エアコン洗浄のプロとして、あなたはまだ「力任せ」にカバーを外していませんか?
複雑化する近年のエアコンは、無理な脱着をすれば一瞬でツメが破損し、数万円の修理代と顧客からの信頼を失います。
特に、多くの業者が難所とする機種、日立RAS-AW22E(白くまくん)の上部カバーツメは、一般的な外し方では非常に危険です。
安心してください。
本記事では、30年の経験を持つ筆者が編み出した、ツメの構造を完全に把握し、工具(スクレーパー)を最小限の力で活用する「極意の裏ワザ」を公開します。
この手順をマスターすれば、もうカバー脱着で冷や汗をかくことはありません。
どんな固いツメも、まるでパズルのピースを外すようにスムーズに外れるようになる、その全貌をご覧ください。
1. 徹底した事前準備:事故とクレームを防ぐプロのルーティン
カバー脱着に取り掛かる前に、プロとして絶対に欠かせない安全と効率のための準備があります。
この一手間が、後の作業の安定性とクレーム回避に直結します。
🔹 【⚠️最重要】電源遮断と感電防止
電源プラグを抜くだけでは不十分です。
必ず分電盤でエアコンのブレーカーを落とし、テスターなどで電気が来ていないことを確認してください。
これは作業者の感電防止だけでなく、洗浄中に水が基板にかかった際のショート・故障のリスクを根絶するためです。
🔹 ネジ管理の徹底:長さ違いのネジは絶対に混ぜない
日立製エアコンには、長さや太さの異なるネジが使われていることが多いです。
ネジの付け間違いは、カバーや本体内部の破損につながります。
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外したネジは、マグネットトレイに入れるか、外した場所ごとに付箋を貼った小分けケースで管理してください。
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特に、後述の電源カバーのネジは他のネジと長さが違う場合が多いため、外したらすぐに元の位置に「仮止め」するか、分けて保管します。
🔹 傷防止と養生
本体カバーを外す際、本体や壁に工具やカバーのエッジが当たって傷をつけることがあります。
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本体と壁の隙間、本体カバーのエッジ部分には、念のためマスキングテープや薄い養生シートを貼って保護すると、顧客への配慮が伝わり安心感が増します。
2. ルーバーとフロントカバーの安全脱着手順
ツメの破損が最も多い箇所の一つであるルーバー(上下風向板)と、フロントカバーの外し方を解説します。
🔹 フロントカバーは「開きすぎ」が破損の元凶
フロントカバーは、フィルターを取り出す以上に開こうとすると、蝶番部分のツメに過度な負荷がかかり「バキッ」と割れます。

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メーカーの説明書にある通り、「カチッと音がするまで」引き上げ、水平より下向きの位置で止めます。それ以上に開かないように意識してください。
🔹 ルーバー(上下風向板)は「力の方向」が命
メーカーは素人の脱着を推奨していませんが、洗浄の徹底には必須です。
力任せに引っ張るのは厳禁。ツメの構造を理解し、最小限のたわみで外します。
まずは、真ん中のフックを外します。

コツはルーバーの右側を少しずつたわませつつ、右側に引く感じ。
慣れたら一瞬でカポって取れます。

つまり、こういう順序です。
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ツメの位置確認: スマホのライトや小型の鏡を使い、ルーバーと本体の結合部にあるツメの位置を事前に確認します。
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中央フックを外す: まず真ん中の結合フックを外します。
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右側をたわませる: ルーバーの右側をゆっくりわずかにたわませ(曲げ)、ツメの引っかかりを緩めます。
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右に引く: たわませたまま、ルーバー全体を右方向にゆっくり引きます。このとき、結合穴から軸が抜ける感触を得られます。
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左側を抜く: 右側が抜けたら、今度はルーバーを左に引いて、左側の軸を結合穴から引き抜きます。
🔹 左右風向板の外し方
機種によって様々ですが、日立製(RAS-AW22E)のように下側についている場合は、指で一つ一つツメを引き抜くことで簡単に外れます。

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洗浄時に水が漏れるのを防ぐため、外した穴は防水テープや養生テープで確実に塞ぐことを忘れないでください。
3. 【極意公開】本体カバー上部ツメの「スクレーパー活用裏ワザ」
多くの作業者が強引な力で外しがちな上部のツメこそ、本記事の核となる「極意の裏ワザ」で安全かつ確実に攻略します。
🔹 電源カバーを必ず外す理由
本体右側にある電源カバーを先にネジで外し、本体カバーから分離させます。
右についている電源カバーを外しますが、

