プロが教える!【木の床のベタベタ汚れ】原因は足の脂?簡単で確実に落とす清掃のプロ技

1. 【仕事のリアル】24時間営業施設の「素足の床」清掃依頼が来た背景

 

私は清掃業として多くの現場を見てきましたが、特に手強いのが、多くの人が素足で歩く公共施設の木材の床に染み付いた脂汚れです。

今回の舞台は、大阪市のJR新今宮駅近くにある大型温泉施設、スパワールドです。

施設リニューアル後の新たな悩み

 

最近改装された3階のフードパークは、以前のカーペット敷きから、トレンドの木材をメインとしたデザインに生まれ変わりました。

見た目は非常におしゃれになり、お客様からの印象もアップしたことでしょう。

しかし、このリニューアルが新たな問題を生みました。

「ベタベタする」というお客様の声

 

お客様は館内を素足で歩かれます。改装後の木材の床は一見きれいに見えますが、時間が経つにつれて「ここを歩くとなんとなく足がベタベタする…」という声が目立つようになりました。靴下に黒い汚れがつくという話もありました。

現場のスタッフもモップで水拭きを試みますが、足の皮脂が主成分の脂汚れは、水拭き程度ではまったく太刀打ちできません。

この手の汚れは時間の経過とともに酸化し、粘着性を増すため、単なる日常清掃では除去が困難なのです。

これが、プロの清掃技術が必要とされるサインです。

このベタつきの原因を根こそぎリセットするため、清掃業者である私たちに依頼が回ってきたわけです。


2. 困難な現場での挑戦:動線確保とプロの洗浄プロセス

 

現場最大の難題:作業を止められない時間との戦い

 

清掃業者からすれば、人の往来を完全に止めてさえいただければ、この手の汚れの除去は難しい作業ではありません。

しかし、ここは24時間営業の大型施設。お客様の動線を完全にストップすることは不可能です。

これが、この清掃作業の最大の難関でした。

私たちは、お客様の迷惑を最小限に抑えつつ、安全に作業を完遂させるため、以下の方法で動線と時間を管理しました。

  • 動線管理: 人が入れないように、ある区画をコーンなどの器具で囲い、その中で集中的に作業するエリアを区切る。

  • 迅速な乾燥: 洗浄後の乾燥時間を徹底的に短縮するための段取りを組み、扇風機(送風機)も準備しました。

プロの洗浄プロセス:脂汚れを分解する

 

いよいよ洗浄作業の開始です。

  1. 洗剤の塗布: まず、脂汚れに強力に作用する洗剤水をモップで床に均一に塗布します。この時点で、洗剤水がうっすらと黒く濁り始めるのが確認できました。これは、床に染み込んでいた足の皮脂が洗剤に反応し、分解・浮き上がり始めたプロだけが知るサインです。 (※フードパークですが、汚れのメインは食事の油ではなく、人の移動で生じる足の脂汚れです。)

  2. 機械による研磨: 次に、プロの必須アイテムであるポリッシャーを投入します。今回は、床材に合った赤いパッドを使用し、浮き上がった脂汚れを物理的な力で床から根こそぎ引き剥がすように磨き上げます。


3. 衝撃の写真公開!集結させた「足の脂汚れ」の正体

 

まんべんなく汚れた床が、どれほど汚いか

 

清掃の作業中、お客様の足元にある汚れは、薄く広範囲に散らばっているため、ほとんど目立ちません。しかし、このポリッシャーによる洗浄と同時に、私たちはその汚れを「集結」させます。

いかがでしょうか。

このバケツに集められた汚水は、まさしくお客様が素足で歩いた結果、木材の床に付着していた足の脂汚れがメインです。

まんべんなく薄汚れた状態では目に見えて分からなかった汚れが、集結させるとここまで濃い茶色(黒)になるのです。

お客様が「ベタベタする」と感じた原因が、この汚水の色で明確に理解できます。

「すすぎ」と「乾燥」の重要性

 

機械で磨き、ベタつきの原因の大部分は除去できましたが、これで終わりではありません。洗濯機と同じように、「すすぎ」の工程が欠かせません。

床に洗剤成分が残っていると、それがまたベタつきの原因になったり、新たな汚れを吸着させたりします。

そのため、綺麗な水でモップ拭きを行い、洗剤成分をしっかりと拭き取ります。

そして、営業中に床を開放するため、迅速な乾燥が不可欠です。

このように大型の扇風機(送風機)を使い、濡れた床を一気に乾かしていきます。奥の濡れている部分と、手前の乾いた部分を比べると、床の表面についた脂汚れがほとんど除去されたことが分かります。


4. まとめ:清掃業者の仕事の本質

 

蘇ったサラサラ感

 

作業完了後、扇風機の風で乾いた床は、見た目では分かりにくいかもしれませんが、素足で踏むとすぐに分かるサラサラ感を取り戻しました。

繰り返しますが、今回行った洗浄作業自体は、清掃業者にとって特に難しい技術ではありません。

私たちが常に直面する、そしてこの仕事の本質でもあるのは、「いかにして営業を妨げずに、最大限の清掃効果を出すか」という、現場の調整力と実行力です。24時間動き続ける施設の中で、お客様の安全と満足度を両立させることに、プロの価値があります。

皆様のご自宅のフローリングも、知らず知らずのうちに脂汚れが蓄積しているかもしれません。ベタつきを感じたら、それは本格的な清掃が必要なサインです。

最後までご覧いただきありがとうございました。

 

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