

この時、一見そこまで汚れていないように見えた冷却部分(熱交換器)から、真っ黒な汚水が流れ出てきました。

外国からの衛生クレームはもっともだと納得し、洗った甲斐があったと確信しました。

復旧と試運転の成功

全てのパーツを洗い終わり、外した部品を記録通りに取り付けて復旧させました。最も緊張した配線復旧を乗り越え、テスト運転を行ったところ、エラーは出ませんでした。無事、作業完了です。


6. 【30年プロが語る】天井エアコン洗浄を継続できた「たった一つの秘訣」

今回の作業を通じて、ハウスクリーニングという仕事に対する自身の考えを新たにしました。

ハウスクリーニングは家のお掃除なので専門性がないような印象ですが、天井型エアコンは誰でもできるものではなく専門性がある。

この専門的な知識や技術を習得し、課題を乗り越えるプロセスが、私にとって非常に楽しかったのです。

30年以上キャリアを続けてこられた秘訣は、まさにこれに尽きるのかもしれません。

それは、「常に新しい技術や専門性の壁に挑戦し、自分のスキルを更新し続けること」です。

今回の東芝製での経験は、私にとって大きなステップとなりました。

他のメーカー(ダイキンや三菱など)の機種を分解洗浄する機会があれば、構造や分解のしやすさを比較した体験レポートもまたお伝えしたいと考えています。


7. 天井エアコン洗浄に関するよくある質問(FAQ)

天井埋め込み型エアコンの分解洗浄に挑戦する際や、業者選びの際に、読者からよく寄せられる疑問とその回答をまとめました。

Q1. 天井埋込型エアコンの洗浄頻度はどれくらいが適切ですか?

A. 設置場所の環境と使用頻度に大きく左右されます。

  • 一般家庭やオフィス: 2〜3年に一度の洗浄が目安です。

  • 飲食店、ホテル、病院: 稼働時間が長く、油煙や湿気が多い環境のため、最低でも年に1回、できれば半年に1回の分解洗浄をおすすめします。ホテルの場合は、衛生管理の観点からも特に重要です。

Q2. 天井エアコンの分解洗浄は素人でもできますか?

A. 構造が複雑で、電気的なリスクを伴うため、ハウスクリーニング経験者でない一般の方には推奨しません。

特に、今回の東芝製エアコンで経験したような「強い電流が流れる裸線の配線復旧」は、接続ミスがショートや発熱、火災につながる重大な危険性があります。まずは、私のようにプロの指導や講習を受け、難易度の低い機種から段階的に経験を積むことを強くおすすめします。

Q3. 一台の分解洗浄にかかる作業時間はどれくらいでしたか?

A. 私が初めて東芝製の機種を分解・洗浄・復旧させた際、慣れない配線作業やネジの管理に時間を要したため、一台あたり約3時間〜4時間程度かかりました。

経験を積んだプロであれば、機種にもよりますが2時間〜3時間程度で完了させるのが一般的です。最初のうちは、時間の余裕を十分に持って作業計画を立てるようにしてください。

Q4. 分解洗浄後、テスト運転でエラーが出たらどうすればいいですか?

A. エラーの原因のほとんどは、分解時に外した配線やコネクタの接続ミスです。焦らず、以下の点をチェックしてください。

  1. コネクタ: 全てのコネクタが奥まで「カチッ」と差し込まれているか確認します。

  2. ネジ止め端子: 裸線やY型端子が、ネジでしっかり固定されているか、また今回解説したように線の色が間違っていないかを、記録写真と照合して確認します。

  3. 基板: 基盤自体が所定の位置に正しく取り付けられ、ネジで固定されているかを確認します。

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