このネジを外せば、簡単にドライバーで外れます。
わざわざこれを外すのは本体カバーを外す時に引っかかって破損するからです。

カバーを外したら、ネジは元の位置に仮止め。他のネジと長さが違うので外した時に混ぜないようにするためです。
これを外さずに本体カバーを外そうとすると、電源カバーの引っかかりが原因でツメや電源カバー自体を破損させるリスクが非常に高まります。
🔹 難所の最重要ポイント:上部のツメ攻略
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ネジを外し、カバーに遊びを作る: 下部や左右にある隠しネジを全て外し、本体カバーを心持ち斜め上に少しだけ引き上げて「遊び」を作ります。
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工具の選定と保護: 使用するのは、ホームセンターなどで入手できる薄く丈夫なスクレーパー(または自動車用の内張り剥がし)です。使用前に、先端にビニールテープを巻いて本体への傷を防ぐのがプロの配慮です。
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【裏ワザ実践】上部3点のツメを一つずつ解除:
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遊びができた隙間にスクレーパーを差し込み、ツメの引っかかっている箇所を探ります。
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ツメを「押す」のではなく、スクレーパーでツメの引っかかりを上方へ「誘導する」イメージで、小さな力で解除します。
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もう片方の手で本体カバーを優しく上に持ち上げながら、ツメの解除をサポートします。
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🔹 最後の難所:本体中央ツメの確実な外し方
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ツメの位置を特定: 本体カバーを少し開き、下から覗き込んだり、スマホのライトで照らしたりして、中央部のツメの位置と形状を正確に把握します。
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傷防止処理を施したマイナスドライバーをツメに当て、ツメが引っかかっている方向(機種により異なる)に押し込み、解除します。

4. メーカー別攻略:三菱霧ヶ峰など、他機種で注意すべき脱着ポイント
🔹 三菱電機 霧ヶ峰シリーズの攻略ポイント
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【難所1】ルーバーの軸と接続端子: ルーバーを外す前に、左右の軸の根元に細い配線やコネクタがないか確認し、あれば先に外してから軸を抜くこと。断線リスクがあります。
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【難所2】本体カバーのツメ形状とビス位置: 隠しビスが分かりにくい機種があるため、事前にビスの総数と位置を徹底的に確認します。
🔹 ダイキン・パナソニック製エアコンの攻略ポイント
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ダイキン: 洗浄中に水が溜まりやすい機種があるため、基板部分を徹底的に養生し、水が侵入しないよう注意深く洗浄します。
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パナソニック: 複雑なツメ構造の機種が多いため、分解手順を間違えるとツメが破損しやすいです。初めての機種は事前確認が必須です。
5. 安全確保の鉄則:高い位置での作業と脚立の活用
無理な体勢での作業は、ツメ破損や転落事故につながります。
安全を最優先してください。
🔹 脚立の選択と配置
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適切な高さの選択: 作業者の目線が、エアコンの最上部よりもやや下に来る程度の高さの脚立を選びます。
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安定した配置: 脚立は必ず平らで安定した場所に置き、ぐらつかないことを確認します。
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上から二段目まで: 安全のため、脚立の最上段、または上から二段目には立たないことを徹底してください。
🔹 「力の方向」を意識した安全な作業姿勢
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脚立の位置を調整し、腕を斜め上ではなく、水平に近い状態で作業できるようにします。繊細な力加減が求められるカバー脱着は、両手で無理なく行える体勢を確保することが重要です。
6. 顧客満足度を上げるカビ再発防止とプロのアドバイス
🔹 徹底した乾燥工程の重要性
洗浄完了後、部品をすべて取り付けたら、エアコンを送風運転(または暖房運転)で30分から1時間行い、内部の水分を確実に乾燥させます。
お客様にも必ずこの「仕上げ乾燥」をお願いするよう伝達します。
🔹 お客様への「カビを寄せ付けない」運用アドバイス
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冷房・除湿後の「送風」運転を1時間行う習慣をつけてもらう。
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「内部クリーン」機能は補助機能であり、送風運転との併用を推奨する。
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フィルター清掃は2週間に一度の頻度を推奨する。
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ドレンホースの出口が詰まっていないか確認してもらう。
7. 現場で役立つ!Q&Aセクション
この極意を習得することで、あなたは作業効率を劇的に向上させ、お客様からの信頼性を高めることができるでしょう。
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