【集金スタッフ感動秘話】70代読者が『希望が湧いた』と感謝した、新聞の「対話」論

「ずっとモヤモヤしていたことが、スッキリして希望が湧いたんです」

これは、先日、私が新聞集金に伺った70代の女性顧客から言われた、予想外の一言です。

ネット時代において、新聞の集金スタッフという仕事は、どこか「静かに消えていく」ようなイメージがあるかもしれません。

しかし、私がこの仕事を続けるのは、給料以上に大切な「人とのつながり」を求めているからです。

彼女が抱えていた社会に対する漠然とした不安(物価高、戦争、政治…)を打ち消し、「自分が今何をしたらいいのかはっきりした」とまで言わしめた、その記事とは何だったのか?

それは、96歳の社会学者・暉峻淑子さんの連載に書かれていた「民主主義を守るためには対話がどうしても必要」という普遍的なメッセージでした。

この貴重な対話から、私の仕事のモチベーションと、新聞という媒体の本当の価値が再認識されました。


1. 予想外の感謝:集金後の15分間

 

いつものように集金業務を終え、ごく軽い挨拶を交わそうとしたとき、彼女は立ち止まり、感謝の言葉を切り出しました。

「2024年6月20日の暉峻淑子さんの記事を載せていただいて、本当にありがとうございました。あの記事のおかげで、ずっと胸の奥に引っかかっていたモヤモヤがスッキリしたんです。」

私は、正直なところ、その記事の内容を把握していませんでした。

しかし、顧客がこれほどまでに感情を込めて感謝を伝えてくれることに、まず驚き、そして興味を抱きました。

「それは何よりでした。私は不勉強でその方のことは知らないのですが、特にどんな言葉が心に響いたのですか?」

2. 読者が抱えていた「モヤモヤ」の正体

 

彼女が語り始めたのは、個人的な悩みではなく、社会全体に対する深い不安でした。

  • 若い人たちが何かの手先になって無差別殺人の加害者になったり、犠牲者になったりする現状。

  • お米を筆頭に、物価がどんどん上がっていく生活への圧迫。

  • 自分が高齢になるにつれ、医療や介護保険料がどんどん高くなることへの懸念。

  • 中東の戦争など、国際情勢が日本に与える影響。「兵器さえ強くすれば解決できるとは限らない」という危機感。

彼女は言いました。「結局、こういうことって自分に関係しますよね。それを読んで、自分が今何をしたらいいのかが、はっきりしました」

私は、その瞬間にハッとしました。彼女のモヤモヤは、単なる不満ではなく、「社会を良くしたいけれど、どうしたらいいか分からない」という建設的な焦りだったのです。

そして、暉峻先生の言葉が、その焦りを「前向きな行動」へと変えるきっかけになった。

3. 96歳の言葉が持つ「希望」の力

 

私はその場でスマホを取り出し、暉峻淑子さんの名前を検索しました。

96歳という年齢でありながら、今も教授として執筆や対談会を続けていると知り、尊敬の念を抱きました。

彼女が心惹かれたメッセージは、「民主主義を守るためには対話がどうしても必要」という見出しと内容でした。

この15分ほどの対話は、私自身の仕事観を大きく揺さぶりました。

新聞集金という、ともすればドライになりがちな仕事の中で、顧客からこれほどまでに前向きで社会的なコメントを聞けたのは、本当に嬉しい出来事です。

内容自体はまだ消化しきれていませんでしたが、不思議と私の仕事へのモチベーションも上がりました。

4. 意見が異なっても「対話」を閉ざさない

 

会話の最後に、彼女は「ネットの情報は信用できないから、同じ年の友人にも、まだ新聞は読もうねって言っているの」と付け加えました。

私自身の感覚としては、月5,000円もする新聞は必ずしも必要ではないのでは…という思いもありますが、この対話を通じて、新聞が特定の層にとって「信頼できる希望の灯」であり続けていることを肌で感じました。

また、政治や倫理観については、彼女の意見と100%同意できるわけではありません。しかし、そこで議論を終わらせるのではなく、「キャッチできるところはキャッチして、せっかく相手から投げてきたボールだから、キャッチボールを閉ざさない」という姿勢が大切だと再認識しました。

ペンシルバニア州立大学の博士が言うように、「感情移入」とは、他の人の感情や物の見方を、自分と同じかどうかにかかわりなく、よく認識する能力です。たとえ意見が違っても、理解や認識、そして敬意が生まれる。この姿勢こそが、暉峻先生が説いた「対話」の基盤なのでしょう。

この出来事から、私は仕事を通じて「情報を届けること」の先に、「希望を届けること」という、もう一つの大切な役割があることを学びました。

今後も、この顧客との月に一度の接点を大切にし、さらなる発見があれば、また記事にしたいと思います。


結びに:仕事の価値は「希望」を届けること

 

この15分間の対話は、私にとって単なる集金業務の一部ではありませんでした。

顧客の「希望が湧いた」という言葉は、私たちの仕事が、単に紙を届け、お金を受け取るという経済活動に留まらないことを教えてくれました。

それは、社会の不安に立ち向かう人々に、信頼できる情報と、行動への動機という名の「希望」を届けているのだ、という真の価値の再発見でした。

また、意見の異なる相手にも敬意を持ち、「ボールを投げ返す」ことを意識する姿勢こそが、96歳の社会学者が訴える「対話による民主主義の維持」の小さな実践なのかもしれません。

私たちは、自分が感動したことは、誰かに伝えずにはいられない生き物です。

その体験を共有してくれたお客様に心から感謝するとともに、私もまた、このブログを通じて、ささやかでも誰かの心に響く「言葉のボール」を投げ続けたいと思います。


最後に、あなたにお伺いします。

📰 最近、あなたの仕事や日常の中で、心に響き、「自分の行動を変えるきっかけ」となった言葉や記事はありますか?

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