はじめに
「焦げ付いた五徳は苛性ソーダにつけるとよく落ちる」
ハウスクリーニング作業者はこんなフレーズをよく聞くことがあります。
でも、その施工方法は注意が必要です!
私は30年以上その作業に携わっていますが、コンロの五徳に関してはその洗い方はおすすめしません。
その理由と、ではどうすればいいのか経験からお話したいと思います。
スポンサーリンク
熱湯に苛性ソーダを入れて五徳のつけ置きで見事に変色した
苛性ソーダのつけ置き洗いは、こんなふうに素材が白く変色してしまうリスクがあります。
赤の矢印で示した五徳と受け皿はもう変色してどうにもなりません。
元々は黒い素材でした。
作業者にどのように洗ったかを聞くと、「熱湯に苛性ソーダを入れて五徳のつけ置きをして作業した」とのこと。
五徳についた焦げや油のギトギトは取れたとしても、ここまで変色してしまっては入居者から見れば汚らしく見えてしまう…
結局はそれがクレームにつながるわけです。
では、なぜ素材が変色するのでしょうか?
なぜ変色するのか
なぜ素材が変色するのかを理解しておけば、どのような洗い方はNGか応用が効くので、まずその点から。
五徳は比較的頑丈な素材。
ですが、素材によっては濃すぎるアルカリ洗剤に長時間つけると化学変化を起こし、それが変色となるわけです。
では、素材が変色しないためにどのように洗い方を工夫できるでしょうか?
スポンサーリンク
五徳の焦げは熱湯につけるのが必須
今までにも、五徳をアルカリ洗剤をつけてパックに入れておいたり、その他色々試しましたが、
常温では洗剤を噴霧したものをパック詰めして真空にしても、効果は感じられませんでした。
結論から言えば、五徳焦げはこのように除去するのがベストかなと思っています。
- 最初に乾いた状態で、ステンレスたわしで1分ほど擦り、落とせる焦げを落とすと同時に焦げに傷をつけた状態にする
- それを熱湯(洗剤は入れない)に30分ほどつけて焦げを柔らかくする
- 五徳を取り出して、強アルカリの洗剤をたっぷりスプレーで噴霧
- 洗剤を噴霧したものを熱湯に浸しながらこする
- 完全には落ちないので、また熱湯に30分ほどつける
- 上記の工程を繰り返す
論より証拠。
その工程で清掃した焦げ付いた五徳のビフォーアフターをお見せします。
五徳を30分熱湯につけて洗ったビフォーアフター
ハウスクリーニングの現場に着いた瞬間、ゲッと思ってしまいました。
キッチンのコンロがこのような状態だったからです。
結構、焼け跡や焦げ付きがあって、これ本当に取れるのかな、と思いながら作業。
繰り返しますが、
- まずは、力業でこする。
- 熱湯に30分つける。
- アルカリ洗剤をたっぷり噴霧。
- 熱湯に浸しながらこする。
- 完全には落ちきらないので上記を繰り返す
これでこのようになりました。
つけ置いた時間は1時間で、擦った時間も1時間弱くらいだったと思います。
多少時間はかかるかもしれませんが、この方法で五徳が変色したことはないですね。
それに、苛性ソーダにつけ置いたとしても結局はこする作業は必要になります。
スポンサーリンク
苛性ソーダにつけ置きしてもこする作業は必須
一番最初の写真の小さい五徳を拡大するとこんな感じです。
角の方に黒く点々とした跡があります。
これは素材の腐食ではなく、焦げですね。
このような焦げは、カッターの刃、彫刻刀、100均で売っている厚手スクレーパーなどでこすると落ちます。
ひっかくタイプのスクレーパー→ハウスクリーニング作業の必需品
幸い五徳の素材は、傷がつきにくいという特徴があるのが助かる…
いずれにしても、五徳の素材は洗剤のつけ置きだけでは十分に取れず、きれいにするためには結局はこする必要があります。
なので、変色リスクの高い苛性ソーダ漬けはおすすめできないのが率直な感想。
余談になりますが、コンロの天板の黒シミはこれ以上落ちないのでムキになって擦らない方がいいと思います。
コンロの天板の黒シミはムキになって擦らない
もう一度、コンロの天板の写真を載せます。
一つ目はこれでした。
洗浄後の状態ですが、天板に見えている黒いシミはこれこそ素材の変色です。
なので、ムキになってこれ以上擦らない方がいいでしょう。
それとは知らずにムキになってこすると、それこそ傷傷になり余計に汚らしく見えるからです。
私が作業したコンロの天板もこんな感じで、シミがあってパッとしないのは事実ですが、
天板に関してはこれが最善の状態なので、これ以上手を加えない方がいいでしょう。
相手方がご不満のようなら、またはクレームになるのが心配なら、これ以上落ちないことを事前にお伝えしておいた方が賢明です。
ちなみに、この状態でクレームになりました。
これ以上どうにもならないので説明はしましたが、相手方も交換が無理だったようで困ったみたい…
とはいえ、清掃作業者にも変色はどうにもできないので割り切るしかありませんね。
その時のクレームに関してどのように対処したのか過去に書いた記事を紹介します。
【ハウスクリーニング】クレーム対応への心配・不安をなくす考え方
スポンサーリンク
終わりに
ということで、五徳が焦げと油でギトギトだったとしても、苛性ソーダ漬けの施工方法は経験からおすすめできないことをお伝えしました。
素材によっては、洗剤による化学反応が変色という形で出てくるからです。
そうならないために、純粋な熱湯で焦げや油を柔らかくすることをおすすめします。
多少時間はかかるかもしれませんが、変色の心配はありません。
作業前に元々素材が変色しているなら、写真を撮って元々変色していた事を伝えておくことは賢明かもしれませんね。
自分が変色させたのではないことを明らかにして堂々とできるからです。
ハウスクリーニングは汚れがひどい現場は気が重くなりますね。
最後に時間さえかければここまでにはなりますよ〜というビフォーアフターの記事を紹介して終えたいと思います。
汚ったない風呂場やトイレの清掃のビフォーアフターとコツ(ハウスクリーニング)
では。
コメント